俳優、M!LKとして大活躍する27歳のブレない人生観とは
「大事なのは、どの道を選ぶかより選んだ道でどう生きるか」佐野勇斗のセルフマネジメント術
2025.07.11 18:00
2025.07.11 18:00
一人が寂しいなんて、誰が決めたのだろうか。一人でも楽しく生きている人はたくさんいる。佐野勇斗もまた「一人でいるのが好き」だと言う。
土曜ドラマ『ひとりでしにたい』に主人公・山口鳴海に辛辣ながら的確な終活アドバイスを送る後輩・那須田優弥役で出演中。毒舌リアリストだが、なんだか可愛い年下男子をユニークに演じている。
先の見えない人生に誰もが不安を抱えて生きる現代。予測不可能な未来に振り回されないための佐野勇斗流のマインドセットとは──。【記事最後にプレゼント情報あり】

自分の人生は否定も肯定もする必要ない
──このドラマは、孤独死から話がスタートします。孤独死についてどんなイメージを持っていましたか。
僕自身は一人でいるのが好きなんですよ。人といるのも別に嫌いじゃないですけど、一人の時間もほしいタイプで。だから孤独=不幸というイメージはないです。ただ、結婚せず、誰にも看取られずに死ぬというのは、良し悪しなんて人それぞれなのでわかりませんけど、佐野勇斗個人の意見としてはちょっと嫌だなっていうのはあります。
僕が昔からワイワイした家庭で育っていて、そういう光景を当たり前のものとして思っているから、やっぱりいつかは家庭を持ちたいなって気持ちもある。だから、死ぬまで一人で生きていくという選択肢は今のところ自分にはないです。
──そうやって結婚して子どもを持ったところで、子どもが老後の面倒を見てくれるかは限らない。いずれ一人で死ぬ可能性があるということも、この作品の中では描かれています。
そうなんです。なのでちゃんとお金を貯めて、自分のお金で老人ホームに入ろうと思います。サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に!
──演じる那須田同様、佐野さんもわりと人生設計をしっかり立てているイメージがあります。
確かに30代まではこうやっていきたいというイメージがなんとなく浮かんでくるんですけど、40歳以降のことはなんにも考えていないんですよ。想像もできないというか、正直考えようとも思っていなくて。楽しけりゃいいかな、くらい。

──もうちょっとゆとりがほしいですよね(笑)。
1年にドラマ1本とかでいきたいです(笑)。まあ、そのときにこの世界にいるとも限らないですしね。いろんなことをしてみたいという気持ちはあるので。もう少しその年齢に近づいてきたら、また考えてみようかなという感じです。
──ドラマでは親の終活とか資産運用とか、老後を考える上で欠かせない題材がいろいろ出てきます。
資産運用は僕も興味があって、ちょっと勉強したりしてるので、わりとすんなり入ってきました。親の終活については、うちの親は「老人ホームに入れてくれ」と言っています。ただ、半年くらい前に、老人ホームに入居している親戚にみんなで面会しに行ったのもあって、自分の親を入れることをリアルに想像したんですね。そのときは、本当にいいのかな、家で面倒を見てあげたほうがいいんじゃないかなってちょっと考えました。と言っても、じゃあ家で自分が面倒を見られるかといったら全然わからないんですけど。
──その時点で自分がどこで何をしているかもわからないですしね。
そうなんですよ。でも数十年の間に、そのときはやってくる。だから、今からちゃんと考えておかなきゃいけないことなんだなって改めて実感しました。
──結局、未来はコントロールできないから、いくら対策を考えても、すべてのリスクを防ぐことはできない。そんな予測不可能な未来を心強く生きていくために必要なものってなんだと思いますか。
「されど人生、所詮人生」って思うことじゃないですか。
──お。めっちゃいい格言ですね。
今思いつきました(笑)。人生ってつい重く捉えがちですけど、もっと楽に考えてもいいのかなって。たとえ失敗したって、宇宙の歴史から見たら、僕らの一生なんて超ちっぽけな一瞬でしかなくて。誰も自分のことなんて気にしてない。自分が楽しく納得できればそれでいいじゃんという気持ちを持てたら、もうちょっと生きやすいのかなとは思います。

──光子(演:山口紗弥加)が孤独死したのは、義妹の雅子(演:松坂慶子)とのマウント合戦による孤立が一因でした。自分の生き方が本当に正しいのか不安だから、つい誰かを下に見ることで自分を正当化してしまう。光子を見て、どうやったら自分の人生を肯定できるようになるんだろうと、つい考えてしまいました。
たぶん肯定しなくていいんじゃないですかね。
──どういうことですか。
肯定しようと思うから、他人を攻撃したい気持ちが生まれてきちゃうわけですよね。だったら、別に肯定しなくてもいいと思う。というか、否定も肯定もする必要ないんじゃないですか。
──目から鱗だ。
たぶん否定とか肯定とかいう発想が善悪を生んじゃってる気がして。自分の人生も、他人の人生も、「されど人生、所詮人生」。これでオッケーです(笑)。
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