特別対談「日比谷音楽祭が目指す音楽の新しい循環」 #2
鍵はバーチャルとリアルのつながりに、亀田誠治×Ovall関口シンゴが語る変化と普遍性
2023.10.10 18:00
2023.10.10 18:00
日比谷音楽祭だから味わえる環境と体験
──関口さんの音楽との出会いとアーティストを志すきっかけを詳しくお聞きしていいですか?
関口 ギターを始めたのはX JAPANのコピーバンドですね。陸上部だったんですけど、文化祭で先輩方がやってるのを見て友達と「なんかバンドやりたいよね」「うちらも文化祭出たいよね」ってなって(笑)。最初は友達がすでにギターをやってたので、「キーボードやれば?」って言われたんですけど、X JAPANのピアノって一瞬しか出てこない(笑)。「これ俺ギターなんじゃないの?ツインギターでしょ」ってなって、ギターを買ったのがきっかけです。なのでもう最初はずっとジャパニーズロックをやってた感じです。
──目指すところはギターヒーロー的だったんですか?
関口 そうですね。イングウェイ・マルムスティーンとか。速弾きがしたくて。当時速弾き系にすごいはまって。でもだんだん高校生になってくるとちょっと色気づくというか、「いや弾くだけがカッコいいんじゃないでしょう」と思って、いなたいものに惹かれて、スティービー・レイボーンからブルースにものめりこんだ感じですね。
──その後ギタリストとしてだけでなく、全体を作るようになられて。
関口 ただ原体験的には父親がやっぱりビートルズものすごい影響を受けた世代で、ずっと家ではもう「うるさい」って言うぐらい日曜の朝になるとビートルズが爆音でかかるんですよ。いや、大好きなんですけど、今でもちょっと反射的に「やめてくれ」と思っちゃうというか(笑)。
亀田 ははは。
関口 母親は竹内まりやさんとかやっぱ松任谷由実さんとか大好きでいつもかかってたので、ポップスは完全に体には染み込んでるっていう感じですね。
亀田 これは日比谷音楽祭が目指してるところに戻ってくるんですけど、やっぱり家の中で音楽が鳴ってるとか、家族と何か見に行くとかめちゃくちゃ重要で。
関口 めちゃくちゃ重要だと思います。
亀田 僕いつも言うんですけど、小さいときに姉がクラシックバレエを習っていて、それの発表会にいやいやながら連れて行かれたんですよね。姉の5分ぐらいの出番のために2時間ぐらい何とか会館で過ごすみたいな。
関口 ははは。
亀田 でもその時に聴いたチャイコフスキーの「くるみ割り人形」がカッコよくて「レコードを買って欲しい」って親に頼んだんですよ。あとは昭和の頃よくあった話なんですけど、「クラシック百選」みたいなレコードが全集で出てるわけ。それがことごとくいっぱい置いてあって、モーツァルトの定番、ベートーヴェンの定番みたいな。でも「シューベルトって清楚でいいな」とか違いがわかってくるんですよ。僕、小児喘息で家にいがちだったので、家のステレオで聴くのがすごく好きで。そういったものが今の自分の血となり肉となりっていうのはありますよね。なんで家での原体験っていうのは……。
関口 めちゃくちゃ影響力ある気がします。
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