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INTERVIEW

幻のミュージシャンをめぐる青春映画『PLASTIC』が公開中

宮崎大祐×小川あん、音楽に心酔する監督と役者が振り返る“奇跡の瞬間”

2023.07.27 17:00

2023.07.27 17:00

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70年代に世界を魅了した架空のミュージシャン、エクスネ・ケディ。7月21日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開中の映画『PLASTIC』は「本当にエクスネ・ケディが実在したら?」という妄想から誕生した。エクスネの話で意気投合した女子高生イブキとミュージシャンを志すジュンは運命的な恋に落ち、やがて別々の生活を歩み出すも、エクスネ・ケディ再結成ライヴの知らせに心を躍らせる。2人の青春を熱く彩る音楽には、全編で井手健介がオリジナルスコアを手がけたエクスネのロックンロールナンバーが使用された。

監督は『VIDEOPHOBIA』『大和(カリフォルニア)』などの鮮烈な映像世界で注目を浴び、今後も意欲作を控えている宮崎大祐。本作はもちろん、これまでの作品でも一貫して音楽へ強いこだわりを持つ監督が考える“音楽と映画の結びつき”とは。イブキ役で主演した小川あんと共に本作の撮影を振り返ってもらい、制作の裏側や両者の音楽愛に迫った。

『PLASTIC』本予告

“ボーイミーツガール”作品をやりたかった

──宮崎監督がストレートに音楽をテーマにするのは本作が初めてですか?

宮崎大祐監督(以下、宮崎) ラップの映画は昔やったんですけど、ロックは初めてですね。

──今回はどういった背景で?

宮崎 10年ぐらい前からこういう“ボーイミーツガール”“すれ違い”みたいな作品をやりたくて、なかなかタイミングがなかったところに井手(健介)さんのサントラで何かやらないかという話を(制作プロダクション・配給の)boidと名古屋学芸大学からいただきました。ちょうど井手さんのアルバムを、映画関係なくめちゃくちゃ聴いていたので、僕の持ってる話の歌詞とアルバムの歌詞をミックスして何かできないかなと生み出されました。

──では、元々井手健介さん率いるエクスネ・ケディありきだった?

宮崎 半分ずつというか。あのアルバムだけで映画撮ってって言われても、なかなか難しいと思うんですが、両方があったからさっと組み立てることができました。

──具体的な映画に落とし込む上で、物語の肉付けは宮崎さんが?

宮崎 そうですね。ディテールが割と歌詞に寄ってるというか、歌詞からインスパイアされたシーンだったり、設定だったり、セリフだったり。

──小川さんは、音楽映画は初?

小川あん(以下、小川) はい、音楽映画は初めてです。

小川あん

──お話聞いたときどうでしたか?

小川 宮崎監督の『VIDEOPHOBIA』が衝撃的で。上映後も撮影スタイルとか演出のことなど思い巡らせてて。想像を超えた映画を久しぶりに観たし、あまり日本で経験できないような映画体験でした。でも私が宮崎さんの映画に出るのは想像できなかったんです。『VIDEOPHOBIA』に出演されている方はすごくスタイリッシュだったので。自分のラインじゃないから羨ましい、みたいな。

宮崎 そうなんですか?

小川 (笑)そしたら宮崎さんからお話があって、エクスネ・ケディの曲をモチーフにした映画ですってアルバムが送られてきたんです。私エクスネ・ケディのアルバムずっと聴いてて、本当に好きだったので、すごく嬉しかったです。

──偶然だったってことですか?

小川 完全に偶然でした。

──必然性のあるお話ですね。

小川 インスタによく好きな音楽を載せてるんですけど、エクスネ・ケディも載せていて。それ、宮崎さん見てたのかな?

宮崎 いや見てないですね。見てたら覚えてる(笑)。

──必然的な巡り会わせが面白いですね。作品ではすれ違いを描いてるけど制作は全くすれ違ってないというか。僕も『VIDEOPHOBIA』観させていただいていて、『PLASTIC』の中にも『VIDEOPHOBIA』のポスターが出てくるシーンがあったので嬉しかったです。10年前からそういった着想が練られていたこと自体衝撃だったんですが、お二人は元々音楽映画に馴染みはあったんですか?

宮崎 なかなか……シビアな音楽ファンなんで、これっていうのがなくて。『シド・アンド・ナンシー』とか、最近だと『ストレイト・アウタ・コンプトン』とかいいなっていうのは何本かあるんですけど、総じて音楽がダシに使われていると思ってしまうことが多かったので、音楽中心の映画で、かつ面白いものを自分でやりたいっていう強い意志はありました。

映画『VIDEOPHOBIA』予告編

──宮崎監督は普段どのような音楽を聴かれるんですか?

宮崎 演歌以外は全部ですかね? クラシック、ジャズ、ラップ、ロック、テクノ、R&B。なんでも朝から晩までひたすら聴いています。ラップのイメージが強いと思うんですけど、元々はロックから入っていて、そこから派生した感じなんですよね。だから特に聴くのはロックですかね。

──小川さんは?

小川 私も音楽を常に聴いていて、宮崎さんと聴いてる量はたぶん違いますけど、同じようにグラムロックも大好きです。今はだいぶ定番に落ち着いて、ヴァン・モリソンを聴いてます。辿り着いた先がヴァン・モリソンで、永遠と聴けるなあと思って。あとロバータ・フラックとかキャロル・キングとか、ああいう感じが好きです。

──フォークからの派生もありつつ。

小川 フォーク、カントリーは結構好きですね。ゴスペルとかソウルミュージックもすごく好きです。

宮崎 僕はそんなに品が良くないんで、メタルとか聴いちゃいます。音楽としてはヘビーなものもここ1年は好む傾向にありますね。

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追求した“リアルさ”と“不確かさ”

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作品情報

PLASTIC

©2023 Nagoya University of Arts and Sciences

©2023 Nagoya University of Arts and Sciences

PLASTIC

2023年7月14日(金)より名古屋・伏見ミリオン座にて先行公開、21日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
制作プロダクション:boid
配給:boid、コピアポア・フィルム
2023年/日本/105分/PG-12

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

監督・脚本:宮崎大祐
出演:小川あん、藤江琢磨、中原ナナ、辻野 花、佃典彦、奏衛 はましゃか、佐々木詩音、芦那すみれ、井手健介、池部幸太、北山ゆう子、羽賀和貴、大木ボリス、平野菜月、尾野真千子、とよた真帆、鈴木慶一、小泉今日子
製作:名古屋学芸大学
プロデューサー:仙頭武則、樋口泰人
音楽:PLASTIC KEDY BAND
撮影:中島美緒 照明:加藤大輝 音響:⻩永昌 美術:林チナ
スタイリスト:小宮山芽以 ヘアメイク:菅谷征起 編集:平田⻯馬
助監督:岩﨑敢志 制作担当:牧野裕也
アシスタント・プロデューサー:郷司麻由、村上将城
ラインプロデューサー:梅村晃一

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