YATSUI FESTIVAL! 2023開催直前スペシャル対談 第2弾
竹森ゴウ×やついいちろう×奥森皐月、2年がかりで成就した大人の“本気ごっこ”
2023.06.16 12:00
2023.06.16 12:00
芸歴33年、カンニング竹山の仕事論
近年はコメンテーターとしても活躍し、芸能界で独特たるポジションを確立しているカンニング竹山。竹森ゴウの原動力も飽くなき“熱意”だったことが本人の口から語られたが、さらに深く竹山個人の人生観を知りたいと感じた我々は、タレントでありながらお笑い偏愛家としても知られる奥森皐月を急遽現場に招集。竹山の源にある想いを探るべく、無茶ぶりを承知で奥森に1対1の延長インタビューをお願いした。
奥森 元々音楽を聴くのがお好きだっていうのもあると思うんですけど、音楽を作っていく作業とお笑いを作る作業に違いはありましたか?
竹山 音楽ほぼ俺作れてなくてプロのお2人に任せてるから、方向性をどうするかとか、皆さんがより仕事をしやすくなるにはどうしたらいいかっていうことを考えただけ。お笑いの場合は俺はピンだから、自分の責任で全部やるから、そっちの方は責任の転嫁はできないというか。音楽の方はわからないから、協力してやるっていうのが楽しかったですよね。自分の知らない世界のプロの人とやって、どんどんプロのものができていくっていう工程が。
奥森 ご自身で全部作るのとはやっぱり違うんですね。
竹山 うん、そこは楽しいですよね。自分が作れない作品がプロのお2人によってできていって、そこに参加できるっていうのは物作りしていく上で楽しかったですね。
奥森 学生の頃はどういうバンドで活動していたんですか?
竹山 初めはもうありきたりなコピーバンドをやってて、よくわからなくて、途中でグラムロックみたいなのに行って、アイシャドウを入れだしたり、完全に迷っている感じの学生ですよね。でも、皆でなんかやっているのが楽しかった。スタジオに入って練習するのも楽しかったし、今考えたらライブでもなんでもないんだけど、人前で演奏するのも楽しかったね。
奥森 それがお笑いに繋がったともおっしゃってましたよね。
竹山 お客さんの前に立つって意味ではね。1番初めに立ったのは漫才でもコントでもないわけで、でもお客さんは笑ってくれてるなぁみたいな。お笑いはずっとやりたくて、でもやり方がわからなくて、途中でバンドみたいなことになったんだけど。やっぱりライブって楽しいなってその辺りから思ってた。
奥森 表現というところに関しては、今回の楽曲もその頃からずっと地続きだと思いますか?
竹山 長い目で見るとそうでしょうね。表現というか、ものを作るということで考えると。
奥森 竹森ゴウはお芝居とかなんかと近い……?
竹山 ああそうね、映画とかドラマに出てるときの感覚に近いのかもしれない。
奥森 本当に竹山さんは多岐にわたって表現をされていますよね。そこに境界線みたいなものは感じますか?
竹山 全くない。「自分はなにだからこれしかやらない」とか、そういうのは元々あんまり好きじゃないんです。「この人はなんなんだろう。よくわからないよね、この人」って思われる存在でいたいし、よく知ってほしくないのよ。俺のこととか知らないでっていう考えだから。
奥森 ご自身の心の内を知らないでってことですか?
竹山 人様が、俺のことをよく知らないって思った方がおもしろいじゃない?「この人なんなんだろう」って思われたまま死んでいった方がおもしろい。「この人よくテレビ出てるけどなんなんだろう。たまに裸出してるのに真面目なコメントしてる」とか。
奥森 (笑)たしかに。なんだか分からないのに知られてるって1番素敵。
竹山 そうそう、「なにきっかけでこの人出てんだろう」って、そういう余計なこと考えないで。
奥森 わたし今19歳なんですけど、これくらいの世代の子だと竹山さんが元々何で出てきた人か知らない人が多分いると思います。
竹山 そういう世代だと思うよ。この人はこうだから、みたいなことを世の中の人に思われた瞬間に終わるなって思ってる。
奥森 今後、音楽以外でも興味があったらなんでもやりますか? 今までにお芝居はやられてると思うんですけど、やられていない分野のオファーがもしきたとしたら。
竹山 興味はあるよね。興味があるのと、それを仕事としてやらなきゃいけなかったら、どうにかしてそっちに近づいてやろうと思う。どれもこれも中途半端ってことでもあるんだけど、そういうスタイルが好きですよね。
奥森 興味を持つかどうかの感覚って歳を重ねたりしたら変わっていきます?
竹山 変わってくと思うよ。勝手に自分が守ってきたものとかもあるのかもしれないけど、関係ねえな、と思うようになったり。
奥森 以前はやりたくなかったのにやってみたくなったことがあるってことですか?
竹山 お芝居がそうだよね。「お芝居なんかやれるわけねえだろ、お笑いが。カッコ悪いしやらないよ」って思ってたし、音楽だって「お笑いが音楽やりだしたら終わりよ」っていう変な意見持ってた。若くて尖ってる時期よ。でも今は、関係なくない? 言ってる方がダサくない? って変わった。
奥森 カッコよさとか、興味がどんどんアップデートされて変わっていくんですね。
竹山 歳取ったってことかもしれない。人生経験をいっぱい積んで、いろんなことがわかってきたってことかもしれないよね。