2023.12.06 17:30
2023.12.06 17:30
やついいちろうがホストとなり、さまざまなコンビ・トリオの成り立ちを聞くインタビュー連載『芸人結成物語』。今回迎えたのは、先の「キングオブコント2023」決勝ではラスト10組目の出順となり、審査員から「ごめんね」を連発されたラブレターズ。(結果は6位)
日本大学芸術学部にて出会い、その後2009年にコンビを組むことになった彼ら。それならば撮影は日芸キャンパスしかないだろう……と大学側にも大いに協力をいただき当日を迎えたが、ふたりの卒業後すぐに建て替えがあったため現校舎には特に思い入れは無いことが判明。気を取り直しインタビュー場所の映画学科実習室に向かうと、そこにはちょうど何かに見立てられた机と椅子が。黙ってポジションについた3人に一旦全てを任せてみた。
やつい まずは声を出して! 大きい方が絶対にいい!
塚本 いきなり!? この授業なんか内容が薄いんですけど(笑)。
やつい 塚本は顔的に小さい声はダメ!
塚本 あ、ルッキズムですか(笑)。
やつい お笑いなんてルッキズムの塊なんだから。ルッキズムを意識してないお笑いなんて、結局個性を活かしてないお笑いと一緒よ。自分たちがどれだけ背が小さいとか、滑稽な顔してるとか、君たちルッキズムをしっかり学びなさい。
塚本 世に出たらまずい授業だ。
やつい ルッキズムを全部無視して、お笑いなんて成立しませんよ。そういうのをちゃんと使わないと。 まさかイケメン役をやってるわけじゃないでしょ? それはお笑いのため、君がイケメン役をしたらウケちゃうでしょ。
塚本 今は多様性の時代なので、そんなに反応はないですけど。
やつい そんなわけねーだろ! じゃ、インタビューやりましょうか。
塚本・溜口 (笑)
やつい ふたりはどこ出身?
塚本 僕は静岡県の浜松市です。
やつい (小声で)へえー。
塚本 え、興味ありますか? 急に声も小さくなって(笑)。
やつい 溜口くんは?
溜口 僕は埼玉です。
やつい 今いくつだっけ?
塚本 僕らは38歳で、今年39の年です。
やつい ちょうど10個下か。ということは、ネタがテレビで溢れてた時代だよね。
塚本 中学のときは『オンバト』を毎週録画して観てました。
溜口 ネタ時代ですね。だからエレキコミックさんはど真ん中ですね。
やつい コンビはネタをやるもんだと思ってる世代だよね。ふたりともお笑いが好きな少年みたいな?
塚本 めちゃくちゃ見てました。
溜口 見てたけど、芸人になろうとはまったく思ってなくて。
やつい お笑い芸人になろうと思ったのはいつなの?
塚本 僕は大学を卒業してから。
やつい だいぶ後だね。中高は何してたの?
塚本 中学校の同級生にうるとらブギーズの佐々木くんがいて、ふたりでお笑いの話ばっかりしてたんです。でも僕らスクールカーストの一番下のところで、全くイケてなくて。芸人にはなれないけど、お笑いが好きだから放送作家になろうと思って。放送作家を目指すと決めたときは、すごい職業を見つけた感じでワクワクしましたね。だけど、高校卒業するタイミングで、佐々木くんが急に「芸人やりたい」って言い出して。
溜口 あの陰キャの佐々木くんが。
塚本 僕は必死に「お前なんかにできるわけないよ」って止めて。「暗いし、全然目立ってもないし、勇気もないからやめた方がいい」って。
やつい 自分だけ置いていかれる感じが怖かったの?
塚本 それもあったかもしれないですね。でも、一緒に「放送作家になろう」って言ったのに表の方を目指すのは違うだろって。必死に止めたけど、結局佐々木くんは吉本養成所に入りました。同じタイミングで僕は大学で上京して。そこから4年間ずっと佐々木くんのライブ観に行ってて。
やつい ラジオとかには投稿しなかったの?
塚本 したんですよ。ハガキ職人あがりになりたくて。『ナインティナインのオールナイトニッポン』を聴いてたので、最終的にナイナイさんにハガキを読んでもらえるのを目指してました。ハガキを50枚買って、まずは地元でやってたデンジャラスさんのSBSラジオ『らじおの王様』に送るところから。そこでならしてからナイナイさんに送ろうと思って、50枚全部をデンジャラスさんにつっこんだけど、1枚も読まれなくて(笑)。自分には才能がないと思って、中学で一度挫折してるんですよ。
やつい そんなすぐ挫折しちゃったんだ。負けじととはならなかったのね。
塚本 ならなかったんです。本当に自信のある50枚だったので。ちゃんとハガキの縁も蛍光ペンで塗って目立つようにして。なのに読まれなかったんですよ。
溜口 懸賞ハガキみたいなね。縁塗るやつは絶対おもしろくないだろ(笑)。ネタだけで勝負しろよ。
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