2024.05.17 17:30
2024.05.17 17:30
役のまま生きている人は見ていて伝わる
──蒔田さんといえば、10代の頃からその演技力が高く評価されています。
そこはもういい作品と素敵な役に出会わせてもらったおかげだと思います。やっぱり自分で自分の芝居ってなかなか客観的には見られなくて。時間も経っている分、今だったらこうやるのになとか、そういう目線で見てしまう。そのシーン自体をいいシーンだったと思うことはありますけど、自分自身の演技に対して完璧だと思うことはないですね。
──自分の演技を磨いていく上で実践していることは何ですか。
いろんな作品を観ることですね。国内外を問わず、いろんなジャンルの作品をインプットするようには心がけています。
──特にインスパイアされた俳優はいますか。
クロエ・グレース・モレッツという海外の女優さんがいるんですけど、その方も余命ものの作品に出ていて、すべてのシーンがグッと来るくらいすごかったんです。それを見て、カッコいいなと思いました。
──蒔田さんは、どんな俳優がいい俳優だと思いますか。
演じていない人ですね。ちゃんと役のまま生きている人って見ていると伝わってくる。そういうお芝居を目の当たりにすると、カッコいいなと憧れます。
──由茉は「好き」とか「うれしい」とか、自分の気持ちをそのまま相手に伝えるところが魅力です。蒔田さん自身はいかがですか。
私はあんまり言葉に出さないタイプです。「ありがとう」とか「ごめんね」とか、人として大切なことはちゃんと伝えますけど、「カッコいい」とか「うれしい」とかはなかなか言えない。あの素直さは由茉のいいところですよね。
──うれしいときはどうするんですか。
笑顔ですね。
──じゃあ逆に機嫌が悪いときは?
察してもらいます(笑)。
──由茉は、死は特別ではなく、ありきたりなものという考え方です。あの死生観に共感できるところはありましたか。
私にはあそこまでの強さはないなと思いました。私が由茉と同じ立場だったら、たぶんずっと弱音を吐いてるし、周りに甘えちゃうと思うんですよ。そうしないのは、由茉の強さであり優しさなんだなと思います。
──そんな由茉の強さや優しさはどこから生まれているんでしょうね。
やっぱりちゃんと愛されているという実感があるからだと思います。家族もそうですし、雪夫くんも惜しみなく愛を与えてくれている。だから、由茉も愛を返したいと思う。あの強さや優しさは愛を知ってる人のものだという気がしました。
──由茉は17歳ですが、蒔田さんは17歳の頃、どんなことを考えていましたか。
早く俳優のお仕事一本に専念したいなと思っていました。高校卒業を控えた頃で、将来を考える時期だったんですけど、私は『ゴーイング マイ ホーム』の頃から大人になっても俳優を続けると決めていたので、早くそうなりたかったです。
──他にも選択肢はあったと思うのですが、なぜそんなに俳優という仕事に迷わず突き進めたのでしょう。
やっぱり周りの俳優さんや女優さんがみなさんカッコよかったからだと思います。だから、私も大人になったらあんなふうになりたいと思った。学校に通っていると、いろいろと制限があるんですね。早く高校を卒業して、みんなとてっぺん(深夜0時)まで撮影ができるようになりたかったです(笑)。
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