2023.10.13 19:00
2023.10.13 19:00
思うようにいかないような日々の中で自分たちを、そしてリスナーを奮い立たせるようなロックソングを歌い続けている広島拠点の4ピースバンド、bokula.。今年1月にファーストフルアルバム『FUSION』をリリースし、初のワンマンツアーも大盛況のうちに終えた彼らから、新たな一歩となる4th E.P『Phantom youth』が届いた。タイトルからもわかるとおり、今作のテーマはずばり「青春」。ロックバンドにとっては永遠のテーマだが、なぜ今彼らは──というか作詞作曲をしているフロントマン・えいはその命題に向き合ったのか。その答えは、今作の5曲から溢れ出る瑞々しさと生々しさにある。
これまで以上に自分自身の姿を曝け出すような歌詞、一発録りでレコーディングしたというシンプルなバンドアンサンブル。ここには躍進を続けるbokula.というバンドの現在進行形の等身大が鮮やかに刻まれている。学業のために活動を休止していたベース・さとぴーも復帰し、完全体となったbokula.はこの作品を携えて怒涛のツアーに出る。対バン編を経て開催される東名阪、そして地元広島の各クラブクアトロでのワンマン、彼らがどんな「青春」を見せつけてくれるのかが本当に楽しみだ。
新しい価値観を得ることができた(さとぴー)
──『FUSION』というアルバムが出たのが今年の1月で、そこからここまでの間にはさとぴーさんの完全復活(さとぴーは昨年1年間、活動を休止していた)などもありましたが、どんな気持ちで活動をしてきましたか?
ふじいしゅんすけさん(Dr) アルバムのタイミングぐらいから大きい舞台を用意されることが多くなって……自分たちはライブハウス大好きでライブバンドとしてやらせてもらってますけど、フェスとかの大きい舞台だったら、またライブの仕方もちょっと変わってくるんだなっていうのを思いましたね。ライブハウスももちろん大事なんですけど、大事にしすぎるのもちょっと違うんやろうなって思いながら。自分の魂的に持っておいていいものとして、そこからどう変化していくのかがすごく重要になってくるなって。
えい(Vo/Gt) めっちゃ変わったな、考え方が。
ふじい 柔らかくなった。まあでも、今でも結局は「ライブハウス、ライブ命」っていう感じですけどね。
えい 受け入れ皿が大きくなってる。正直、前は小鉢よりもちっちゃいくらいだったのに。ポテトサラダが入るくらいにはなったね。
ふじい でも結局はそれもライブなので。そのライブのやりかたがいろいろあるなと思ったっていう感じですね。
えい でも今しゅんすけが言ったことが僕だけじゃなくて、他の2人にも当てはまるんじゃないかなって思う。自由になりましたね。楽曲の作り方も考え方とかも、「誰に向けて」っていうのはありますけど、より多くの人に知ってほしいっていうのもあって。そこについてはライブハウスを中心に、ではありますけど、すごく視野が広くなった。
──前はちょっと違ったんだね。
かじ(Gt) もうライブハウス、ライブのみ、それ以外考えてなかった。
えい だからライブのことを想定して作った曲とかも中にはあったりはしたし。でも今は生活の一部の何かをテーマにして曲に落とし込むことが増えましたね。曲を作るきっかけも今まではライブで経験した気持ちだったり、ツアーを回ってて感じたことだったりしたんですけど、最近はたとえば(手元の飲み物を指差して)このアイスコーヒーだったりとか、そういう些細な生活の物事から汲み取れるようになりました。
──それって今回の『Phantom youth』にも出ている感じはします?
えい そうですね。作品のテーマとしては「青春」っていうベースはがあるんですけど、その中の歌詞で使われている言葉だったりはすごく柔軟というか、広がってるんじゃないかなって思いますね。
──じつは僕、聴いてそれをすごく感じたんです。アルバムのときと何が違うかっていうと、音も変わったけどやっぱり歌詞だなと。『FUSION』のときはもっと大きなことを歌っていたと思うんですけど、今回はリアルな生活の中で感じることだったりだとか、生きていて感じる人間的な部分だったりだとかをすごく素直に書き始めたなって。
えい ありがとうございます、褒められちゃった。
──(笑)さとぴーくんはどうですか?
さとぴー(Ba) 僕はアルバムが出て1ヵ月後くらいに復帰したんですけど、そこからブランクを取り返すように動いてきて。活休前は結構がっついたライブをやることを意識していたんですけど、さっきしゅんすけも言った通り、いろんな大きいステージを経て、がっつくだけじゃライブじゃないなと思って。新しい価値観を得ることができている感じですね。
ふじい でもちょっと心配だったところはあったんですけどね。帰ってきにくいんじゃないかなって。だから帰ってきやすい環境は作っておいた方がいいなってすごく思ってました。
かじ さとぴーは学業のために休んでいたんですけど、1年も完全にステージから離れていたら立ったときのイメージも忘れちゃうと思って。忘れないように、休んでいる1年間は毎回、どのライブも映像を送っていたんです。
さとぴー どうにか今のbokula.を知ろうと思って見てました。そしたら「めちゃくちゃ変わってる!」って思って。そうやって休止中も連絡取ってくれたので、帰ってきやすかったです。
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