役者として、映画・ドラマ・舞台で活躍中。
ワイルドな役柄からコミカルな役柄、舞台演出までこなす久保田悠来は実は大の漫画好き。
そんな彼が毎回“◯ける”漫画をご紹介。
ウケる、泣ける、はよしとして、あの言葉やあの言葉は大丈夫ですか……?(by 編集部)
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転がされる──変
第13回 2024.06.21 19:00
なんとも変である。思春期当時の僕の心境、この漫画を読んでモヤモヤモヤモヤしていた。モヤモヤすぎてモヤというよりもはや煙。煙に巻かれている感覚である。 どっちがどうでどれがどうでどうなんだと。そして奥浩哉先生らしい抜群のスタイルやビジュアルのキャラクターとその摩訶不思議ストーリーが、思春期好奇心爆発誘発でその手を止められない止まられないどこぞのかっぱえびせん状態に誘われるのである。 『変』 まず主役の1人である鈴木。高校生にして190cmの長身、容姿端麗にスポーツ万能だが、目立つリーゼント頭のケンカも滅法強い不良。1人暮らしで、相手を見つけては部屋に女性を連れ込んではたらしこむモテっぷり。そんな<a href="https://bezzy.jp/2024/06/46179/">…
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はこぶ──『極道パラサイツ』
第12回 2024.04.12 19:00
愛おしいものを常に持ち歩きたい。誰しもが抱いたことのある感情だと思う。 特に子供の頃は顕著なものである。大好きなお菓子や玩具やぬいぐるみ、そして飼っているペットまでも。どんなに大きいものでも無茶言って持っていきたいと駄々をこねていたのも懐かしい記憶だ。 同時にこう思っていた。これを小さくしてポケットに詰め込めたらどれだけ嬉しいのだろうと。 そしてもうひとつ小さい頃から叶わぬ夢があった。おとぎ話や漫画で目にすることの多かった事象であり数々の不思議な道具や魔法で変身、または最初からその世界観である小人の世界だ。ある時は寝てる間に靴を直し、ある時は茶碗で川下り、ある時はお人形ハウスの豪邸で牛乳のお風<a href="https://bezzy.jp/2024/04/43165/">…
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つなげる──7SEEDS
第11回 2024.03.08 19:00
目覚めた時、そこには闇。突然入る一筋の光。大声を出して話しかけて来る知らない誰か。身に覚えのない場所。外に出れば荒れた海。ボートには助けてくれる知らない人々。少女は思う。ただいつものように寝ていただけだったのにと。少年が言う。ただいつものように寝ていただけだと。皆が言う。自分たちも同じだと。 今回紹介する漫画は『7SEEDS』。 来る「衝突の冬」と呼ばれる人類が死滅するやもしれぬ未曾有の災厄に備えた、世界の政府が立ち上げた最終プロジェクト名「7SEEDS」。未来のために選ばれた若者たちを冷凍保存し、再び人間が住めるであろう環境になったとコンピューターが判断した時、解凍し放出される。登場人物たち<a href="https://bezzy.jp/2024/03/41413/">…
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夢見る──女の園の星
第10回 2023.12.08 17:00
秘密の花園。なんとも想像を掻き立てられる響き。いつ覚えた言葉なのかもわからない。作品自体なのか比喩として耳にしてきたのか、メディアを通してなのか、はたまた誰かから伝え聴いたのか。いずれにせよ、どことなくいつかこの禁じられた男子禁制的なものに覗き見触れるような時があるならばひとつ大人の階段を昇るのではないかと、思春期真っ只中、男子校出身まさに男子高校生の私は思っていた。そしてそれはある日突然訪れた。家庭科の実習授業を姉妹校である近隣女子校にて実施するため選ばれし者が行けることになったのだ。 この時ばかりは担任の先生がオビ=ワン・ケノービに見えた。そして見事選ばれし者だった私の道中の足どりは軽くま<a href="https://bezzy.jp/2023/12/37113/">…
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生き続ける──バチバチ
第9回 2023.10.27 17:00
今、再び大相撲が注目を集めている。その一因となっているのが今年Netflixで配信された『サンクチュアリ』という相撲を題材とした作品なのはご存知の方も多いだろう。 かつて30年程前にも大ブームが起きていた。いわゆる若貴ブームである。兄弟である2人の力士が並みいる強者たちや当時台頭し始めた外国人力士を倒し出世して行く様はお茶の間を大いに沸かせた。当時小学生だった私も夢中でブラウン管にかじりついていたのを覚えている。 地域柄、道行く数多の相模(さがみ)ナンバーを全部相撲(すもう)ナンバーと読んでしまうくらいには夢中だった。あの頃の多くの平塚市の子供たちは混乱したことであろう。テストすれば三分の一く<a href="https://bezzy.jp/2023/10/35171/">…
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泣ける──『プラタナスの実』
第8回 2023.08.14 17:00
泣ける。最初から言っちゃいます。こんなに安易に伝えたいわけじゃないんです。漫画を読んでいても別に泣かせてやろうじゃないんです。言い方を変えましょう。沁みるんです。まさに字面のごとく“心”に“水のさんずい”で沁みちゃうんですよ。登場人物の心がお互いに沁み合った時の1コマがまたたまらん。その1コマの絵が極上に優しいんです。 人間の芯の真の心に触れてくるというのでしょうか。そう、今回の主人公の名前は真の心と書いて真心(まこ)。真心君は見た目はおかっぱのような髪型の中性的にもみえる小児科医の男性。趣味だか本気だかはわからないがYouTuberもやっているが少しもバズらないうえに悪意あるコメントに傷つく<a href="https://bezzy.jp/2023/08/30405/">…
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働ける──島さん
第7回 2023.06.29 17:30
今回ご紹介するタイトルは『島さん』。 舞台は何の変哲もない平穏な街のコンビニ。そしてそこで働く何の変哲もないおじいさんの物語……な、わけもなく、この優しそうなおじいさんにはある秘密がある。 もうお分かりであろう、このおじいさんの名前が島さん。島さんは基本的に働く時間帯は夜勤で、ヘルプとしても他店によく出向くベテランコンビニ店員。しかしその経験値とは裏腹に仕事ぶりはとても機敏と言えるものではなく、ひと際腰も低いせいか若い店員達に足手まとい認定されることもしばしば。田舎の夜にぽつんと輝き安心感を倍増させてくれる夜間のコンビニ。そりゃ人も集まりますよね。 かくいう私も20代前半の頃は光に集まる虫のご<a href="https://bezzy.jp/2023/06/27948/">…
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化ける──九龍ジェネリックロマンス
第6回 2023.04.20 17:00
今回紹介するのは『九龍ジェネリックロマンス』。 このエッセイではお馴染みのタイトル推測から始めよう。当初は表紙も相まってやはり中華風の世界観で繰り広げられる恋の話かなくらいだった。もちろんところがどっこいである。主人公は眼鏡で大人しめで清潔感もあるがどこかすれた雰囲気と色香を漂わせる不動産勤めの女性鯨井。そしてそこの同僚の男性でなぜか気になる存在の工藤。そしてその舞台となる街が“九龍”なのだ。 まず先に言いたい。この物語、絵で魅せてくれる。鯨井の地味ながら漂うフェロモンや工藤の武骨な優しさはもちろんのこと、コマ割りやコマの使い方で表される感情の機微の間が好み、てか好き。そしてそれが最大限に生か<a href="https://bezzy.jp/2023/04/23536/">…
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ノゾケル──ダーウィン事変
第5回 2023.03.13 17:00
ダーウィン。この名前をご存知の方も多いでしょう。かくいう私もそこまで詳しいわけでもないが勿論聞き馴染みのある名前だ。 まず出てくるのがダーウィンといえば進化論。進化論の解釈は色々あるであろうし、それは専門著書にお任せするとして、私のピザのウルトラクリスピーくらいうっすい知識でパッとイメージできるのはいわゆる人類の起源と軌跡についてであり、よくみる猿からヒトになるまでのあの絵である。 そこでいつも思うのである。そろそろこの進化の法則でいったら猫あたり二足歩行してくれないかなと。めちゃめちゃ賢い猫の代表が猫の集会で司会進行を務め、たまたま夜回りしてる私にどんな理由で集まってるか教えて欲しいものであ<a href="https://bezzy.jp/2023/03/21005/">…
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推せる──【推しの子】
第4回 2023.01.30 17:00
彼らは誰しもを惹きつける存在。 元来の意味するところは偶像。しかし今それは憧れの対象と意味を変え、彼、彼女たちに熱狂し、おかげで日々の生活に張りが出たり目標ができたり、心が潤い満たされる。何でもない毎日に彩りを与え、何でもない毎日を特別な日にすら変えてしまえる、日本の芸能史においてもジャンルを超越しどこでも活躍し燦然と輝く存在……そうアイドルである。そこで今回紹介する漫画『【推しの子】』である。 まず“推し”。 ひと昔前はアンダーグラウンドでどこかで肩身狭く世に潜んでいたこの活動が、今や市民権を獲得し大手を振って語られるまでに至った。推し活、推し事、先述した通り人々は毎日の糧にこれらの活動をし<a href="https://bezzy.jp/2023/01/17938/">…
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キける──カラオケ行こ!
第3回 2022.10.13 12:00
ギャップが好きだ。いわゆる意外な一面なわけだが、第一印象のそれが大きく左右すると思う。しかもマイナスから入れば入るほどそれはポジティブに働くように思う。かく言う私も黙っていると怖がられること多々だが、少し笑えば良い人だと思ってもらえるのでラッキーだ。 さてそこで今回の『カラオケ行こ!』。和山やま先生は話と登場人物にギャップをもたらす天才だと思う。物語は簡潔にいうと少年とヤクザのカラオケの話だ。 ね、すでにギャップだらけでしょ。中学の合唱部部長の少年・聡実くんと歌が上手くなりたいヤクザ・成田狂児の梅雨から夏にかけての物語。歌が上手くなりたいアラフォーのヤクザがまず合唱コンクールを観に行って、優勝<a href="https://bezzy.jp/2022/10/10289/">…
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漕げる──海が走るエンドロール
第2回 2022.08.25 12:00
タイトルからどんな漫画なのか誰しも少なからず推測する。作り手側もここに対するこだわりがないわけはない。それはその作品の印象と行く末を担うものであり大きな伏線にして回収であったりもする。そして今回とりあげる漫画はこちら。 『海が走るエンドロール』 気になる。もう気になる。我々が第一印象で浮かぶ“海”は決して走らないし、エンドロールとは映画などで暗転してから最後に流れる作品関係者たちのクレジットだ。そもそも映画大好き人間の僕は元々エンドロールのあの時間が好きだった。余韻に浸りつつこんなにも大勢の人達が作品に関わっているのだと思いながら眺めていた。近年役者になってからは、そこに自分の名前がある喜びや<a href="https://bezzy.jp/2022/08/6724/">…
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カける──地雷震
第1回 2022.07.18 12:00
気がつけば僕はまたここに必死に“駆けつ”ける。 『地雷震』との出会いは齢19の頃…20年以上前になる。 これまでも家にあったものは何度も繰り返し読んでいたりと、漫画が好きには変わらなかったのだが、別段新しく買い足すこともそれほどなく、なんとなくな浪人生活を過ごしていた。 そんなある朝、とあるきっかけで(またその作品の時に話せるはず)どうしてもその作品が読みたくなり近所の書店に原チャリ飛ばして駆けつけ夢中で読破。そして久保田悠来に第2次漫画ブームが起こる。 しかも今度はより一層大人向けで刺激あるいわゆる青年誌を中心に。 その時に次何を読もうかなと本棚舐めまわしていたところふと目があったのが『地雷<a href="https://bezzy.jp/2022/07/3746/">…
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アける──“◯ける”漫画
2022.07.04 00:00
皆様ごきげんよう初めまして久保田悠来です。この度Bezzyにて連載を仰せつかることになりました。 最初にジャンルは何でもいいので、何か定期的に連載をということでお話を頂きました。多種多様なテーマがある中、やはりこれまでの人生で変わらずずっと好きであり、私の人格形成や人生設計において、多大なる影響を受け、もはや有り難い事に仕事でも関わることが増えてきたものをここに記していきたいなと思いました。 ということで、『漫画』です。物心ついた頃より気づけば傍らにあった漫画たち。実家の渡り廊下の本棚で日に焼けた漫画を何度も何度も飽きずに読み返していた幼少期。兄が集め引き出しにコレクションしてた漫画を見せても<a href="https://bezzy.jp/2022/07/1607/">…