特別対談「日比谷音楽祭が目指す音楽の新しい循環」 #3
この時代に生きる“送り手”として、亀田誠治×秦 基博が考える多様さがもたらす効果と希望
2023.10.23 17:30
2023.10.23 17:30
家庭の中にどう音楽があったかは大きい
──ところで秦さんのバックボーンをお聞きしたいのですが。
秦 家にすごく音楽があったとかでもなんでもなくて。兄がいるんですけど、兄がギターをもらってきて。僕が12歳くらいの頃ですね。兄が弾きはじめて、それを真似して弾き始めたっていうのがきっかけで。それまでいっぱい音楽聴いてたとか、両親が音楽好きとかっていうことではないですよね。
──具体的にどんな曲をギターで弾いていたんですか?
秦 僕は男兄弟3人の一番下なんで、10代半ばぐらいまではずっと、とにかくお兄ちゃんの真似をするって感じだったんですよ。兄が野球やれば僕もやるし、兄がバスケしたらバスケするしっていうのをずっとやっている中の一個がギターだったんですよね。兄がやって楽しそうだなっていうので単純に真似して。最初は、兄が長渕剛さんがすごい好きでずっと家に長渕さんの曲がずっとかかってたんで、僕も自然に長渕さんの曲でギター覚え始めたりして。それで、中学生になるとMr.Childrenとかそういう方たちの音楽を自分でまた聴くようになって、それをコピーして。
──ご兄弟が男兄弟っていうのが環境要因として大きかったと。
秦 あとは一般的なイメージだとお兄ちゃんがギター貸してくれないことの方が多そうじゃないですか?
亀田 (笑)。
秦 なんかちょっと弟に触らせないみたいな。「お前勝手に触るなよ」みたいなイメージが周りから聞くとあるんですけど、僕の兄はそういうところにすごく寛大で、いろんなものを、今の言葉で言うとシェアしてくれたし(笑)。使ってない時使っていいよって感じだったんですけど、それに甘えてギターとかだけじゃなくて、服とか兄が使ってない時は使っていいみたいな感じだったので。
亀田 家庭の中でって、今回の対談する皆さんから出てくるキーワードですね。みんなやっぱり家庭の中で何らかの形で一番初めに音楽に触れたとおっしゃるんですね。
秦 やっぱり家庭の中は大きいですよね。どういうふうにそこに音楽があったかっていうのは。
亀田 そういう意味で日比谷音楽祭は家族で参加しやすい雰囲気っていうのはすごく僕も大事にして行きたいなと思うのと、ちょっと話ずれるけど、長渕さんとかミスチルとか、めちゃくちゃ影響力のあるアーティストに触れてるっていうのはやっぱり大きいかもしれないですね。はじめに秦さんが子供も見るから、最高の音楽を届けたいっていうふうにおっしゃるのはそういうところがあるのかと思っちゃった。
秦 当時小学六年生とかにしたら、ちょっと背伸びした音楽なんですけど、それも兄が聴いてるから自然に受け取ってるっていうのがあったと思いますね。で、気づいたら、兄が曲作ってたんですよ。コード3つぐらいで、もうギターを覚えたら曲書くもんだって僕も思っちゃって。
亀田 おお(笑)。
秦 だから僕もギターを始めてすぐ作ってたんですよね、「曲って書くもんなんだ」みたいな感じで。曲を書くことへのハードルみたいなのがあんまりなく、ナチュラルに書き始めてたっていうのはあると思います。今の活動とほぼ同じっていうか、ギター弾いて、曲を書いて、歌うってことは、もうずっと始めた時からその形っていうか(笑)。
亀田 ははは。
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