Bezzy[ベジー]|アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

SERIES

関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ! 第2回

謎の高校生のおかげで100点になった映画『片腕ドラゴン』

2022.07.29 12:00

2022.07.29 12:00

全ての画像・動画を見る(全7点)

関根勤が偏愛するマニアックな映画な語る連載「関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ!」。第2回目は2022年4月5日にこの世を去った台湾の俳優であり監督のジミー・ウォングが主演・脚本・監督を務めた『片腕ドラゴン』について語ります。

カンフーの修行をする門下生、チェンロンがある日対抗流派の門下生に絡まれたことをきっかけに、二つの道場の間で全面戦争が始まる。敵の道場主であるチャオはチェンロンと彼のマスター、ハンを亡き者にしようとアジア各国から凄腕の格闘家を集めた。その圧倒的な戦力で殴り込み、多くの弟子が殺されチェンロンも腕をもがれて、瀕死に。しかし、そこから片腕になった彼の復讐が始まる!

荒唐無稽で理屈度がえしの面白演出も盛りだくさんな本作を、映画館で観たときに印象的だった高校生たちとの思い出とともに語っていただきました。

第2回『片腕ドラゴン』

『片腕ドラゴン』はジミー・ウォングの作品ですね。彼はジャッキー・チェンやブルース・リーが出てくる前の時代の人です。僕のイメージでは、昔の時代劇に出ていた大川橋蔵さんに近い。そのくらい、スターです。彼の映画もいくつか観ていましたが、『片腕ドラゴン』に関しては僕の中で一つエピソードがありましてね。

ジミー・ウォング 写真:AP/アフロ

渋谷のパンテオン、今でいう渋谷ヒカリエがあるところにあった映画館で本作を観ました。で、後ろにね、高校生が二人いて。この二人が的確に映画にツッコむんですよ(笑)。 まあ、要するに主人公が片腕を悪役にもがれてしまい、そこから鍛える映画なんですよね。その鍛えるシーンでなんか熱い釜の中に手を突っ込んだり、上から重石を置いたりして。そしたら後ろから「おい、(釜の中に)入れてるよぉ」って。「あんなところ入れてんの、大丈夫かよぉ」って声が聞こえてくる。

本作には悪役もいろんな人が出てくるんです。日本の空手家やタイ式のキックボクサーなど世界の武術家がね。そのうちの一人としてチベットの僧が登場する。その彼は、自分を守るために身体を膨らませるんです。そうすると、どこを打たれても攻撃が効かない。ところがそれ、当時はCGもないので役者の服の中に風船を入れて膨らませているんですね。それを後ろの高校生が「おい、膨らんでるよぉ」「おい、空気で膨らんでやんのぉ」とか言っているんですよ。悪役の一人である日本の空手家は黒い空手着を着ていて、そこに「沖縄流」と、書いてある。その高校生は空手っていうのが沖縄から本土に来たことを知らないんでしょうね。それを「おい、沖縄流だってよ。なんだよ沖縄ってよぉ」って言い出す。もう、おかしくって、おかしくって(笑)。 とにかく騒がしい。やっつけられると、「弱え〜」とか言うんですよ。何でもツッコムのがすごくて、それが抜群に面白くて。一人で観ていたら多分70点くらいの映画ですが、この二人の解説とツッコミで100点超えましたね。

僕は今でも後悔しているの。あの高校生をね、喫茶店に誘ってね。渋谷のユーハイムとかで、バームクーヘンをご馳走すれば良かったなあ、って。「君たちのおかげで映画が楽しめた」って。電話番号とか連絡先を交換してれば、一生付き合えたなって思っている。あの二人はセンス良かったから、もしかしたら今どこかで偉くなっているかもね。1974年公開の作品で、観た時の僕は21歳だから5歳くらいしか違わなかったと思うんだ。誘えば良かったよな〜、「ありがとう」っつって。

僕は格闘技を中学1年の時から見ているから、タイ式キックボクシング、空手、カンフーの違いや見分けることができる。ただ、映画ではみんな中国の方がやっているから全然タイ式じゃないんですよ。全部、中国拳法の流れでね、それもおかしくて。荒唐無稽だよね。あの高校生のおかげで、『片腕ドラゴン』って僕の中ですごく面白かったってイメージがあるの。彼らに出会ってなかったら僕、本作に対してそんな良い印象を持ってないと思う。「くだらねえなあ」って。なので、これから観る方もツッコミながら観ることをオススメしたい。短くて観易いし、ブルース・リーの映画とは全然違う馬鹿馬鹿しさを楽しんでいただきたいです。

ウォングさんの方が若いけど、ブルース・リーよりは先輩だからね。彼は『燃えよドラゴン』で売れた遅咲き俳優で、そこからスターになったわけだけど、ウォングが彼に抜かれたことをすごく嫌がっていたという話は聞いたことがあります。

次のページ

関根勤の香港映画ブームの火付け役は

作品情報

片腕ドラゴン

片腕ドラゴン

1974年公開
原題:獨臂拳王/英題:One Armed Boxer
上映時間:92分
製作国:香港
配給:東宝東和

購入はこちら

スタッフ&キャスト

監督:ジミー・ウォング
脚本:ジミー・ウォング
製作:レイモンド・チョウ
製作総指揮:ジミー・ウォング
出演者:ジミー・ウォング、タン・シン、ティエン・イェー、ライ・シュン、ブラッキー・コー
音楽:F・L・ウォング
撮影:J・S・モウ
アクション指導:チェン・シーウェイ
製作会社:ゴールデン・ハーベスト

RANKINGランキング

RELATED TOPICS関連記事

  • 渡辺みり愛のソラ模様 私は水族館に住みたい

    第6回 2022.09.24 17:00

    今回は水族館!私の愛してやまない水族館 ずっと応援してくださっている方は私が水族館好きな事は知ってますかね?ウミガメが好き過ぎてグッズ作ったりしてるくらいだから流石に分かりますよね!笑 さて水族館ということで今回はすみだ水族館にお邪魔しました。これ言っていいのか分かりませんが1番通ってる水族館です(いや言うんかい) 水族館をいつから好きになって通うようになったのか定かではありませんしそれこそウミガメもいつからこんなに愛しているのか本当に覚えてなくてでも何年も前から愛してるから(なんかきもい)時期というのははっきりは言えないんですけど。 水族館に1人で行くようになったのはここ1、2年の話ですね。<a href="https://bezzy.jp/2022/09/9287/">…

    #渡辺みり愛#渡辺みり愛のソラ模様

  • × ナノカ × × サウナ ①

    第3回 2022.09.07 12:00

    第3回目になりました。タイトルの通り、今回は『サウナ』への想いを綴ろうと。しております。 企画の軸であるカメラマンとのコラボはどうなったんや?と、思われている方もいるかもしれません。 そちらも引き続きやります!!!そちらの計画も進んでおります! 撮影に関してはいいタイミングが重なった時に決行できる感じなので他にも色んなワタクシゴトを聞いてくださると嬉しいです。 そしてたまにくるカメラマンコラボ回も楽しみにしていてくださると嬉しいです。そんなわがままな私です。どうぞよろしくお願いします。 ということで!改めて今回は『サウナ』について。よく聞かれる事にも答えていきながら菜乃花的サウナへの向き合い方<a href="https://bezzy.jp/2022/09/7917/">…

    #× ナノカ ×#サウナ#菜乃花

  • パンサー・菅の若者に教えたい遊び スーパーポテト――秋葉原で触れる遊びの原点

    第2回 2022.09.09 12:00

    パンサー・菅の若者に教えたい遊び、第2回目で紹介するのは秋葉原のレトロゲームショップ『スーパーポテト』さん。秋葉原はここ何十年かで街が生きているかの如く、一定のラインからはブレずに進化を続けていてとても興味深いエリアでございます。 元々僕はゲーム漫画アニメなどのカルチャーが好きなので、比較的若い頃からよく秋葉原には遊びに行っていました。ここ最近「Y2Kファッション」という2000年代に流行ったファッションがまた盛り上がってきているとシソンヌの長谷川君が言っていましたし、僕たちからしたら懐かしいの代表である「カセットテープ」が逆に新しいと言ってラジカセで音楽を聴いてみたりしているなんて話も聞きま<a href="https://bezzy.jp/2022/09/7942/">…

    #パンサー・菅#パンサー・菅の若者に教えたい遊び

  • 関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ! 現代社会に通じるテーマの不朽の傑作『切腹』

    第5回 2022.09.18 12:00

    関根勤が偏愛するマニアックな映画な語る連載「関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ!」。第5回目は1962年に公開された映画『切腹』。舞台は1630年。幕閣の中枢として活躍を認められていた井伊家の江戸屋敷門前に、老いた浪人(仲代達矢)が突然訪ねてくる。生活苦の末、生き恥を晒していくのも何なので、武士らしく切腹して死のうと思うから、その場所にお宅の庭先を貸してくれ、という要件だった。これを聞いて不審に思った家老の斎藤勘解由(三國連太郎)は彼を家にあげ、つい先日全く同じことを訪ねてきて切腹をした若い浪人の話を聞かせる……。滝口康彦の小説『異聞浪人記』(1958年)を原作に、小林正樹監督が撮っ<a href="https://bezzy.jp/2022/09/8846/">…

    #仲代達矢#切腹#関根勤#関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ!

  • 木﨑ゆりあの“昨日の自分を愛せるか?” 「バレエを習う日」

    #3 2022.09.17 12:00

    唐突ですが、バレエを習いたい!! そうです。お気づきの通り現在バレエブームが到来中です。 私は若干影響されやすいタイプでして、最近はキッチンで爪先立ちしてみたり、ジャンプして移動してみたり、なにも無いところでターンしてみたり、もう日常がバレエ一色。 というのも実は最近、マシュー・ボーン演出の『白鳥の湖』を観まして、これはトミー賞も取った傑作なのですが、なんと言ってもお目当てはアダム・クーパー!!!! もう彼が凄いったらありゃしない。スターとは彼のためにある言葉、手足の長さはもちろん、筋肉のバランスの良さ、背中から漂おうオーラ、目鼻立ち、表情、もうどこをとっても、いつ、どこから、誰が見ても完璧す<a href="https://bezzy.jp/2022/09/7989/">…

    #木﨑ゆりあ#木﨑ゆりあの昨日の自分を愛せるか

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram
  • YouTube

SERIES & SPECIAL連載&特集

ALL SERIES

RANKINGランキング

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram
  • YouTube