2023.05.08 17:30
2023.05.08 17:30
「Are you ready, Shinjuku!? Yeah! Yeah! Yeah! Yeah!」
Sena(Dr)が力強いビートを打ち鳴らす中、Paul(Gt)とJohnny Bowie(Ba)がすでにジャム・セッション風の演奏を繰り広げているステージに飛び出してきたSkye McKenzie(Vo, Gt)が観客を煽りながら、バンドの演奏はPaulが奏でるリフが印象的なミッドテンポのブギィなロックンロール「Devil’s Kiss」で始まった。
10代という若さはもちろん、バンドとしてデビューする前に亜無亜危異のギタリスト、藤沼伸一が監督を務めた映画『GOLDFISH』でスクリーン・デビューを飾るなど、何かと話題に事欠かない4ピース・バンド、WENDYが4月28日、制限なしの大型連休に浮かれる新宿・歌舞伎町にあるライブハウス、新宿LOFTで開催した「Showcase Live 2023」。全11曲を披露した1時間のライブを通して、WENDYの4人は怖いもの知らずの若者らしい向こう意気と時折覗かせる初々しさ、そしてそんなイメージとは裏腹に思いの外、成熟したソングライティングの魅力を見せつけていった。
「Showcase Live」ということで、スタンディングのフロアには業界関係者も少なくなかったが、幅広い年齢層の観客も爆音の演奏を繰り広げる4人を大歓迎。
「新宿! 暴れる準備はできてますか!? 4カウントで思いっきり飛び跳ねてください。One! Two! Everybody fuckin’ jump!!」Skyeが叫んだ言葉に応え、観客が一斉にジャンプ。1曲目からフロアにはゴキゲンなバイブが渦巻いている。
WENDYの結成は20年10月。メンバーがまだ16歳~18歳の時だった。世田谷区の青少年交流センターで出会った4人がバンドを始めたことがスタートだったという。さらに遡れば、SkyeとSena、PaulとJohnnyはそれぞれに敵対していたグループのメンバーとしてそもそも出会いながら、音楽の趣味が似通っているところから意気投合。すでに曲を作っていたSkyeと、そのSkyeとバンドを組むため、ドラムを始めたSenaの活動にPaulとJohnnyが加わる形でバンドはスタートした。いくつかある候補の中から最終的に落ち着いたWENDYというバンド名は『ピーターパン』から拝借したという。
実は4人が出会ってから、真剣にバンド活動に取り組むまでには後述するように紆余曲折があったそうだが、ともあれ、21年4月にライブ・デビューを飾ったWENDYは22年5月に1stシングル「Rock n Roll is Back」を全世界同時配信して、本格的なキャリアの第一歩を踏み出した。
そして、「Showcase Live 2023」と銘打ったこの日、彼らは、この夏、ワンマン・ライブの開催やアルバムのリリースなど、バンドが飛躍するためのステップと言える今後の活動予定を発表しながら、アルバムに収録される新曲も披露していく。
新曲がセットリストに加わったことによって、WENDYの曲が持つ振り幅はさらに広がった。それを観客にアピールしたことが、この日の一番の聴きどころだったかもしれない。
「Showcase Liveって何だろう? ワンマンとどう違うのって思ってるかもしれないけど、俺達の演奏はいつもと変わりません。ただ、みなさんが初めて耳にする曲が多いってだけです。夏ぐらいにアルバムをリリースします! そこに入る曲を、実は今日やっているんです。みなさん、一足先にアルバムを聴けているんです! リリースを楽しみにしててください!」(Skye)
「Devil’s Kiss」や観客も一緒に歌った「Rock n Roll is Back」、そしてローリング・ストーンズ風のルースな魅力も感じられた「Pull me in」では、これまで指摘されることが多かった70年代~80年代の洋楽ハード・ロックへの憧れをストレートに打ち出していたが、たとえば、「SCREAM」はそのサウンドを踏襲しながら、言葉をたたみかけるSkyeのボーカルは高速ラップも連想させたし、4枚目のデジタル・シングルとして2日前にリリースしたばかりのSkye曰く「最高のパーティー・ソング」の「Pretty in pink」はエルヴィス・プレスリーの時代のロックンロールも彷彿とさせた。
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