2025.06.19 19:00
2025.06.19 19:00
こちらの連載ではちょいちょいご無沙汰になっております。ショウムライターこと庄村聡泰のインタビュー連載オタズネモノにございます。
此度のゲストは昨今シーンを賑わせまくっているIRORI Recordsからの新たな刺客、S.A.R.。コロナ禍に於ける音遊びから自然発生的に結成されたバンド、ではなくオルタナティブ・クルー。クールなボーカリストであり発起人のsanta。飄々とした(しすぎてもいる笑)ギタリストでありMCのImu Sam。インタビュー中とんでもねえ名言つうかパンチラインをそこかしこに繰り出してくれたベーシストEnoを中心にオタズネしたのですが、それを静観するドラムのmay_chang、そしてテーラードジャケットが似合い過ぎていたキーボーディストのTaroと、まだまだ掘りたい6人組(ギタリストのAttieは体調不良により欠席)にございました。しかし最後にちょいと話してくれたアルバムが楽しみすぎる。Shing02とのエピソードもしっかりとオタズネモウシテ参りましたよ。是非に!

何も決めずにやってたらこういう形になった
──最新EP『202』は1LDKの部屋に6人ですし詰めになって作ったと聞いたんですけど、宅録であそこまでできるんですね。may_changさんの家がスタジオとして適してるんじゃないかみたいな話から始まったんですか?
may_chang(Dr) 適してはないんですけど(笑)、一人暮らしでわりと自由なので使い始めて、みたいな感じですね。
──収録曲5曲の曲作り自体から家でスタートしたんですか?
Eno(Ba) 大体そうですね。
──6人で集まってやってる時間もあれば、何人かで集まって作ることもあったり、それぞれ制作の流れもバラバラだったり。
Imu Sam(Gt,MC) そうですね、セッションで原型を作ることもあったり、(Enoが)ビートとかトラックの土台を作ってきてくれることもあって。
──じゃあEnoさんが割と主導で?
Eno ある程度固まったものをまとめたりというか、そういうこともやってますね。

──最終的なまとめがEnoさんの仕事? それともアイデアの種自体をみんなに展開するのもEnoさん発信が多かったり?
Imu Sam 種の部分はEnoが持ってくることが多いか。コンセプトに関してもEno発信が多いですね。
Eno セッションをやってみようって言ってバーってやってそれをまとめて、みたいなパターンもあるし、曲によって色々あるんですけど。
Imu Sam 決まったやり方というよりかは、その時にあったやり方でやってる感じですね。
──じっくりと聴き込ませていただきまして。意図的に隠してるとかでは全くないと思うんですけれど、ルーツや置かれているシーンみたいなものが煙に巻かれる感覚が気持ちよくて、その掴みどころの無さや匿名性の高さが魅力的だなと思いました。そもそもバンドを目指して集まった6人なんですか?
santa(Vo) 結成は、今日休んでるAttie(ギター担当)と僕と、あともういなくなっちゃったAlexっていうコロンビア出身の3人でプロジェクトみたいなことをやってて。で、マスミ(Imu Sam)と友達だったんで、ちょうどラップを入れる曲があったからやってよって言って、そこから一緒にやってます。で、その後Enoが入ってきて、Taroが入ってきて、最後にmay_changが入ってきて。
──最初はプロジェクトってことは、santaさんの構想ではバンドって形を目指していたわけでもなかったってことか。
santa 何も決めずにやってたらこういう形になった感じですね。

──徐々に“こういう人がいたらいいな”って感じで枝葉が広がっていったんですか?もしくは“santaのやってる音楽面白そうだから俺も一緒にやらせてよ”みたいな感じで増えていったのか。
santa 3枚目か4枚目かのシングルを僕とAlexとEnoとAttieとマスミの5人で作ってる時に「鍵盤入れたいね」って話になって。そしたら「すごい奴いるから」ってEnoが呼んできたのがTaroでした。その時違うドラマーもいたんですけど、やっていくうちに音楽性の違いみたいなもので離れていって。「ドラムどうしようかな」って言ったら、みんなが「may_changっていう面白い奴がいるよ」って連れてきてくれて。ライブを観に来てくれて、一緒にやろうってなりました。
──友達が友達を呼んできた感覚?
Imu Sam そうですね。友達って言う方がめっちゃしっくりくる。
──だから外向けにバンドとうたってないわけだ。
santa 今はShun Takedaっていう映像のディレクターがいて、その人がミュージックビデオやライブを撮影してくれてるんですけど、最初の方は自分たちでジャケットも描いたりしてたこともあったので。
Eno Shun TakedaもS.A.R.のチームの一員ですね。
Imu Sam アルバムとかアートワーク、映像を作ってくれてる人たちもチームの一員っていう認識なので、クルーって言ってる感じかな。
──おもろい広がり方っすよね。発起人であるsantaさん的に、当初の構想から比べるとめちゃくちゃ面白くなったなっていう感じですか?
santa そうですね。でもまだみんなを誘っていない時からEnoやマスミの存在は知っていて、で、「ベース入れたいよね」とか言ってたら、ちょうどマスミとEnoが「S.A.R.入ってもいいですか?」って。
Imu Sam そうだった気がする。一緒にタバコ吸ってね。
santa バンド組もうとかそんな明確な言葉はなくて、曲作るために集まってきた友達って感じでした、最初は。
──この自由度の高い曲がどんどん生まれていく過程こそが、皆さん共通の趣味でもあるし、共通の遊びでもあるしっていう感覚なんですか?
Eno そうです! まさに。
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