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INTERVIEW

劇映画初出演で感じた思い、これまでの苦労を愛せる理由とは

「今は俳優として必要とされたい」IMP.基俊介が切り開く“自分だけのものじゃない”人生

2025.07.14 19:00

2025.07.14 19:00

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「いろいろと苦労してきましたけど、こういう人生を歩んできて良かったなと思っています」

基俊介は、清々しく、きっぱりと言い切った。そう自分の道のりを肯定できるまでに、どれだけの挫折と逆境をくぐり抜けてきたのだろう。憧れの人の背中を追いかけ、10代で芸能界入り。紆余曲折を経て、IMP.としてデビューを掴んだのは、26歳のときだった。

そして今、映画『愛されなくても別に』で俳優としても新たな一歩を踏み出した。「認められない時期が本当に長かった」と語る基俊介の雌伏の時を支えたものは、はたして何だったのだろうか。

基俊介(IMP.)

「こんな面白い人生あざっす!」でしかない

──経済的虐待、性的虐待、精神的虐待。形は違えど、映画の中ではいろんな種類の虐待が描かれていました。本作を通じて、「愛されること/愛されないこと」について、基さんがどんなことを考えたか聞きたいです。

愛って、どんなに思っていても目には見えない。基本的に100%真意が伝わることって難しいと思うんですよね。特に水宝石(あくあ/演:本田望結)の場合、お母さんは娘のためなら何でもすると本心で思っている。あれって親になってみないとわからない感情だと思うので余計に難しいなと。

水宝石の家と境遇が似ているとかじゃないですけど、うちも芸能界という道に進んだ僕のことを親がすごく心配しているのを感じるし、言いたいこともわかるんです。やっぱり親からするとこの世界って何もわからないから想像するしかなくて。ちょっと「今日はこういうことがあって大変だったんだ」という話をするだけで、めちゃくちゃ心配してしまう。だったら、何も話さないほうが良かったかなって思うこともありますね。

──心配が負担になることはありますよね。

水宝石は裕福な家庭に生まれてるんだから、それくらいの悩み別にいいじゃんと思う人もいるかもしれない。だけど、その苦痛というのはやっぱり水宝石にしかわからないんですよね。逆に、陽彩(ひいろ/演:南沙良)と雅(みやび/演:馬場ふみか)は誰がどう見てもしんどい状況で、でも本人からすれば同情されるほうがもっとしんどい。そんな二人が出会えたことが希望だと思いますし、彼女たちが二人で違う環境に逃げることは、すごく前向きな逃走だなって思いました。

──水宝石自身、劇中で「不幸って他人と比較できることじゃなくない?」と言っていますが、つい他の人を見て「お前のほうが楽なんだから、甘えたことを言うな」と思っちゃうのが人間心理です。

「隣の芝生は青く見える」って言うじゃないですか。そういう言葉が昔からあるくらいだから、きっとこの感情って時代が変わってもなくならないんですよね。どれだけ豊かになっても、他人を羨ましく思う気持ちを人は持ち合わせている。そこの描写がすごくこの作品はリアルなんです。

映画『愛されなくても別に』本予告

──他人の幸せを羨む気持ちもそうですし、「自分はこんなにも苦労した」とか「こんなに辛い目に遭った」というふうに自分の不遇や不幸をつい特権のように振りかざしてしまうこともあります。

僕は苦労に関しては、すごくポジティブに捉えています。どんな苦労も、全部いい経験だから。いろいろと苦労してきましたけど、こういう人生を歩んできて良かったなと思っていますね。

──苦労が、自分の人生を肯定する材料になってるんですね。

こういう業界にいると、いきなりスターになる人はいて、僕もそうなることをいちばん望んでいたはずなんですけど、今となっては自分の人生が面白くてしょうがない(笑)。僕、認められない時期が本当に長かったので。でも腐らず、何クソ根性でメンバーと一緒にやっていたら、(所属事務所TOBEの)社長が見出してくれた。そして社長がつくった会社でデビューをして、今は社長が僕らのことを夢だと言ってくれている。

僕、この世界に入るきっかけになったのが、社長のつくった滝沢演舞城なんです。そう考えたら、「こんな面白い人生あざっす!」しかないですよね(笑)。だから、苦労していた時期はめっちゃしんどかったですけど、今となってはありがたいし、面白いし、素敵な経験でした。

──滝沢さんに憧れた自分が、今は滝沢さんのDNAを受け継いでいる。それは、基さんにとって誇りですか。

そうですね。そうなりたいと望んでもなれない人もいるわけですから、やっぱり恵まれていますよね。自分の立てた人生設計を時間はかかっても一つ一つ叶えられている僕は本当に幸せ者だなって思います。

──変な話ですけど、思い通りにいかない状況にいるときって自分を可哀相だって甘やかすことのほうが楽だと思うんですね。でも、基さんはそこに踏みとどまらなかった。その強さはどこから生まれたものなんでしょうか。

たぶん自分の性格です。そういう意味では、僕の人格を形成した親の影響は大きいですね。あれこれ心配しつつも、いちばん応援してくれたのは親であるのは間違いないですし、挫けそうなときにケツを引っ叩いてくれたのも親。矛盾しているかもしれないですけど、僕は自分の人生は自分のものであると思っているのと同じくらい、自分の人生は自分だけのものじゃないと思っているんです。僕の人生に対して、僕以上に喜んでくれるのが親であり家族。この映画のメッセージとは逆になってしまうかもしれないけど、家族の存在がいつも僕の原動力でした。

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映画出演で改めて感じた俳優業の魅力

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作品情報

愛されなくても別に

©︎武田綾乃/講談社 ©︎2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会

©︎武田綾乃/講談社 ©︎2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会

愛されなくても別に

2025年7月4日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
配給:カルチュア・パブリッシャーズ

公式サイトはこちら

キャスト&スタッフ

出演:南沙良 馬場ふみか
本田望結 基俊介(IMP.) 伊島空 池津祥子 河井青葉
監督:井樫彩
原作:武田綾乃『愛されなくても別に』(講談社文庫)
脚本:井樫彩/イ・ナウォン
企画・プロデュース:佐藤慎太朗
製作幹事・制作プロダクション:murmur

基 俊介(IMP.)

アーティスト情報

1996年10月17日生まれ、埼玉県出身。
男性7人組グループ「IMP.」のメンバー。
2023年8月18日、デジタルシングル「CRUISIN’」で世界同時配信デビュー。
2023年11月15日公開のBillboard JAPAN総合ソング・チャート”JAPAN Hot 100”で「CRUISIN’」が2位にチャートイン。2024年6月に有明アリーナにて初の単独ライブを成功させる。
2025年1月から初の単独ツアー「IMPERIAL LIVE TOUR 2025」を開催。
TBS ドラマストリーム「三人夫婦」の主題歌がIMP.の新曲「Cheek to Cheek」に決定。4月7日より配信される。

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