2024.03.27 19:00
photo:ATSUKI IWASA
2024.03.27 19:00
AJICOで曲を奏でていることがすでに特別
──ラストを飾る「8分前の太陽光線」はUAさんの作詞です。
UA これもタイトルから入りましたね。地球に届いている太陽光線はその8分前に放たれたものなんだ、という話を本で読んですごく気に入って、それを人間の命に置き換えた。ちょっとファンタジックに書きましたけど、振り返らず、執着残さず逝かないとお化けになっちゃうよっていう。『チベット死者の書』(※チベット仏教ニンマ派の仏典)のなかでも、スペシャリストみたいな人が横について死者をクリアライト(光明)に導いてあげるような伝統があったんだけど、人が死ぬ時には覚悟が必要だと思うし、自分が人として生きてきたなかでも強烈な本番なんじゃないかなって。臨死体験の本もいくつか読んできたけど、 元々生きている間の心の状態がすごく高みにある人は、その体験自体も面白いものが多いみたい。とにかくは死ぬ時についての歌ですね。
──もし仮に昔のAJICOの頃のUAさんが同じテーマで詞を書いても、おそらくこういうブライトな歌詞にはならなかったでしょうね。
UA ですね。あの頃は“POP”の3文字が完全に消え去った世界に住んでたんで(笑)。今はものすごくポップ。全く違いますね。
──浅井さんは、この曲については?
浅井 これは俺の元々のデモから一番大きく変化を遂げた曲。最初はベースラインとギターの絡みに歌が乗ってくる感じだったんだけど、途中からそのベースラインがなくなったんだよね。でもすごくカッコいい。正人くんを信頼してるし、正人くんとUAが一番いいと思う形にしてくれればと思っていたから。
UA 正人くんは音楽的センスももちろんだけど、ボキャブラリーもすごい。本もすごく読んでいるみたいだし。この曲も「死ぬ時の曲だよ」なんて全く説明していないのに、サウンドとして勝手にキャッチしてくれていたと思います。彼も荒木くんもだんだん私たち2人の扱い方のコツを覚えていって。そこも流石でしたね(笑)。
浅井 次はサウンドプロデューサーを立てずにやろうか。
UA ほう?ほほーう?
浅井 俺がプロデュースして荒木くんをアシスタントで使うわ。
UA ほうほうほほーう……。
──今のUAさんの戸惑いの声までドキュメントしておきますね(笑)。では、最後にツアーについてお聞かせください。
UA 何と言うか私は妙に冷静でして。前回はかなり久し振りだったこともあって気負っていたところもあったんですけど、もうAJICOのみんなで曲を奏でていることがすでに特別なんだっていう思いが今回の作品を作っている最中にも確信としてあったので。あまり考えず、リハを通して徐々に熱を上げて、最後は本番で自然と熱くなれればいいかなと思っています。
いろんな曲がある状態になったことも楽だし、本当に充実している感じがしていますね。
──ちなみにライブのセットリストはどうやって決まるんですか?
UA 曲順はリハをやってみてからみんなで決めるんだけど、今回の選曲は浅井さんがレコーディング中からいそいそと紙に書き出していたんですよ。
浅井 そう。そこはちょびっと支配しとる。
UA その選曲にはほぼ異論がなかった。ブランキーの曲も数曲入っていて。それもたしかに今だったらいいのかなって思えたし。
浅井 そう。身体の調子も大丈夫なんで。楽しみにしといて。