芸人結成物語 by やついいちろう 第6回
カミナリ(竹内まなぶ&石田たくみ)後編──不意の一発が切り拓いたロングロード
2022.12.29 17:00
2022.12.29 17:00
芸人になってはじめての“洗礼”
やつい 最初はどんなネタやったの?
たくみ 野球の漫才なんですけど、いわゆる右とか左とかを言うネタで。当時はよくわかってないけどそれがウケると思ってて。そしたら作家さんに「見た目がポップなのに内容が残念だから、誰も傷つかないネタ作ってきてもらっていい?」って言われて。
まなぶ それで2回目のネタ見せで普通の学校コントやりました。1週間で急に政治的なネタからポップなネタになったからそれでめちゃくちゃウケて。
たくみ やればできるじゃんって(笑)。
まなぶ それで所属になって、サンドさんしかいないと思ってたらナガノさんがいました。
やつい ナガノくんはナガノくんで、ナンバー1になれると思って入ってきてそうだよね?(笑)
たくみ そうですね。そこで洗礼を受けたっていうか、こんな面白い人がテレビに出てねえ世界に俺たち飛び込んじまったんだって。
やつい そもそも何でそんなにお笑いやりたかったの?
たくみ 自分が一番面白いと思って生きてきたんで、それを証明したかったんですよね。
やつい お笑い見たりはしなかったの?
たくみ 一回もこの芸人さんが好きだからDVD買おうとか、ラジオ聴こうとか一切やってこなかったんですよね。ずっとテレビで『ごっつええ感じ』『笑う犬の生活』『内P』『リンカーン』、あととんねるずさんの番組とか、ネタよりバラエティを見て育ちました。
やつい まなぶくんは?
まなぶ 初めてネタで笑ったのが中二のときのオンバトのU字工事さんのネタですね。
やつい 結構早いんじゃん(笑)。
まなぶ 訛ってるから面白かったんですよ。
やつい コンビ名は最初からカミナリなの?
まなぶ 最初はブッダってコンビ名でした。
たくみ BUDDHA BRANDからとって。
まなぶ そしたら1ヵ月くらいしてマネージャーから「宗教っぽいから変えてくれ」って言われて。でもいい名前が全然思いつかなくて。名前つけるの得意な人って母ちゃんだよなって思って母ちゃんに電話したんですよ。そしたら「カミナリだね」って言われて。
やつい 何でカミナリだったんだろうね。
まなぶ それがずっと分からなくて。でもある日実家に帰ってスーパーのトイレに入ったらトイレの扉の溝が雷の形してて。たぶん母ちゃん電話したときうんこしてたんだと思うんです。
一同 (爆笑)
やつい よかったね、「うんこ」とか「便所」じゃなくて。
まなぶ おかげで去年ドリフの特番呼んでもらって一緒に雷様やらせてもらったりして。
やつい それも2人が結果残してるからだよ。いつから今のスタイルになったの?
まなぶ 2014年に有りネタのコントで単独ライブを初めてやったんですよ。
やつい 徐々に人気出てきてたんだ?
まなぶ いや、それが地元の公民館でやったんですよ。
たくみ お前ら地元なら友達とか呼べるだろって言われて。それで300人くらい集まったんですよ。
やつい すごいじゃん!
たくみ ただ一本だけ全然ウケなかったんですよ。
まなぶ 俺ら的には一番自信あるコントだったんだよね。
たくみ 「だから田舎者は」ってめっちゃムカついたんですよ。あと、まなぶが悪いんじゃないかとか色々イライラして、無言で急にまなぶの頭叩いたんですよ。そしたら異常にウケたんですよ。試しにもう一回無言で叩いたらまたウケて。
やつい 急に叩かれてどうだったの?
まなぶ 普通だったら怒るんですけど、感じたことないくらいウケたんで嬉しいが勝っちゃって。これが砂場で砂かけられた話につながるんですよ。「あっ、この光景見たことあるな」って。
やつい 嘘だろ?(笑)
まなぶ ほんとです!(笑)これはなんかあるなって思って。
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