グループ史上屈指の卒業コンサートで示した乃木坂愛の形とは
梅澤美波が残した“一緒につくる”ライブの到達点、ファンと未来を分かち乃木坂46は15年目の新章へ
2026.05.24 17:00
「乃木坂46 14th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY3 〜梅澤美波 卒業コンサート」より Ⓒ乃木坂46LLC
2026.05.24 17:00
最後の最後まで、本当に強く、偉大で、超カッコいいアイドルグループのキャプテンの姿がそこにはあった。乃木坂46結成を記念して毎年行われる通称「バスラ」、14周年を迎える今年は東京ドームがその舞台として選ばれた。グループ初となるドーム3Daysの最終日はそんな乃木坂46の3代目キャプテン・梅澤美波の卒業コンサートであった。前日のDay2のレポートに続き、ここにその模様をお届けしたいと思う。

超満員の客席はいつも通り、ファンが自然と照らすようになったグループカラーのサイリウムで紫一面に染まって……いなかった。そう、乃木坂46をはじめとした坂道グループはいわゆるメンカラ(メンバー固有のカラー)を待たない代わりに2色のサイリウムで構成されるサイリウムカラーをメンバーそれぞれが持っており、梅澤のサイリウムカラーは青×水色。そのカラーで一面に染まった客席を梅澤に見せたいというファンの素敵な計らいであり、同系色のグラデーションで染まる客席はさながら青空のような美しさだった。
恒例の影ナレを務めるのは田村真佑と弓木奈於。ともに4期生であり梅澤の後輩ながら同い年という間柄の2人が開演前に梅澤の好きなところ(弓木曰く“メンバーの名前を呼ぶ時の声がかわいくなるところ!”など)を互いに挙げ合うというこちらも素敵な掛け合いで場内を盛り上げ、暗転。東京ドームをバックに佇む梅澤に加入当初の制服に身を包んだ残りの3期生3人が、同じく当初の制服を纏った4期生、5期生、6期生がそれぞれ合流し、客席側へ振り返った梅澤がこちらの手を引いてドームへ向かう、という撮り下ろしの映像とともに「Overture」が流れ、ライブはスタート。

1曲目としてパフォーマンスされたのは青空のグラデーションのような自身のサイリウムカラーにぴったりのセンター曲「空扉」。客席はもちろん先述の通り一面美しい青空色に染まっており、そちらを気球に乗って登場した梅澤が遊覧飛行するという、偶然にしては完璧すぎるオープニングであった。なんて素晴らしい情景なのだろう。ファンの思いとグループの思いはひとつだ。だが梅澤はそれを目にしてもなお「会いに来てくれてありがとう!皆さんを楽しませます!」とファンへの思いを口にしてくれる。なんて素晴らしいキャプテンの姿なのだろう。曲間語りのパートを任された遠藤さくらはすでに涙ぐんでおり、賀喜遥香も感慨深げに本日への思いを語る。「誰も梅澤さんを孤独になんかさせません!」と井上和の力強い宣言で「孤独な青空」、「狼に口笛を」では花道を全力疾走しながら「もっと声出せるだろ!」と梅澤が激しく煽り、巨大なコールアンドレスポンスが場内に湧き起こる。
曲終わりでセンターステージに3期生4人が残り、バックモニターには本日を迎えるにあたってのコメント映像が流れる。岩本蓮加は「ファンの方と同じくらい寂しい」吉田綾乃クリスティーは「梅はリハから泣いていた」伊藤理々杏は「ついにこの日が来ちゃったか」とのこと。最後に3人が声を揃え「梅、やりきろう」として「僕は僕を好きになる」のイントロがスタート。オリジナルのフォーメーションはセンターが卒業生・山下美月、フロントに同じく卒業生・久保史緒里に梅澤と、フロントメンバーを全て3期生が担った、梅澤自身、そして3期生としても思い入れが深いであろう曲だ。こちらを現3期生4人が中心となったアレンジで堂々たるパフォーマンス。フロントがそれぞれソロ歌唱で歌い継ぐ“辛いことがあったら 心に閉じ込めずに ノートの上 書いてごらん”のパートの伊藤、吉田、岩本の切々とした歌声がたまらなく胸を締め付ける。

MCパートは前日に4代目キャプテンへの就任が発表された菅原咲月が進行。小川彩に梅澤についてのエピソードを振ると、小川は自身による「(梅澤さんは)いい意味で圧がある」という過去の名言について言及。「あーや(小川)もそろそろ圧出せるんじゃない?」と梅澤に言われたとのことで、それを証明するために場内総出での“圧”コールを提案。恐らくアイドルの歴史上並びに東京ドームの歴史上初めてとなる“圧”コールでグループとファンは再び思いをひとつにする(笑)。

グループが伝統的に表現してきた儚さ、切なさといったイメージは続く6期生を従えての「ハルジオンが咲く頃」でより一層の美しさを見せ、『シンクロニシティ』収録楽曲であり初めてアンダーメンバーとしてオリジナルポジションを授けられたという「新しい世界」、その次作であり初選抜での参加となった「ジコチューで行こう!」を繋げて披露することで自身のターニングポイントの再演をしてみせた。「ジコチュー」の間奏部ではだるまさんが転んだを模した振り付けが存在し、そこでは井上と互いの頬にキスを見舞い合うという衝撃的な一幕も。その後の映像では、梅澤がグループ内で歩んだ軌跡を大童澄瞳作の漫画作品『映像研には手を出すな!』アニメ版の金森さやかの声を担当した田村陸心がナレーション。実写版での金森さやかを演じたのが梅澤であり、こちらも素敵な計らい。
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