2023.07.25 17:00
BiS「3 balls and 2 strikes TOUR」LIQUIDROOM公演より photo by sotobayashi kenta
2023.07.25 17:00
BiSが新メンバー3名を加えた6人編成の新体制で初となる全国ツアー「3 balls and 2 strikes TOUR」を開催。全11公演(うち2公演は8月に振替)となる本ツアーのファイナルの場所として選ばれたのは、BiS三期が始まって早々に陥ったコロナ禍直前にワンマンライブを行った会場であり、先日のインタビューでもトギーが「これから頑張っていくぞっていう時にライブができない期間に入ってしまったので、ここからまた始められることがすごく嬉しい」と語っていた、グループとしては特別な、そしてある意味では因縁の、とも言えるLIQUIDROOMであった。
開演直前に会場入りした筆者が客席を見渡すとそんなメンバーの思いは既にフロアを埋め尽くす研究員にも伝播している模様。きっと会場に足を運んだ研究員なら分かっていただけると思うが、ステージに注がれる視線は血走っており、各々が心の中で肩をぶん回さん勢いであった。そう、研究員の殺る気は満々。さあ、BiSはどう出る……?
定刻とほぼ同時にメンバーが登場し、のっけから「LET’S GO どうも」がけたたましく放たれる。ステージにはオフィシャルロゴのバックドロップのみが後方に掲げられる以外には何もないと言うシンプル極まりない仕様。そして第3期BiSのデビューアルバム『Brand-new idol Society』のクロージングナンバーでもある当曲がオープニングとして選ばれたことから、どうやらBiS側も研究員とぶつかり合う(というより殴り合う?)覚悟をキメているらしい。かくして1曲目から早くも完璧に通じ合ってしまったBiSと研究員。場内をつんざく大歓喜のコールを受けたパフォーマンスはあたかもいきなりのクライマックスを迎えんとしていた。
とは言え、ここで本当にクライマックスとなるわけもなく、勢いそのまま「STUPiD」「teacher teacher teacher」を立て続けにフロアへ投下していく。前者ではBiSが6人編成での組体操を鮮やかにフロアへと見せつけたかと思えば研究員はジャンプでそれに応え、後者ではAメロのフリを研究員たちが完璧にコピーしてみせたかと思えばBiSはラインダンスのキックでそれに応えるなど、ステージとフロア間で熱い攻防が火花を散らす。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのカバー「スモーキン・ビリー」では正にヤニでキマったかの様な目つきのシオンエピックがラスサビ前で悲鳴にも似通う絶叫! イルでワルなパフォーマンスでフロアを漆黒に塗り潰す。
各々が手短に自己紹介を挟んで矢継ぎ早に次なるブロックへ。とにかくテンポの速い楽曲が持ち味のBiSであるが、ここではテンポの速さはそのままに曲、並びにパフォーマンスの振れ幅の広さでもってフロアに更なる攻勢をかけていく。快速2ビートで突っ走る「BASKET BOX」、歌の合間にフロアに手を振り、それに全力のコールで応える研究員によって最早トラックがかき消えんばかりの大盛り上がりであった「GOiNG ON」、一転してどことなく和が香るメロディや6人が3組のペアとなるダンスが緊迫感すら醸す「FOOL PROOF」でがらりと空気を変えたかと思えば「hey boy hey girl」ではアイドルらしいキュートなラインダンスと、ほぼノンストップで目まぐるしくプレイされる楽曲の中においてもそれぞれに異なる表情、表現で彩りをつけていく様は、個人的なハイライトであった。
ナノ3が先導する形で行われたMCではツアーファイナルである本日の意気込みをメンバーそれぞれが語らう。どうやらイコ・ムゲンノカナタが1番ソワソワしていたらしく、開演までしきりに立ったり座ったりと落ち着かない状態であったらしいことが明かされ、シオンエピックは「PSYCHOだけに最高です!」とのこと(シオンの衣装にバックプリントされてる文字が“PSYCHO”のため)。しかしこれではまだまだ足りないと言った面持ちのトギーが汗たりてなくない!?とフロアを煽り立てるとライブは「少年の歌」に突入。
クレナイ・ワールズエンドのダンスのキレが冴え渡り、他メンバーもパフォーマンスにますますの華やかさを纏わせていく中で、なんとここで「thousand crickets」だ。イントロのリフや重厚なビート感も相まってヘドバンなどが適しているのだが、ライブでの本楽曲はメンバー、研究員一丸となって曲が終わるまで延々とスクワットをやり続けるのがお約束。この曲のみメンバーは一節たりとも歌うことなく、力技でライブハウスをジムへと変えたのであった。無限スクワットが終わるや否や無情にも次曲のイントロが間髪入れず鳴らされる。「I WANT TO DiE!!!!!」だ。体力が相当に削られているものかと思われる中でもトギーがハイトーンを振り絞るかのように響かせ一層のエモーショナルさを曲に添えていき、流麗なピアノがリードする「つよがりさん」がそれに拍車をかける形で本ブロックは終了。皆様、本当にお疲れ様です。
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