FUJIROCK FESTIVAL'24特集 #3
庄村聡泰のフジロック’24滞在記──洋邦どちらのショーマンシップにも痺れたDAY1
2024.09.10 17:30
THE KILLERS ©︎ 2024 Chris Phelps
2024.09.10 17:30
(取材・文/庄村聡泰)
一昨年、昨年ともにこれを書いているということは最早夏休みの宿題みたいなもんなのだろうかとすら思うし、こんな宿題ならばとても楽しく書けるので来年もその先も一つよろしく頼むぜ編集長並びに関係者各位。
っつうわけで、あれからちょっと経ちましたね。来年は7月25日~27日らしいですね。皆さんも何かでご覧になりましたよねメインゲートが最終的に
SEE YOU IN 2025!! JULY 25 26 27
の表記へと変わっていたのを。
……。
来年もその先も一つよろし(以下略)
1日目(のその前に)
今年は前夜祭の日に仕事が入っていたためにそちらへの参加は断念せざるを得なかった筆者だったが(とはいえ、その仕事つうのが先日公開したFONTAINES D.C.のインタビューだったのでそれはそれでスペシャルな前夜祭みてえなもんだったのであるのですよ)、話によるとUSが出てたり(前回記事では全日出演で4ステージと書いたが、前夜祭にも出たので真のグランドスラム達成でその後の単独公演も合わせて今回の来日で6回ライブやったってことになるから、真のライブバカの栄冠を勝ち得たことを表彰したい)どぶろっくが出てたりで(こちらもテレビじゃ放送できないネタで超絶盛り上がってたらしいすね、観たかった……)そらもう楽しかったんでしょうなあああが想像に難くないお祭りだった模様。やっぱ前夜祭って、いいよな。
なんとか間に合った初日11:30のレッドマーキー。出演するは新東京である。ドラム、ベース、ピアノ、ボーカルというギターレスの4ピース。こちらの枠のみに冠されるSelected by ROOKIE A GO-GOの表記。そう、昨年でいえばNIKO NIKO TAN TANの、所謂ルーキーからの勝ち上がり組である。シティポップ的なバンドと乱暴にくくってしまうこともできるのであるが、そのシティポップとして聴かれている所の声楽(メロディー)よりも器楽(アンサンブル)を抽出した音楽性が実に個性的。筆者が初めて聴いたのは「Cynical City」。クールな歌メロの裏で猛スピードに火花を散らしまくる楽器陣に「く、狂ってやがる……」と悶絶しながら以来激しく愛聴させていただいとるバンドなのですが、ライブではその楽器のバチバチがより一層バチのバチのバッチンコで最ッ高でした。
フュージョン歌謡とでも形容すれば良いのだろうか。今年出たアルバムのオープニング「NTM」から始められた彼らのライブ。気合十分の各人が散らす音の火花がマーキーの屋根と反響する様が朝イチからカオスな空間を作り出し、それをしたり顔で乗りこなすメロディーが浮き上がったり沈んだりとやっぱりどこかシュールというか、狂気的であった。随所にソロ回しなどを挟みつつで後半にプレイされた「Cynical City」や「さんざめく」はこの歌メロになんでこのリズムパターンなのでしょうか。ちっと後で体育館裏来いやなステージング。そらもう狂ってやがっておりました。
ホワイトに移動してLucky Kilimanjaro。昨年リリースの『Kimochy Season」を激しく愛聴した我が身に燦々と降り注ぐ日光と、そしてオープニングの「Kimochy」のダブルパンチはたまらんってば。自身の音楽性を可視化したかのようなカラフルな出立ちのメンバーから奏でられる極彩色のポップ/ダンスチューンの数々。ドラムを中心としてその前にギター、ベース、そしてその前方に固定されたキーボードとパーカスというフォーメーションが美しいし、渾身のジャンプが決まりまくる松崎浩二(Gu)とクールに刻む山浦聖司(Ba)の対比と、別方向にそれぞれキュートな笑顔を向ける大瀧真央(Key)とラミ(Per)の対比と、渋いお顔立ちの柴田昌輝(Dr)とはっちゃけまくりな熊木幸丸(Vo)の対比。なんて映えるメンバーたちなのだろう。それを観ているだけでもう楽しい。
中盤、当日が金曜日であったことも含め、ここでやるには打ってつけな「Burning Friday Night」や「エモめの夏」がプレイされる頃にはホワイトステージも大盛り上がり。終始ポジティブでアッパーな空気感のライブであったが、個人的にはふと耳に流れ込む熊木の日常を鮮やかに切り取る歌詞に思わずダンスが止まってしまう瞬間も多々あり、踊りたい気持ちと歌詞を噛み締めたい気持ちがせめぎ合う己の胸の内の対比さえもがいつの間にやら構築されてしまっていたことも含め、あらゆる対比構造に打ちのめされるライブであった。途中熊木が持っていたジョッキの中身が本当に酒だったのか否かが未だに気になっているので誰か知ってたら教えてください(笑)。あと推しの「掃除の機運」はやらなかった(そらそうだ)のでこちらもいつか生で聴きたいなと思いました。
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