13曲入り1stアルバム『Raise』に込めたこだわりと強みとは
いくらでも上を目指せる世界で、叶え続けたい夢がある。和田雅成がアーティスト活動にかける想い
2024.12.16 19:30
2024.12.16 19:30
技術を身につけて早く腹を括りたい
──初回限定盤にはフォトアルバムが付属するそうですが、どんな雰囲気の写真になりましたか? ジャケット写真など、アートワーク全般への満足度はどれくらい?
こんなこと言うとアレですけど、わりと僕、自分の写真に対してあまり思うことがなくて。それがいいのか悪いのかわからないですけど、受け取る側が喜んでくれるのであれば、 素敵だと思ってくれるのであれば、そっちを優先するんですよね。なので写真に関してはお任せします、ということが多くて。自分の思いを話すと、どうしてもお客様がそうやって見ちゃうので、それよりはこれを見た時にどういう風に感じ取っていただけるかを優先したいなって思うんですよね。相手に託すじゃないけど、余白を大事にしたいというか。
──そういった相手の思いを優先するスタンスは歌だけじゃなく、演技をする時もそうですか?
そうかもしれないですね。芝居はまさにそうで、僕は自己満足でやってる芝居を見たくないんですよ。自己満足が必要な部分ももちろんあるんですけど、どこかに余白を残したいんです。受け取り方って本当に人それぞれだと思うんですけど、自分は今泣いてます!というお芝居をしちゃうと、泣いてるだけのものを見ることになってしまうと思うんですよね。それももちろん素敵なんですけど、僕としてはその時、その瞬間を観に来たお客様に寄り添えるものでありたいなって思っていて。音楽で言うと、自分の思いに関しては先ほどもいろいろお話しましたけど、でも曲ってレコーディングしたらそれが変わることはないじゃないですか。ある意味、聴くタイミングによって受け取り方が変わりますけど、でもいろんな部分で余白を残したいなと思ってます。
──来年2月にはアルバムを引っ提げての初のワンマンライブも決定しています。どんなところが楽しみですか?
(ライブを)やったことがないので、今はまだ不安が大きいというか。今まで作品を通してライブをさせていただく機会は多かったんですけど、本当に大変なんですよね。今まで自分がやったことのないジャンルだし、まだまだ想像がつかないです。自分がワンマンをやってどれぐらいお客様が盛り上がってくれるのか、どの曲で盛り上がるもわからないですし。僕自身、歌に絶対的な自信があるわけじゃないですし、もともと歌を得意としている人でもないから。
ライブに向けての練習も始めてますけど、もっともっと必要だし、でもその間にも舞台はあるし。ワンマンは2月だから寒いし、体調を崩さないかなとか、そういう不安要素が今ブワーって襲ってきていて、ようやく最近、お風呂の中で曲順を考えながらイメージして、ちょっとずつ不安要素が取り除かれていって、楽しくなりそうかもって思い始めたという段階です。でもいまだにプレッシャーの方が強いですね。怖えなっていう。
──やったことがない、というのが一番の不安要素ですか?
それプラス歌もあります。僕は思いで歌うとはさっきは言いましたけど、でも思いが溢れすぎると今度はメロディーが追いついていかないんですよね。メロディーにどんどんついていけなくなっちゃう。立ち上がるのが遅いんですよ、僕って。だから曲のテンポと思いをリンクさせた練習はこれからもっともっとしていきます。
──ライブでは実際にお客様を目の前にするわけですが、それに対する不安や楽しみはありますか?
それで言うと、さっきとちょっと矛盾しますけど、お客様の前に立ったら僕は絶対大丈夫なんですよ。だから早く本番を迎えたいと思う部分もあるんですけど。舞台だとセリフを覚えてある程度稽古ができれば、もうあとはお客様の前に立つだけだって思えるんですけど、ライブに関してはまだ技術が追いついていないので、そこまでにしっかり技術を身に付けないと、お客様の前にはまだ立てないなって。でもそこに向けた練習やリハでは絶対に手を抜くことはないので、早く腹くくりてえなって感じですね。
──ライブではどんな和田雅成を期待してほしいですか?
もともと僕は自分の思いを発信して観客を魅了するタイプのアーティストが好きなんですけど、でも今の自分がステージに立ってやろうとしてることはそれじゃないなって、自分の中で矛盾が起きてるんですよね。僕って結局、さっきも言ったように、相手ありきなんですよ。お芝居でもなんでもそうなんですけど、僕は自分の言葉で相手の感情が動いてほしいし、相手からもらったものを返したい。あくまで対相手なので、自分の思いを伝えるというよりは、そこでお客様に何かが生まれることに僕は喜びを感じます。だからこのライブで何を提示したいっていうのは、正直、今はまだ見えてないです。どういう感情が生まれるんだろうっていうのは、今はまだ想像が全然つかないです。
──そんな風に、ある意味、相手に寄り添うという考え方になったのは最初からですか? それとも徐々に変わっていってそう考えるようになったんですか?
徐々に、だと思います。役者を始めた頃はもっともっと自分本意だったし、自分だけ目立てりゃいいや、みたいな思いがあったんですけど、いつの間にか変わってましたね。役者って自分が評価されなきゃいけないお仕事ではありますけど、どっちかというと相手が素敵に見えた方が自分はやりがいがあるなと思っていて。だから例えば、何を投げても全部同じ返し方されたり、自分の中で流れが決まっちゃってる人とやるのは面白くないです。僕は嘘なくそこで生きている人とお芝居がしたいので。それで言うと、ライブもそうですよね。決められたものじゃなくて、その時、その場所に来てくれたお客様とその空気を楽しみたいなっていう。だからこそ、今提示できるものがないというか、その時にならないとわからないですね。
──2回ある公演とも、全然違うものになるかもしれない?
全然違うと思います。こんなこと言うとアレですけど、舞台でも1公演目と2公演目で全然違かったりするんですよね。よくも悪くも。意図的にやってるわけじゃないんですけど、その時に相手が投げてくるものが違うと自分が生まれてくるものが違うし。安定感を持ってやってほしいっていう人もいますけど、そこに嘘はつけないかなって。
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