映画『時給三〇〇円の死神』の裏話から覗く意外な素顔とは
「落ち込みやすい性格だからこそ、未来に目を向けたい」福本莉子が育んできたポジティブ思考
2026.10.14 19:00
2026.10.14 19:00
これまで様々な青春映画や恋愛映画でピュアなヒロインを演じてきた福本莉子。でも実は素顔は、根っからの大阪人。邦ロックが好きで、フェスでは積極的に前方エリアに乗り込むアクティブな一面も。知れば知るほど、清楚なだけじゃない、等身大の姿が見えてくる。
そんな彼女が公開中の映画『時給三〇〇円の死神』で演じるのは、人生に絶望していた大学生・佐倉真司(西畑大吾)を《死神》のアルバイトに誘う、ちょっと不思議な同級生・花森雪希。無邪気で天衣無縫。でも、どこかダークでミステリアス。まるでファム・ファタールのような気配を漂わせた花森雪希は、福本莉子の新しい境地を覗かせる役どころだ。
第8回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリに輝いて10年。まだ私たちの知らない福本莉子が、ここにいる。

冒頭の佐倉くんに胸が締めつけられました
──花森雪希は一見すると天真爛漫なキャラクターですが、誰も知らない“秘密”を抱えています。福本さんのお芝居を拝見すると、随所でそうしたニュアンスを醸し出されていたように見えました。どんなことを意識して、花森という役にアプローチされましたか。
原作を読んでいても、花森さんが会話のリズムをつくっているような台詞が多くて。花森さんの明るさが佐倉くんを引っ張っているんだなというのは感じました。ただ、その明るさの裏にあるものがこの作品の核になっている。そこをちゃんとイメージして、普段明るく振る舞っているときも、その裏にあるものを心に置いて演じるようにしていました。
──時折、すごく花森が残酷に見えるんですよね。あれは、何か監督からディレクションがあったんでしょうか。
1件目のアルバイトを終えた後、佐倉くんに《死神》の仕事について説明するシーンがあるのですが、落ち込んでいる佐倉くんを見ていたので、最初は少し優しめで佐倉くんに寄り添うような温度感で演じていたんです。すると、監督から「もっと冷たくていいよ」とアドバイスをいただき、突き放すわけではないけれど、感情を抑えて淡々と説明するように意識しました。
完成した作品を観たら、それくらいのテンション感のほうがしっくり来るものがあったんですよね。監督のイメージされていたものが見えた気がして納得しました。
──酒井麻衣監督は、現場ではどんな方法で俳優の芝居を引き出す方なんでしょう。
監督の頭の中に、こういうふうにしたいというイメージが明確にあって。それをすごくわかりやすく私たちに説明してくださるんです。花森さんについても、「こういうふうな動きをしてみても面白いかもね」と実際に動いて説明してくださって。それがまたすごく花森さんらしく、いいヒントになりました。

──酒井監督は映像表現もファンタジックで独創的ですよね。ああいうのは、仕上がりはこんな感じになるよと現場で俳優に共有してくれるんですか。
そうですね。たとえば冒頭で佐倉くんと花森さんが出会うシーンも、ここで雨粒が止まってというふうに口頭で説明してくださっていましたし、さっきお話しした《死神》のアルバイトについて説明するシーンも、ここでこういうアニメーションが入りますと事前に聞いていたので、演じていてとてもイメージしやすかったです。
私が特に素敵だなと思ったのは、冒頭の演出です。花森さんと出会うまでの佐倉くんの様子が断片的に描かれていくんですけど、シーンの切り替え方が面白くて。カッコいい演出だなと思いましたし、佐倉くんはこんなふうに過ごしていたんだと胸が締めつけられました。
──映画の中では、いろんな死者のエピソードが描かれていきます。特に心に残ったエピソードはありますか。
やっぱり夕ちゃんですね。花森さんとしても、夕ちゃんはいちばん救ってあげたいと思った人物。思い入れがあったし、演じる(泉谷)星奈ちゃんの可愛らしい見た目もあって、あの展開は衝撃的でした。

──あのエピソードがあることで、感動のヒューマンドラマにとどまらない、物語の奥行きが広がった気がしました。
その前に佐津川(愛美)さんが演じる広岡さんのエピソードが入っているのがまた効果的なんですよね。広岡さんのお話が母親視点で、夕ちゃんは子ども視点のお話。この映画自体が全体として家族をテーマにしているんですけど、母と子どものエピソードが交互に描かれることで、すごく物語が多角的になった感じがしました。
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