2024.04.13 19:00
2024.04.13 19:00
WOWOWとHBO Maxの日米共同制作、世界120カ国で配信されるなど大きな話題を呼んだドラマ『TOKYO VICE』。90年代の日本を舞台にアメリカ人新人記者の視点から日本の裏社会を描くという刺激的な内容で、4月6日(土)から待望のシーズン2が放送・配信スタートした。
第2話から登場するヤクザの若頭・葉山を演じる窪塚洋介は、近年は映画を活動の中心とし、海外資本の配信ドラマなどにも出演が相次ぐなど、10〜20代のブレイクとはまた違う形で評価が高まっている存在。「面白そうなものしか出ない」「好きなことしかやらない」という彼の、今の活動スタンスに迫る。
今までで一番と言っていいぐらいハードルが高かった
──まず、この『TOKYO VICE Season2』に出演することになった経緯というのは?
オーディションなんですよ。「なかなか決まらない役があるんですけど……」と話が来まして、「そうならないと呼ばれないんかーい!」と思いながらオーディション会場に向かったんですけど(笑)。一回で好感触だったのか、この葉山という役を演じることになり……ただ、今まで演じた役の中で一番と言っていいぐらいハードルが高かったんですよ。だから撮影中もずっと「大丈夫かな」と思い続けてましたね……ってなんか素人みたいなこと言ってますけど(笑)。その気持ちは常に最後の最後まであったので、アメリカ側のプロデューサーたちだったり、スタッフのリアクションや感想を拠り所にして「これでいいんだな、この流れで大丈夫だな」というのを確認しながらやっていた感じです。
──公式コメントでもこの葉山という役へのハードルの高さを言われていましたが、具体的にはどんなところだったんでしょう?
映画の『ジョーカー』ありますよね? あのジョーカーみたいな感じだから、と最初に言われてたんだけど、あんなにポップじゃないんですよ。もっと何かにじみ出てくる人の悪さみたいなのがあるんですよね、葉山は。やっぱり僕、「人が良い」ので……って笑います?(笑)。
──いや、わかります!
どこまでその空気感を出せるのかというのは思いましたよね。本読みのときにそれを意識して、簡単に言うと「ちょっと悪い方に寄せる」みたいな感じで本読みしたら、(渡辺)謙さんから「窪塚、そのまんまでいいんだから! そのまんまで葉山に見えるから!」って言われて。なんか嬉しくねえな、ちょっと複雑だなっていうのはありました(笑)。でも、その言葉で気負いが取れて、楽な気持ちで臨めるようになりましたね。
──でも確かに今回の葉山役は、イノセンスさや人の良さがにじみ出るような役柄とは真逆ですし、窪塚さんのこれまでのイメージからすると「見たことがない」役柄だと思いました。
「悪い役」だとしても、ちょっと常軌を逸してるような空気感をポップに出したり、明るめに出したりするというのはあったんですよ。でも今回の葉山のようにとにかくダークサイドの方に持っていく、というのはなかなかなかった。そこが演じていてすごく面白かったところだし、不安だったところでもあって。その2つが同居してましたね。
俺は本当に葉山とは逆なんですよ。気を回して言いたいことも言わないようにしたり、もしくはもっと「人が傷つかないような言い方」をする方なんで。でも葉山は、とにかく傷口を言葉でえぐっていくタイプ。葉山は笠松将君演じる佐藤の兄貴分という役柄なんですけど、途中からずっと佐藤をいびってるから、だんだん笠松側、佐藤側に感情移入しちゃって(笑)。「おい頑張れよ佐藤!」みたいな。すごく変な感じでしたよ、葉山であり、佐藤でもある、みたいな感じになってましたから(笑)。
──笠松さんもこの『TOKYO VICE』のシーズン1で一気に注目度が上がった存在ですが、共演されていかがでしたか?
いや、すごくいいですよ! 今31歳だっけかな? 年齢なりのギラギラした感じというか、若くてハングリーな狼のようなところもあるし、ウサギのようなかわいらしい部分も……ってウサギはないな(笑)。でもすごく可愛げはあって。自分はもともと後輩と仲良くなったりとかあまりなかったんだけど、ちょうど彼が事務所を変わるタイミングでもあったから少し相談に乗ったり。とはいえ、もう海外での認知度は高くなってるのも聞いてるし、ザッツアジアな顔をしてるからそこもすごく強みですよね。本人はそこがコンプレックスだったって言っていたけど、これからはそこが強みになる。葉山とは違う、窪塚として少し背中を押せたかな、というのは裏側でちょっとありました。
──窪塚さんはハリウッド作品や海外資本の作品を多数経験されていますが、そこをふまえてのアドバイスをされたんでしょうか?
いやいや、そんなに出てないですよ(笑)。でも自分も1人で、個人事務所でやってますから、そういうところかな、と。
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