2024.09.11 17:30
SAMPHA ©︎ Daiki Miura
2024.09.11 17:30
深夜のステージも激アツだった2日目
しかしまあそんな話で言えば2日目ヘッドライナーのKRAFTWERKが人間を辞め音楽の化身(つうかロボ笑)と成り代わったのは一体どのタイミングなんだろう。やっぱり78年の『The Man-Machine』からなのだろうか。こちら邦題は『人間解体』という何とも物騒なシロモノなのだが、文字通り本人たちが自身の人間としての姿というか在り方を解体してしまったのだろうか。音楽の化身としては最先端がSAMPHAでオリジネーターはやはり、KRAFTWERKなのだ。
こちらこそまさにどこまでが同期でどこまでが人力なのか皆目見当もつかない所ではあるがもはや彼らは現人神(つうかロボ笑)の領域なのでそこは気にした方が負けなのである。どのみちメンバーは動かないし手元にカメラがクローズされるなんてこともない。だって彼らは現人神(以下略)。筆者は此度がかれこれ3度目の神への謁見であり、お初は「NO NUKES 2012」で2度目は「SONIC MANIA 2014」で大体やる曲もバックスクリーンの映像の流れも頭に入っている。にも関わらずなぜ3度目の謁見へと足を運んだのか。それはどうしても「グリーン×KRAFTWERK」即ち「山×ロボ」という山ん中の屋外でKRAFTWERKというサイコーのミスマッチを味わいたかったからに他ならず、それに付随して老若男女入り乱れるKRAFTWERK(そのキャリアに比例してか、お初も2度目もお客の年齢層はお高めであった)というミスマッチも味わえると思ったからに他ならない。
その思惑は大当たり。「Spacelab」の映像で宇宙船が苗場に着陸するというファンサービスは何だか可愛かったし坂本龍一へ捧げられた「Merry Christmas Mr. Lawrence」はサプライズ(どこかで触れるとは思ってたけど)だったし何より終盤の“電卓”がポップな歓声でもって迎えられる光景には思わず目頭が熱くなってしまった。そんな神(つうか以下略)が未だ忘れられぬ新たな入信希望者の方は是非とも2017年リリースのライブ盤『3-D The Catalogue」をどうぞ。
神との謁見を終えた私は泥の様に眠……らない。今宵はまだまだ眠れないのだ。ルーキーアゴーゴーとクリスタルパレステントでまだまだ観たいバンドがいる。4組もだ。というわけでルーキーにて、NIKOん。事前にチェックできた音源はわずかながらもまず目を惹くバンド名、両人のルックスが気になり、ミニマルなアプローチのギターとリズムを縫うようにダイナミックにブリブリバリバリと弾かれるベースに惹かれた次第。全日程終了後にアップされたオオスカ(Vo,Gu)の筆によるものと思われる赤裸々なブログなんかこれ是非とも読んでみていただきたいのであるが、太々しさや危うさなど、これからどう転がっていくのかが非常に気になるバンドであった。
パレスにてALI。これ皆さんもそうだったと思うのですが発表時点では同名の日本のバンドかと思っていたしそっちもフジとも相性十分だもんなあなんて勝手に納得していたらインドネシア発のおサイケファンクバンドでしたというオチ。実は2日目冒頭で記した通りの世界旅行を試みる上でインドネシアへの渡航は外せないなんて思っていたのもそうなのだがここでALI、そして次のYIN YINを観ておくと3日目でタイムテーブル被り気味のジザメリがフルで観れるようになるため、ここで回収しておきたく(本当は初日のパレスでCHRISTONE “KINGFISH” INGRAMも回収しておきたかった泣)、さらに昼間のGLASS BEAMS~ALI~YIN YINを2日目に全部観ておけばフジロック2024おサイケファンクバンド枠のフルコースが達成できるというそんな欲張りな事情もあったのである。数時間前から割れそうに痛い踵を労わりつつむせかえる様な熱気のパレスで異国情緒のグルーヴを楽しむ。自国のルーツとファンクミュージックを素直に正面衝突させた比較的素直(と筆者は感じた。GLASS BEAMSとYIN YINと比較するとな話だけれど)な楽曲はとっても聴きやすく、ノリやすく、心地良かったです。歌モノも充実してたしね。
ルーキーとパレステントのちょうど中間に位置するSAKURA CIRCUS、昨年は大車輪だったのだが今年は空中ブランコへと演目が変更となっており、超絶空中技巧が決まる度やんややんやの大歓声の後、私的ルーキーの目玉、どうしても観たかったしタイムテーブル上のハマりもベストポジションであった沖縄のHOMEが登場。前回記事で楽曲「常時」がツボでしたので聴きたいです、なんて書いたらそちらなんとまさかの1曲目。ALIが癒してくれた踵が再び弾む(そしてまたすぐ割れそうに痛くなる)。イメージとは裏腹の攻撃的な面も随所に垣間見られ、編成も込みでTHE PRODIGYやATARI TEENAGE RIOTなんかも想起させる瞬間があったことが大きな収穫とあとプレイも喋りもかなり自由奔放だったshun(Gu)のキャラクターがたまらんかったです。MCで激推ししてた敬愛する先輩バンドのワンチャイコネクション、しっかりチェックさせていただきます(笑)。
ALIの時とはケタ違いに人が入っている。パンパンのギュウギュウではないか。その名の通りテント上の設計ゆえか中がかなり熱くなるパレステント、その熱気を更に引っ掻き回しまくってくれたのが私的世界旅行最後の地であるオランダ発のYIN YINだ。
これがもう楽しさだけで言えば3日間通してのぶっちぎりのベストアクト。メンバー4人とにかくよく動くわ笑顔が眩しいわ曲は楽しいわで深夜なのにも関わらず大入りのパレスをドッカンドッカンに盛り上げていく。そもそも最新作『MOUNT MATSU』のテーマがYIN YIN流ジャポニズムとのことで、KRAFTWERK神の荘厳なる戦メリカバーに続いてYIN YIN流の「Merry Christmas Mr. Lawrence」もプレイするなどオーディエンスの誰よりもメンバーが楽しんでいるように思えた。パレスであんなに銅鑼鳴らすバンドもいないだろうし、こちらをもっておサイケファンクフルコース見事達成となったのだが3バンド共にドラムには必ずウインドチャイムがセッティングされていた。マストなのだろうか(笑)。
3日連続公開との事なので最終日は明日の予定ってなことよりも最後に書いたYIN YINが11月に再来日決まったみたいすね(祝)。
私的2日目ベストアクト:SAMPHA(とYIN YIN)