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オタズネモノ by 庄村聡泰 #10

音楽という“現象”の奥に何がある?オルタナティブクルーS.A.R.が挑む思考実験

2025.06.19 19:00

2025.06.19 19:00

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構造を作れば循環が生まれて、それが音楽になる

──サウンド面でいうと、ツインギタープラスピアノのバンドなので、ウワモノの棲み分けってどういう形を経て落ち着いていくのかが聞きたいです。「Back to Wild」のリフとその裏のアコギの絡みとかめちゃくちゃ気持ちよかったですし。

Taro 最初にギターのモチーフがあったんですけど。

Imu Sam リフは元々サンプルネタで有名なやつがあって、それをEnoが入れてきて。

Eno そうですね。(しばらく考えて)でも、頭の中で作りました。作って、(メンバーに)こういう風に弾いて、って。フレーズ自体はもともと入れてたのはサンプリングをチョップしたやつで、バッキングのギターはSZAのサンプリングで、ピアノはボビー・ハンフリーのコーラス部分をピアノに置き換えてサンプリングして。

Imu Sam ボビー・ハンフリーかぁ。

Eno そうそう。覚えてないでしょ?(笑)それでコーラス部分をピアノに置き換えて、イントロはDJロジャースで、ってこれあんまり言っていいのか分からないですけど(笑)。ヒップホップカルチャーで育ってきたので、そういうものをポップスの“イントロがあってサビがある”みたいな文脈でサンプリングしたらどうなるんだろう、っていう思考実験の中でやったというか。

S.A.R. – Back to Wild【Official Music Video】

──ここはギターが担ってここはピアノがいて、っていう各自の役割は最終的にEnoさんが指示を出してるんですか?

Eno そうですね。基本的に、曲を作る時は立体物というか、建造物を作るみたいな感じで僕は作っています。あの曲はギターが最初にあったんですけど、じゃあこの中にどういうのが入っていったらどう聴こえるんだろうっていうのを、頭の中でいろいろ考えて、それでボビー・ハンフリーがよぎったりする訳です(笑)。でも細かいことは僕はどうでもいいんですよ。僕にとってはコーラスとピアノが一緒になっちゃってるから、だからこのフレーズって言ってTaroにピアノで弾いてもらって。音色とかもそこまで鮮明じゃないんですけど、だいたいこの位置とか、だいたいこの音の高さでとか、そういった感じでディレクションしていってます。

──作品にト書きを書いてて欲しいぐらいめちゃくちゃ色々入ってますもんね。

Eno そうかもしれない。でもそれが良くないなって最近思い始めてます。音楽を言語的な論理構造で考えていたのは間違っていたなと思う。音楽っていう現象に対して、見えてるものをさらに言語情報を使いながら落とし込んで作ってるっていうのは、劣化の劣化みたいになっちゃってる。そうじゃなくて、よりこの現象のその奥に見える何かっていうのを、音楽そのものでイメージを殺さず、どれくらい作れるのかっていう挑戦をしているのが次のアルバムです。

──あと、これもびっくりしたんですけど、今回の音源とかには生ドラムをほとんど入れず、打ち込みで作ったみたいで。音源を作ってる時に、ライブも同時進行で想定しながら作っていくんですか?

全員 しないですね。

──じゃあ作品として作り上げるものは一切の制限を設けずに作ってるんですね。

Eno ライブは別だと思ってますね。その時にやりたいことをやりたいようにやるっていう。

──あとでライブの同録を聴いてメンバー全員がぶったまげるような演奏ができてたりするとか、ライブにおいての動体視力って皆さん高めなんでしょうか?

may_chang そんなすごいあれじゃないですね(笑)。どうでしょうね。元々ジャムはやってて楽しい面子なので、できる限り楽しく演奏しようと思ってやってるだけです。

──色々聞けたうえで、ライブモードになったらどういう感じになるんだろうってのが本当に気になります。で、Enoさんがおっしゃっていた思考実験の賜物が次のアルバムに入るんですもんね。

Eno 作ってます。まだ思考の状態ですね。

Taro 頭の中にあるってこと?

Eno 頭の中にあるって凄そうだけど、なんか構造を作ってますね。さっきも言ったように、音楽そのものは結構何でもいいというか、それは結果なので。構造を作れば循環が生まれて、それが音楽になっているというのが最近わかってきたので、そういうところをすごく固めてますね。

──その辺に関するメンバーの反応速度はどうなんでしょう。

Eno 判断の隙を与えないときが多いです。迷ってたらもうナシ、っていう。

──アルバム聴いたうえでもう1回インタビューしたいです。でもメジャーとかすげぇやること増えてだりぃなとか思いません? このインタビューとかも(笑)。

Eno  でもあれなんです。これ結構他のところで話しちゃったんですけど、このEPに関してはすげぇ実験しちゃって正直うまくまとまってなくて。僕だってメジャーデビューは大々的にやりたかったし、すごくわかりやすいものを作って、みたいな気持ちもありましたけど、そういう風になんなかったっていう申し訳なさはあります(笑)。

Imu Sam せっかくメジャーのフィールドに立てているのでインタビュー、ラジオ、何でもやりたいです。是非誘ってくださいね。

S.A.R.×庄村聡泰

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作品情報

S.A.R. 1st EP『202』

『202』ジャケット

『202』ジャケット

S.A.R. 1st EP『202』

2025年4月23日(水)配信リリース

配信はこちら

収録内容

「juice」「Side by Side」「Back to Wild」を含む全5曲

イベント情報

S.A.R.は、santa、Attie、Imu Sam、Eno、may_chang、Taroで構成された6人組のオルタナティブクルー。2018年結成、2022年より現メンバー体制で本格的に活動を開始。SOUL、R&B、HIP-HOP、JAZZなどをベースにしながらも、メンバーそれぞれのルーツを反映した幅広い音楽性を持ち、音源のみならず映像、アートワークなどあらゆる制作物を自身で手掛ける。

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