2023年第一弾曲「Enchant」で打ち出す“攻め続ける”モード
THE ORAL CIGARETTESの新たな武器、縛られないことで手に入れた強さ
2023.02.14 18:00
2023.02.14 18:00
改めて自分たちの居場所を確認できるツアーになる
──僕はこれはすごく前向きな歌だと受け取ったんですけど。
山中 うん、前向きな歌です。でも昔ほど……「5150」とか「ONE’S AGAIN」とか、そういう感情の出し方とは変わってきている気はします。「隠していく」っていう感覚に近いですね。自分の言いたいことだったりをダイレクトに伝えるっていうよりは「ここにも潜ませとこ、ここにも潜ませとこ」っていう。だからあんまり多く言っちゃうと隠した意味がなくなっちゃうので難しいんですけど、前向きな歌であることは間違いないです。自分がすごく前向きになっていたので、このタイミングは。
──今「隠す」って言葉を使ったけれども、それは「隠せるようになった」っていうことなのかな。
山中 なんか、「PARASITE DEJAVU 2022」の話もしましたけど、やっぱり自分の中で「こうあるべき」みたいなのを自分で作っちゃっていたので。それすら1回やめよう、みたいな。「こういうイメージやんな、拓也の歌詞って」とか、こう来たらこう来るんやろみたいな。それが好きって言ってくれる人も絶対にいると思うんですけど、そこに捉われ続けるよりも曲に対してどういうアプローチするかを考えないと曲の精度なんて絶対に上がらない。だからそういうところを解き放てたのがよかったんだろうなって。
（THE ORAL CIGARETTES Only ver.）
──一昨年話を聞いたときに、もう次のアルバムのビジョンは見えているって言ってたけど、それはどう？
山中 もう、変わった（笑）。
──絶対そうだと思った（笑）。
山中 今はもう次のアルバムのことは考えてないです。今一番やりたい曲、これがあったら俺らがすごくライブを楽しめるとか、そういうことしか考えてない。何曲かメンバー含め全員で作っていた楽曲もあるんですけど、その中でこれとこれとこの曲は今でも聴けるとか、でもこの曲はちょっと今は違うかもみたいなのとか、そういうのは出てきていて。その感覚は毎回ライブで磨かれていっているし、他のバンドのライブを見て結構変わったりするので、今はアルバムのことを難しく考えるより、今はそのときそのときの研ぎ澄まされた楽曲を作る、そのときそのときのライブで俺らが「みんなこれおもろいやろ」ってやれる、そういう部分を大事にしたいなっていう。
──オーラルってずっと、緻密に地図を描いて進んできたバンドだと思うんですよ。でも今は地図なんかなくていいし、なくても進んでいける強さを持っているっていうことですね。
山中 だから今度の2マンツアーも、ライブハウスのシーンを盛り上げるみたいなことより、ただただ友達と楽しくツアーを回りたいみたいな感覚なんです。でも結局、俺らのいた場所ってここやったんやなって思わせてくれるものになって。俺らはずっとライブハウスのシーンにいたし、そこの友達や先輩や後輩とずっと一緒にやってきたし。改めて自分たちの居場所を確認できるみたいな感じです。それが結果的にライブハウスのシーンを盛り上げることに繋がっているっていうのは素晴らしいことだなと思うし。オーラル自身がどんな曲を作ってきたか、どういう動きをしてきたかっていうことに対して若干悔やんでいた時期も一瞬あったんですけど、結果自分が楽しいところを追い求めたときに、それが今の自分のマインドとかスタンスにバチッとはまっているっていうことは、やってきたことは間違ってなかったし無駄じゃなかったって思えてる。だから今回のツアーは「VS」とついてはいますけど、対バン相手のライブもめっちゃ楽しもうと思ってるし、全員で遊び場を作るっていう感覚でやっていこうかなと思ってます。
