2024.06.21 19:00
なんとも変である。
思春期当時の僕の心境、この漫画を読んでモヤモヤモヤモヤしていた。
モヤモヤすぎてモヤというよりもはや煙。
煙に巻かれている感覚である。
どっちがどうでどれがどうでどうなんだと。
そして奥浩哉先生らしい抜群のスタイルやビジュアルのキャラクターとその摩訶不思議ストーリーが、思春期好奇心爆発誘発でその手を止められない止まられないどこぞのかっぱえびせん状態に誘われるのである。
『変』
まず主役の1人である鈴木。
高校生にして190cmの長身、容姿端麗にスポーツ万能だが、目立つリーゼント頭のケンカも滅法強い不良。1人暮らしで、相手を見つけては部屋に女性を連れ込んではたらしこむモテっぷり。
そんな鈴木がふと占い師に今日運命の相手に出会うと言われる。
そこに現れたのがこの物語の主人公・佐藤ゆうき。
華奢で、か細く見目麗しい高校生の男の子。
そんな佐藤に鈴木は一目惚れ。
ゲイではないと言いつつも鈴木は猛アタック。
佐藤は佐藤で本人は男として女の子を振り向かせるために健気に頑張ったりもするんです。
でも、カラダつきもどこか女性的であるので力も運動も不利だったりするんです。
あの手この手を使ってそんな佐藤を彼女にしたいと奮闘する鈴木。
そう、これは男と男のラブコメである。
当時のモヤモヤ1。
この佐藤は何故にこんなにもモテるのか。
同級生に漫画家を目指している奥くん(おそらく奥浩哉先生ご自身がモデル)曰わく、男たちを惹きつけ虜にするフェロモンを発しているらしいのですよ。
奥くんも惹かれちゃってますからね。
その愛くるしさが存分に描かれているのだ。
そして当時のモヤモヤ2。
時折佐藤が本当は女の子なんじゃという態度や発言や表現が多々出てくるのです。
赤らめる顔や悩ましげな仕草。
おかげで読んでるこっちも鈴木同様気になって気になるも毎回佐藤の煙に巻かれて咳き込みが止まりません。
おい佐藤、可愛いやつだなって思っちゃうんです。
結局いつの間にか鈴木の変態的な不器用な駆け引きやらひたすらの猛攻でどこか気になっちゃうんですが、そこはやはり恋のライバル出現ですよ。
すぐみんなで佐藤を彼女にする権利を巡って勝負が繰り広げられていくのです。
しかもライバルも異性に人気のありそうな奴ばかり。
そこでまた魅力的な女性キャラクターが絡んできて複雑に織りなす恋の糸、これを人はなんと呼ぶのでしょうか。
当時の時代ではちょっと変わっていて『変』と言われていた恋模様も30年近く経った今では普遍的な価値観に変わりました。
皆さんも鈴木たちと一緒に佐藤に最後まで転がされることでしょう。
ちなみに佐藤争奪戦の中で、佐藤が出した対決テーマに漫画賞を取れというのがあるのですが、みんな佐藤を主人公にし、実は女の子だったみたいなストーリーになるのですが、まさしくそれが今回の漫画『変』なのではないでしょうか。
はてさてどっちなのか。
さあ、みんなで転がされましょう。