庄村聡泰(ex-[Alexandros])が前夜祭から徹底レポート
オーディエンスとして、前夜祭から4日間楽しみ尽くした「はじめてのフジロック」
2022.08.15 17:05
HALSEY
2022.08.15 17:05
(取材・文/庄村聡泰)
まあ正味なお話、いつか来るのではなかろうかと思って腹積りはしていたのだ。自身の執筆活動を「#ショウムライター」と銘打つ事として1年と数ヵ月。意外と早くにお鉢が回って来たもんだと、相手取るのは去る7月29、30、31日に開催されていたFUJI ROCK FESTIVAL ’22。こちら完全なる遊びの名目にて前夜祭含め4日間参加していたのだが、ここに記録として綴ることができるのが超嬉しい。
ちなみに筆者とフジロックとの関わりをざっくりと以下に記しておく。
⚫︎2005年、前夜祭と初日(COLDPLAYからのFOO FIGHTERSという、今考えるととんでもない並び)に参加。
⚫︎2014年、初日の終わりから3日目のクロージングアクト(THE POGUES)まで。
⚫︎2015年、[Alexandros]で3日目のGREEN STAGEに出演。
⚫︎2022年、一般客ではじめて“前夜祭から4日間”ひたすらに楽しみ尽くす。
前夜祭──7月28日
やっぱりここから行きたい前夜祭。毎年こちらのみ入場無料として行われているものの去年は開催されずで今年は復活。めでたい。フジロックの開幕を告げる苗場音頭には間に合わなんだものの、Helsinki Lambda ClubとROOT SOULともち豚串とビールで明日から始まる本祭への英気を養い、来場者出演者スタッフ様への労を勝手にねぎらった。
DAY1──7月29日
いよいよ本番初日。2020年の春に単独来日が予定されていたもののパンデミックの影響によりキャンセル。悲願の初来日となったTHE HU。ツインエレキ馬頭琴やパーカッションを従えた多人数編成にて奏でられる土着音楽 × メタルと言う何とも味わい深いサウンドはさながら映画のサントラを聴いているかのよう。基本的に音程の上下が少ないメロディからはこれも一種のドゥームメタルなのかもなんて思いながらモンゴルの風を感じる。
レゲエくてジャズくてアーランベー(R&B)なASOUNDに気持ち良く身を浸した後には今年一杯で無期限活動中止を発表しているKIKAGAKU MOYO。去年の四人囃子を泣きながら配信で観ていた(好き過ぎて)筆者にとってはご馳走とも言える、ハードでサイケでプログレッシブなステージであった。
その後、THE NOVEMBERSがけたたましくも雄大なライブを繰り広げる中、Original Loveへ。26年前にリリースされた 『プライマル』が初聴きだった筆者にとって、生で観るのはお初でした。真っ白なスーツに身を包んだソウルパワーの権化に魅了され長く甘い口づけ(接吻)を賜る。
しかしフジロックとはかくも強烈な磁場である事か。これを書かん訳にはいかんのだが、知人友人先輩後輩にとにかく出くわすフジロック。その数ざっくり3〜40名。立ち話は長話となり、食事や酒を酌み交わす間に自身のタイムテーブルが狂いに狂うのも醍醐味の一つだ。
AwichからのHIATUS KAIYOTEというパワフル極まりないコンボに、脳と腰をゴキゲンに揺らされた後は初日のヘッドライナーであるVAMPIRE WEEKEND。過去何度も来日経験のあるバンドであるが、筆者は見逃しまくっており、個人的には念願の体験。大きな地球儀を模したステージセットをバックに、時に大らかに時に性急に、楽曲を畳み掛けていく。[Alexandros]が時折遊びで弾いていた“Cousins”が聴けたのは本当に嬉しかった。あとエズラ(Vo.Gt)がイケメンだった。あと音響トラブルで中断中にチラと観れたSMTKがまたとんでもなくカッコ良かったんだよなあ……。
ステージ毎で雰囲気がガラリと変わるのもフジロックの特徴のひとつであるが、今宵の締めはキャンプサイトの奥の方に設置されているPYRAMID GARDENにて、清春。例年Candle JUNEがプロデュースを務めており、ステージ前には大小様々な蝋燭がずらり。揺らめく炎で軽いトランス状態に陥いりそうな中での清春のパフォーマンスは何とアコギとチェロを従えたアコースティック編成。歌とも叫びともつかないフェイクが深夜の森に響き渡る。あえて言っておくが、観なかった方は正直後悔した方がいい(とはいえ俺だってOGRE YOU ASSHOLEもBONOBOも浅草ジンタもおとぼけビ〜バ〜も観たかったさ。泣)と思うくらいの非日常または異空間、或いは亜空間を、体感させてくれた。
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