2024.05.31 18:00
2024.05.31 18:00
5月31日に公開された映画『告白 コンフェッション』。雪山で遭難したジヨン(ヤン・イクチュン)は死を覚悟し、親友・浅井(生田斗真)にかつて殺人を犯したことを告白する。だが、すぐそばに山小屋を発見。二人は九死に一生を得る。
死ぬつもりで決死の告白を言ってしまった男と、聞いてしまった男。二人のスリリングな攻防を描いた本作で、ヒロイン・さゆりを演じた奈緒。
今やすっかり主演女優の風格を備える実力派。だが、目の前に現れた彼女は女優然とした雰囲気はどこにもなく、人なつっこい笑顔で、飾らず、構えず、胸の内を語る。
自然で、瑞々しく、つくりものめいたところがまるでない。その伸びやかな佇まいは何から生まれているのか。あまり迷うことも悩むこともなくなったという奈緒が日々実践していることを聞いた。
役の大小よりもより新鮮で面白いかが大事
──今や主演作が相次ぐ奈緒さんが、これだけ出番の限られた役で出演されるのは少し驚きでした。本作に出演を決めた理由は何だったのでしょうか。
まずは原作がすごく面白かったんですね。このテーマでワンシチュエーションで映画にするなんて、すごく挑戦的。監督の山下(敦弘)さんとは以前CMでご一緒したことがあって、そのときから絶対また映画でご一緒したいですというお話もしていたので、お話をいただいた瞬間、「やったー!」という気持ちでした。
──奈緒さんが出演を決めるポイントに、出番の多さや役の大きさはさほど関係がないんですね。
あまりそういうことは考えたことがなくて。それよりも考えているのは、今、自分が何をすると、より新鮮で面白いか。ありがたいことにドラマで主演をさせていただく機会も増えているタイミングだからこそ、今回のように限られたシーンの出演を、観てくださる方が意外性を持って楽しんでくださるかもしれない。この映画を面白くする要素の一つとして役目を果たせるのかなと思いました。
──本編で音は使われていませんが、撮影現場では台詞を喋っているんですか。
ちゃんとお芝居ができるように監督が台本をつくってくださって。さゆりの細かいバックボーンも用意してくださったんですよ。だから私としてはいつもと変わらない感覚で臨みました。
──そんな中、ある種、象徴的な存在として描かれるさゆりを印象づけるために意識したことはありますか。
山の中で、さゆりが座っているところにカメラが寄っていくカットがあるんですけど、あそこに関しては、ここまでカメラが来たらニコッと笑ってというふうに山下さんから具体的な指示があって。映画としても、さゆりが何を考えているかよくわからないカットではあったので、私もあまり内面は深く考えすぎずに、監督を信じて、山下さんのいいと思う間やタイミングに委ねました。普段通りお芝居をするシーンと、ある種、イメージカットのようなシーンが混在する役だったので、そこはすごく面白かったです。
──さゆりが殺される場面も記憶に残ります。
本当ですか。いかに印象づけるか、山下さんと2人でこだわった部分なので、そう言ってもらえるとうれしいです。さゆりの死の瞬間が生々しいほど、呪いのようにさゆりが記憶の中に存在できる。完成した映画を観て、すごく大事なシーンだったんだなと思いました。
──奈緒さんは韓国語が特技と聞いています。イクチュンさんとは韓国語でコミュニケーションをとられたんですか。
最初にお会いしたときに、簡単なご挨拶を韓国語でさせてもらいました。私、どうしてもイクチュンさんとお友達になりたくて。お友達になりたいですとお伝えしたら、イクチュンさんも快く了承してくださって。機会があれば韓国に遊びに来てくださいという話になったんですね。
なので、私と『告白 コンフェッション』のヘアメイクさんと通訳さんの3人で韓国へ女子旅に行きました(笑)。 私、イクチュンさんの『息もできない』という映画が大好きなんですよ。その話をしたら、現地でイクチュンさんが『息もできない』のスタッフさんを紹介してくださって、みんなで楽しくお酒を飲みました。
──奈緒さんはあまり人に対して壁がないタイプなんですね。
そうですね。イクチュンさんも「本当に来るとは思わなかった」とおっしゃってました(笑)。
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