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三浦ジュンの「あなたに届けたい音と薬。」 #11

「ゴッホ」

2023.08.21 12:00

2023.08.21 12:00

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ゴッホという画家の人生は
あまりに壮絶で挫折の繰り返し
と云われています。

ゴッホの代表作と云えば
『ひまわり』があまりにも有名ですが
あの作品が評価されたのは彼の死後であり
実は生きている間に売れた作品は
たった一枚だけと云われています。

といいつつも、僕はゴッホについて
そんなに詳しくは語れないので
興味を持った方はWikipediaで
是非調べてみてください😅

なんで急にゴッホの話をしたかというと…
急に芸術に目覚めてしまった訳でもなく
ちょっとした「挫折」の話をしようと思います。

僕がこれまで中心となって立ち上げ
終了してしまった番組はいくつかあります。

「キャンパスナイトフジ」
「今夜はアリエナイト」
「未来ロケット」
「どぅんつくぱ」

色々とチャレンジして
何かしら爪痕を残してきたつもりですが
どれも大成功したとは言い難いです…

もちろん人気番組も担当していました。

「クイズ!ヘキサゴン」
「VS嵐」

この2つの人気番組に関しては
世間からも会社からも高評価を得ましたが
どちらの番組も僕は途中から参加しただけで
僕が入った時、すでに番組は人気もあり
僕の功績なんて、殆どないのです。

そんななか唯一胸を張って
「僕がこの番組をやってました!」と言えるのが
音楽番組「Love music」です。

©︎フジテレビ

年間200本以上ライブに足を運び
自分の目利きでインディーズバンドを
いち早くピックアップしたり
それまでテレビにほとんど出てこなかった
アーティストと関係性を作り
出演してもらいました。

深夜番組だし、知らない人も沢山いるし
世間的には高く評価されていないかもしれません。

それでも一部のアーティストや音楽関係者、
ライブやフェスが大好きな視聴者からは
そこそこ愛されてきたと思っています。

「Love music」は約8年放送しましたが
忘れられない企画や放送を
ちょこっと振り返ってみたいと思います。

まずは主催フェスを10回開催してきました。

「LOVE MUSIC FESTIVAL」
2018年新木場コーストでオールナイト開催
2019年幕張イベントホールで2DAYS開催
2021年〜2023年ぴあアリーナMMで2DAYS開催

「若者のすべて」
2021年〜2023年日比谷野音で3回
O-EASTで1回開催

「LIVE FACTORY」
2021年Zepp Tokyoで開催

全国各地でフェスが行われた2010年以降
何千人、何万人のお客さんを熱狂させる
ロックバンドが次々と現れました。

それなのに彼らはテレビの音楽番組には
ほとんど出ていませんでした…

僕はこのアーティストの魅力をテレビで
伝えたくて、とにかく沢山のライブに足を運び
関係性を築こうとしました。

徐々にアーティストや関係者から
「どこのフェスにでもいるヤツ」と
認識されるようになりました。

そしてテレビにあまり出てこなかった
ライブバンドがテレビを意識しないよう
スタジオにもパンパンにお客さんを入れて
ライブハウスさながらの環境を作ったり、
ライブのような照明、カメラワーク、
カット割りで映像にこだわってきました。

その結果「テレビに出るのも悪くない」
と思ってもらえるようになった
アーティストもいたと思います。

それでもライブハウスやフェス現場の熱気や
興奮、感動はスタジオでは伝えきれず、
僕はフェスを立ち上げました。

お客さんの圧倒的な熱気や臨場感、
アーティストの一番輝いている瞬間を収録し
それを放送で伝えることにしました。

「LOVE MUSIC FES」の初開催は
新木場コーストでオールナイトでした。

あいみょん、女王蜂、Dragon Ash、ハルカミライ、フォーリミ、BiSHら豪華14組が出演してくれ、
モッシュ・ダイブ含め、お客さんが出来る限り自由に楽しめる空間を作りました。

「LOVE MUSIC FESTIVAL2018」タイムテーブル

2回目の開催は幕張イベントホールで、
Dragon Ash、ROTTENGRAFFTY、HEY-SMITH、THE ORAL CIGARETTES、SiM、MY FIRST STORYといった、
普段地上波の音楽番組に出てこなかったアーティストが続々とフェスに出演してくれて、
そのライブ映像を放送することができました。

「LOVE MUSIC FESTIVAL2019」タイムテーブル

音楽番組を観てもらうためにも、
音楽シーン全体の盛り上がりが必要だと感じ、
その頃から、フェスやライブに行ったことが
ない人たちにテレビを通じて、その魅力を伝え、
ライブ現場に足を運んでもらえるような番組作り、放送を目指すようになりました。

そこで、主催フェスだけでなく、
大型フェスにも潜入取材を行い、独占放送を行いました。

●「京都大作戦」(2017年・10-FEET主催)
●「YON FES」(2018年・04 Limited Sazabys主催)
●「ポルノ超特急」(2018年・ROTTENGRAFFTY主催)
●「REDLINE」(2019年)
●「ROCK IN JAPAN FES」(2022年)
●「HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」(2022年・HEY-SMITH主催)

そして「VIVA LA ROCK」に関しては、
初開催の2012年から全ステージの収録を担当し、
毎年独占で特集を組ませてもらい、
フェス、ライブ、音楽の魅力を僕らなりに伝えてきました。

そしてライブだけでなく、トークにも力を注いできた結果、
豪華なアーティストのスペシャル対談をいくつか実現しました。

●横山健 (Ken Yokoyama) × 難波章浩 (NAMBA69)
●MAH(SiM)×猪狩秀平(HEY-SMITH)×Masato(coldrain)
●あいみょん×小沢健二
●佐藤千亜妃×又吉直樹
●aiko×KAN
●Creepy Nuts×マキシマム ザ ホルモン
●森高千里×細野晴臣

どの対談も贅沢すぎて、ずっと話を聞いていたかったし、
映像作品として発売したいと思いました。

さらに良いと思うアーティストにはいち早く声をかけ、
地上波テレビ初パフォーマンスも沢山やらせてもらいました。

「Love musicがテレビ初登場」というアーティストは山ほどいますが
King Gnu、Saucy Dog、マカロニえんぴつ、緑黄色社会といったアーティストがメジャーデビュー前にスタジオに登場し
ライブパフォーマンスをしているのは自慢の一つです。

また、新人ではありませんが、
ヤバイTシャツ屋さん、KYONO、HEY-SMITH、NAMBA69、GEZAN With Million Wish Collectiveといった
テレビに出てこなかったアーティストの地上波初パフォーマンスがこの番組で実現したのも嬉しい瞬間でした。

また、あまり音楽番組に出演しない
銀杏BOYZ、凛として時雨、レキシ、ザ・クロマニヨンズ、ドレスコーズ
といったアーティストも何度も出演してくれました。

自意識過剰かも知れませんが、アーティストが
「Love musicに出たい」と思ってくれたり、
レコード会社、マネージメントスタッフが
「Love musicなら」と選んでくれたのだと思います。

「Love music」という番組名に恥じないくらい
音楽を愛し、音楽に愛されてきたチームだったと
今でも誇りに思っています。

思い出に残っている瞬間を振り返るとキリがないし
まだまだ思い出に残る瞬間はたくさんありますが、
特に印象的だったのはこの3つです。

●2019年のTHE YELLOW MONKEY特集で未発表曲をテレビ初披露!
●2019年のMY FIRST STORY特集でファンの結婚式でサプライズ企画!
●2020年のあいみょん特集で憧れの小沢健二さんと東京タワーで対談!

THE YELLOW MONKEYは音源化もされてなく、
ライブでもほとんどやったことがない
「毛皮のコートのブルース」という未発表曲を
7分超えのフルサイズで放送したことは
ファンからしても事件のような出来事でした。

マイファスの結婚式サプライズ企画も
音楽番組としては異例な規模のロケでした。
結婚式場にセットを組んだり、生演奏できる
システムを前日からこっそり準備して、
新婦へのハッピーサプライズ。
一生に一度の幸せな瞬間に、
ハッピーサプライズという素敵な企画で
関わることができて本当に幸せでした。

あいみょんとオザケンの対談も奇跡の瞬間でした。
リスペクトし合う2人が、東京タワーという
特別な場所で、それぞれの魅力を語る対談。
永遠に収録が続いて欲しいと思う夢のような時間でした。

ここまで挙げたように、
「Love music」は通常の音楽番組とは違う
色々な見せ方で、音楽、アーティストの魅力を
伝えてきました。

出演アーティストに合わせて、企画を考えたり
トーク内容を考えようという発想だったので、
自由度がかなり高い番組だったと思います。

これができたのは、制作・技術・美術スタッフの
多大なる理解、協力があって出来たことだと、
改めて感謝の気持ちでいっぱいです。

特に番組の演出・佐藤正樹さんという
パートナーが大きな存在でした。

佐藤さんとは10年くらい前に
「魁!音楽番付」という音楽番組で出逢いました。

この番組は固定のMCがいなく、
スタジオのセットもなく、歌収録もありませんでした。
決まりがないからこそ、どう見せるかを考え、
毎回、色々なことに挑戦してきました。

その遺伝子を「Love music」に継承している
部分もあったので、決まりのフォーマットだけでなく、
常に形を変えて放送をしてきました。

佐藤さんをはじめとした制作スタッフの
「普通でない、一風変わった」発想を、
具現化してくれた技術、美術スタッフ…
本当に素晴らしいチームでした!

この「普通でない、一風変わった」が
番組作りには必要な要素だと僕は思います。
他の音楽番組との差別化を図るために
キャスティングや企画の内容にも、その要素を取り入れてきました。

ネットやサブスクで流行ってる人、
みんなが知っている人気モノだけでなく、
これから人気の出そうなアーティスト、
実力もあるし、人気もあるのに、
なかなかテレビで扱われないアーティスト、
テレビにはほとんど出演していないけれど、
ライブハウス、フェスシーンでは人気の
アーティストなどに注目してスポットを当てさせてもらいました。

他の番組に勝っているとは思いませんが、
テレビ全体で色々な音楽番組を作ることが
音楽シーンの活性化に繋がっていると思い
数年間、他の番組とは被らない
“唯一無二”な番組を目指して作ってきました。

そんな「Love music」ですが
2023年9月17日に最終回を迎えます。

今日のコラムのタイトルに使った
「ゴッホ」のように、番組が終わって
数年経った頃に「伝説の音楽番組」として、
「あの番組出たかったなぁ」「復活しないかな」
というような評価をしてもらえたら、
この8年間(僕が関わった7年間)は
決して無駄じゃなかった、と誇りに思えます。

だからと言って僕が「ゴッホのような存在」
だなんて、おこがましくて云えませんが…😅

ちなみに僕の大好きなドレスコーズという
バンドが「ゴッホ」という素晴らしい作品を
数年前、この世に生み落としています。

僕の中では来世にも残したいくらいの名曲なのに
意外と世間では評価されていません…

僕がここで「ゴッホ」を紹介したところで
配信の再生数が急激に伸びるとも思わないし
大した話題にもならないと思いますが、
ちょこっと興味を持ってYouTubeで
MVを見てもらえたら嬉しいです。

見始めたら、きっと最後まで見てしまう
そんな楽曲です。

とにかく歌い出だしが印象的なのですが
僕が好きなフレーズはそこではありません。

後半の部分


ああ 男の子 ちゃんと傷つけ今は
偉大なあやまちの真っ最中
ああ 女の子 ぼくらホントにばかだけど
なんでもするよ 泣かないで

ああ 時計はまわって ごまかすんだよ
ねえ 死ぬとか今は信じられないけど

ぼくがいなくて困る人なんか
いない、とも毎朝思う
ぼくはゴッホじゃやなんだ
やっぱりゴッホじゃやなんだ



兎に角、好きな瞬間だけが続く4分30秒。

今日も満員電車の中で「ゴッホ」を聴きながら
会社に向かっています。

昨日に続き、今日も「Love music」の収録。
いよいよ最後の収録日です。

好きなアーティストが沢山来てくれます。
ドレスコーズもやってきます。

ドレスコーズ が何を歌うかって!?

それは…

ブルブルッ…

東京テレポート駅に着く直前で悪寒が…😨

早朝から深夜までの長時間の収録が
続いているうえに、
クーラーの効きすぎたスタジオにこもっていたので、
疲労から風邪をひいたようです(´・Д・)」

ゴッホ
ゴッホ



はい。タイトルの伏線回収。

以上、今日のクスリとする話お終い。

実際には風邪も引いていませんし、咳も出ていません。

ちなみにドレスコーズの歌唱曲は
「ゴッホ」ではなく、
「コミック・ジェネレイション」です!

最後の最後まで「Love music」らしい放送になっていると思いますので、
観ていただけたら嬉しいです。

♪今日のオススメ
「ゴッホ」ドレスコーズ
「コミック・ジェネレイション」ドレスコーズ

ドレスコーズ – ゴッホ
ドレスコーズ【LIVE】「コミック・ジェネレイション」(from 『ドレスコーズの味園ユニバース』LIVE Blu-ray & DVD)

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