Bezzy[ベジー]|アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

アーティストをもっと好きになるエンタメメディア

COLUMN

FUJIROCK FESTIVAL'24特集 #4

庄村聡泰のフジロック’24滞在記──限界まで世界を旅したDAY2

2024.09.11 17:30

SAMPHA ©︎ Daiki Miura

2024.09.11 17:30

全ての画像・動画を見る(全46点)

深夜のステージも激アツだった2日目

しかしまあそんな話で言えば2日目ヘッドライナーのKRAFTWERKが人間を辞め音楽の化身(つうかロボ笑)と成り代わったのは一体どのタイミングなんだろう。やっぱり78年の『The Man-Machine』からなのだろうか。こちら邦題は『人間解体』という何とも物騒なシロモノなのだが、文字通り本人たちが自身の人間としての姿というか在り方を解体してしまったのだろうか。音楽の化身としては最先端がSAMPHAでオリジネーターはやはり、KRAFTWERKなのだ。

KRAFTWERK ©︎ Masanori Naruse

こちらこそまさにどこまでが同期でどこまでが人力なのか皆目見当もつかない所ではあるがもはや彼らは現人神(つうかロボ笑)の領域なのでそこは気にした方が負けなのである。どのみちメンバーは動かないし手元にカメラがクローズされるなんてこともない。だって彼らは現人神(以下略)。筆者は此度がかれこれ3度目の神への謁見であり、お初は「NO NUKES 2012」で2度目は「SONIC MANIA 2014」で大体やる曲もバックスクリーンの映像の流れも頭に入っている。にも関わらずなぜ3度目の謁見へと足を運んだのか。それはどうしても「グリーン×KRAFTWERK」即ち「山×ロボ」という山ん中の屋外でKRAFTWERKというサイコーのミスマッチを味わいたかったからに他ならず、それに付随して老若男女入り乱れるKRAFTWERK(そのキャリアに比例してか、お初も2度目もお客の年齢層はお高めであった)というミスマッチも味わえると思ったからに他ならない。

KRAFTWERK ©︎ Masanori Naruse

その思惑は大当たり。「Spacelab」の映像で宇宙船が苗場に着陸するというファンサービスは何だか可愛かったし坂本龍一へ捧げられた「Merry Christmas Mr. Lawrence」はサプライズ(どこかで触れるとは思ってたけど)だったし何より終盤の“電卓”がポップな歓声でもって迎えられる光景には思わず目頭が熱くなってしまった。そんな神(つうか以下略)が未だ忘れられぬ新たな入信希望者の方は是非とも2017年リリースのライブ盤『3-D The Catalogue」をどうぞ。

KRAFTWERK ©︎ Masanori Naruse

神との謁見を終えた私は泥の様に眠……らない。今宵はまだまだ眠れないのだ。ルーキーアゴーゴーとクリスタルパレステントでまだまだ観たいバンドがいる。4組もだ。というわけでルーキーにて、NIKOん。事前にチェックできた音源はわずかながらもまず目を惹くバンド名、両人のルックスが気になり、ミニマルなアプローチのギターとリズムを縫うようにダイナミックにブリブリバリバリと弾かれるベースに惹かれた次第。全日程終了後にアップされたオオスカ(Vo,Gu)の筆によるものと思われる赤裸々なブログなんかこれ是非とも読んでみていただきたいのであるが、太々しさや危うさなど、これからどう転がっていくのかが非常に気になるバンドであった。

NIKOん ©︎ Ruriko Inagaki

パレスにてALI。これ皆さんもそうだったと思うのですが発表時点では同名の日本のバンドかと思っていたしそっちもフジとも相性十分だもんなあなんて勝手に納得していたらインドネシア発のおサイケファンクバンドでしたというオチ。実は2日目冒頭で記した通りの世界旅行を試みる上でインドネシアへの渡航は外せないなんて思っていたのもそうなのだがここでALI、そして次のYIN YINを観ておくと3日目でタイムテーブル被り気味のジザメリがフルで観れるようになるため、ここで回収しておきたく(本当は初日のパレスでCHRISTONE “KINGFISH” INGRAMも回収しておきたかった泣)、さらに昼間のGLASS BEAMS~ALI~YIN YINを2日目に全部観ておけばフジロック2024おサイケファンクバンド枠のフルコースが達成できるというそんな欲張りな事情もあったのである。数時間前から割れそうに痛い踵を労わりつつむせかえる様な熱気のパレスで異国情緒のグルーヴを楽しむ。自国のルーツとファンクミュージックを素直に正面衝突させた比較的素直(と筆者は感じた。GLASS BEAMSとYIN YINと比較するとな話だけれど)な楽曲はとっても聴きやすく、ノリやすく、心地良かったです。歌モノも充実してたしね。

ALI ©︎ Yuta Kato ※写真は3日目のステージ

ルーキーとパレステントのちょうど中間に位置するSAKURA CIRCUS、昨年は大車輪だったのだが今年は空中ブランコへと演目が変更となっており、超絶空中技巧が決まる度やんややんやの大歓声の後、私的ルーキーの目玉、どうしても観たかったしタイムテーブル上のハマりもベストポジションであった沖縄のHOMEが登場。前回記事で楽曲「常時」がツボでしたので聴きたいです、なんて書いたらそちらなんとまさかの1曲目。ALIが癒してくれた踵が再び弾む(そしてまたすぐ割れそうに痛くなる)。イメージとは裏腹の攻撃的な面も随所に垣間見られ、編成も込みでTHE PRODIGYやATARI TEENAGE RIOTなんかも想起させる瞬間があったことが大きな収穫とあとプレイも喋りもかなり自由奔放だったshun(Gu)のキャラクターがたまらんかったです。MCで激推ししてた敬愛する先輩バンドのワンチャイコネクション、しっかりチェックさせていただきます(笑)。

HOME ©︎ Daiki Miura

ALIの時とはケタ違いに人が入っている。パンパンのギュウギュウではないか。その名の通りテント上の設計ゆえか中がかなり熱くなるパレステント、その熱気を更に引っ掻き回しまくってくれたのが私的世界旅行最後の地であるオランダ発のYIN YINだ。

YIN YIN ©︎ Yuta Kato ※写真は3日目のステージ

これがもう楽しさだけで言えば3日間通してのぶっちぎりのベストアクト。メンバー4人とにかくよく動くわ笑顔が眩しいわ曲は楽しいわで深夜なのにも関わらず大入りのパレスをドッカンドッカンに盛り上げていく。そもそも最新作『MOUNT MATSU』のテーマがYIN YIN流ジャポニズムとのことで、KRAFTWERK神の荘厳なる戦メリカバーに続いてYIN YIN流の「Merry Christmas Mr. Lawrence」もプレイするなどオーディエンスの誰よりもメンバーが楽しんでいるように思えた。パレスであんなに銅鑼鳴らすバンドもいないだろうし、こちらをもっておサイケファンクフルコース見事達成となったのだが3バンド共にドラムには必ずウインドチャイムがセッティングされていた。マストなのだろうか(笑)。

3日連続公開との事なので最終日は明日の予定ってなことよりも最後に書いたYIN YINが11月に再来日決まったみたいすね(祝)。

私的2日目ベストアクト:SAMPHA(とYIN YIN)

DAY 2 Highlight : FUJI ROCK FESTIVAL’24

記事トップへ戻る

全ての画像・動画を見る(全46点)

イベント情報

FUJIROCK FESTIVAL '24

FUJIROCK FESTIVAL '24

7月26日(金)出演アーティスト
▪️GREEN STAGE
THE KILLERS/Awich/OMAR APOLLO/マカロニえんぴつ/FRIKO/ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRA (feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、US)/indigo la End
▪️WHITE STAGE
PEGGY GOU/REMI WOLF/iri/TEDDY SWIMS/大貫妙子/Lucky Kilimanjaro
▪️RED MARQUEE
FLOATING POINTS/KING KRULE/THE SPELLBOUND/ERIKA DE CASIER/YELLOW DAYS/新東京
▪️PLANET GROOVE
電気グルーヴ/JAX JONES/NOTD/group_inou
▪️FIELD OF HEAVEN
上原ひろみ Hiromi’s Sonicwonder/GHOST-NOTE/CHIP WICKHAM/Original Love Jazz Trio/家主/渋さ知らズオーケストラ
▪️Gypsy Avalon
北村蕗/ZAKINO/blissed ft. Yusuke Yamamoto/アトミック・カフェ ライブ TOKYO TANAKA from MAN WITH A MISSION/アトミック・カフェ トーク day1 【The Atomic Cafeの40年】花房浩一・大久保青志・津田大介/The fin./Rei
▪️CRYSTAL PALACE TENT
GAZ MAYALL/ADDIS PABLO with ROCKERS FAR EAST/MITSUKAZE/CHRISTONE "KINGFISH" INGRAM/DJ GONCHAN/US/RUBY FLASHMAN
▪️PALACE ARENA
SAKURA CIRCUS
▪️ROOKIE A GO GO
Qoodow/Baja/カブトムシ/Peterparker69/SATOH
▪️苗場食堂
苗場音楽突撃隊/る鹿/WINO (Jun Yoshimura,Naoyuki Hisanaga)/曇ヶ原/Summer Eye/ONI (あふりらんぽ)
▪️PYRAMID GARDEN
角銅真実DUO (角銅真実&巌裕美⼦)/加藤登紀子/DJ ZAMIANG/DJ 今谷忠弘 (ホテルニュートーキョー)/チャラン・ポ・ランタン/さらさ/クロワッサンサーカス/ヨガワークショップ 渋木さやか
▪️Day Dreaming
NENE (ゆるふわギャング)/ERIMIYA/Mari Sakurai/TEITEI/7e
▪️GAN-BAN SQUARE
Tigerdisco/in the blue shirt/NTsKi/E.O.U/Jinya (D.A.N)
▪️BLUE GALAXY - DJ TENT
Jim West/Yu Kawanishi (K-West)/Dr. Ihara/Koichi Hanafusa (Fujirockers)/Toyo P/Bamboo Boy/Nozomu

7月27日(土)出演アーティスト
▪️GREEN STAGE
KRAFTWERK/BETH GIBBONS/MAN WITH A MISSION/10-FEET/THE LAST DINNER PARTY/TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA
▪️WHITE STAGE
GIRL IN RED/SAMPHA/くるり/折坂悠太 (band)/THE BAWDIES/syrup16g
▪️RED MARQUEE
KID FRESINO/NONAME/EYEDRESS/GLASS BEAMS/ANGIE McMAHON/Hedigan's/Billyrrom
▪️TRIBAL CIRCUS
2manydjs (dj set)/HIROKO YAMAMURA/¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U/SAMO
▪️FIELD OF HEAVEN
THE YUSSEF DAYES EXPERIENCE/CHRISTONE "KINGFISH" INGRAM/スガ シカオ/KITTY LIV/THEATRE BROOK/トクマルシューゴ
▪️Gypsy Avalon
滞空時間 TAIKUH JIKANG/サカキマンゴー/Nenashi/アトミック・カフェ 七尾旅人/アトミック・カフェ トーク day2 【戦争と平和】安田菜津紀・七尾旅人・ジョー横溝・津田大介/soraya/ケロポンズ with むぎ (猫)
▪️CRYSTAL PALACE TENT
GAZ MAYALL/ALI/コモエスタ 八重樫/YIN YIN/CARIBBEAN DANDY/ESNE BELTZA/PACHAMAMA
▪️PALACE AREANA
SAKURA CIRCUS
▪️ROOKIE A GO GO
Nikoん/hobnob/HOME/Salmon Pink/ANORAK!
▪️苗場食堂
苗場音楽突撃隊/NONE THE WiSHER/EYRIE/SIX LOUNGE/THE FOREVER YOUNG/東京初期衝動
▪️PYRAMID GARDEN
青柳拓次/ホテルニュートーキョー guest 山㟢廣和 (toe)/DJ Quietstorm , VICK (tokyovitamin) , Budamonk/kiss the gambler/el tempo/クロワッサンサーカス/ヨガワークショップ 渋木さやか
▪️Day Dreaming
DJ DARUMA&JOMMY (PKCZ®)/TREKKIE TRAX CREW/PAS TASTA/Herbalistek
▪️GAN-BAN SQUARE
US (Acoustic Live)/菊地成孔/SUNSEAKER/SUGIURUMN/石野卓球
▪️BLUE GALAXY - DJ TENT
Jim West/Naoki Ienaga (Dub Store)/Caribbean Dandy All Stars/Viva Mexico Cabrones!!/Doc. Koyamantado/Marcus Aurelius/CUMBIA KID

7月28日(日)出演アーティスト
▪️GREEN STAGE
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS/ずっと真夜中でいいのに/RAYE/クリープハイプ/RUFUS WAINWRIGHT/NO PARTY FOR CAO DONG
▪️WHITE STAGE
TURNSTILE/KIM GORDON/toe/THE JESUS AND MARY CHAIN/HEY-SMITH/ESNE BELTZA
▪️RED MARQUEE
RIDE/FONTAINES D.C./キタニタツヤ/WEEKEND LOVERS 2024“with You”LOSALIOS/The Birthday (クハラカズユキ・ヒライハルキ・フジイケンジ)/US/betcover!!/森 大翔
▪️SUNDAY SESSION
KENYA GRACE/OLIVER TREE/250/DJ KRUSH/KEN ISHII
▪️FIELD OF HEAVEN
THE ALLMAN BETTS BAND/CELEBRATION OF THE METERS FEATURING GEORGE PORTER JR., IVAN NEVILLE, TONY HALL, IAN NEVILLE & DEVEN TRUSCLAIR/YIN YIN/ALI/CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN/菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
▪️Gypsy Avalon
千尋 with 鈴木井咲/GLIM SPANKY (Acousitc Ver.)/URBAN GROOVE FITTERS 臼井ミトン 田中義人 中條卓 沼澤尚/アトミック・カフェ いとうせいこう is the poet with 町田康/アトミック・カフェ トーク day3 【民主主義と自治】斎藤幸平・ジョー横溝・津田大介/アトミック・カフェ 夏川りみ/Suzu Toyama
▪️CRYSTAL PALACE TENT
GAZ MAYALL/THE RUDE PRESSURES/TOMMY FAR EAST/LOS RIZLAZ/CUMBIA KID/COLOMBIA EN CARNAVAL/P.O.W ALL STAR DJS
▪️PALACE ARENA
SAKURA CIRCUS
▪️ROOKIE A GO GO
眞名子 新/kurayamisaka/TORO/Black petrol/天国注射
▪️苗場食堂
苗場音楽突撃隊/おとぎ話/片想い/Mega Shinnosuke/bongjeingan/真夏のデンデケデケデケ
▪️PYRAMID GARDEN
あらかじめ決められた恋人たちへ/光風トリオ/DJ KOTARO/DJ TEZ/LOVE FOR NIPPON (bobin&kotang・Hanah Spring)/河口恭吾/クロワッサンサーカス/ヨガワークショップ 渋木さやか
▪️Day Dreaming
DUAL VISION/DIGITALBLOCK DJS (CHOKO&DAIJIRO)/Ryooky/EMIRI/Bryan Burton-Lewis
▪️GAN-BAN SQUARE
TAKU INOUE/Seiho/SUGIURUMN/DJ TASAKA
▪️BLUE GALAXY - DJ TENT
Jim West/DJ KEESI (Yin Yin)/Dj GONCHAN/TXAKO/SAL (CHANT DOWN BABYLON)/Satria Ramadham/Sunsuke (Snokey Records)

FUJIROCK FESTIVAL '24

RANKINGランキング

RELATED TOPICS関連記事

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram

COLUMN & SPECIAL連載&特集

ALL SERIES

RANKINGランキング

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram