2023.04.16 17:00
2023.04.16 17:00
一番やりたいことができると思った
──映像と電子音ってなると、マッシヴ・アタックも好きなんですか?
OCHAN 俺は好きです。ちょっとダークなの好きですね。
──ちょっとその匂いありますもんね。耽美の要素もあるけど、トリップ・ホップって呼ばれていた人特有のずっと曇ってる感じ。でも実はメロだけ抜いてみるとポップだったり。これは3人の共通認識ですか? それともOCHANのルーツですか?
OCHAN 俺のルーツでもあるんですけど、一緒に過ごしてる時間が長いから似通っていくじゃないですか。自分たちのツボが見つかるまで、言葉で言わずともそこに向かって曲を作ってるみたいな、そのツボが同じなのはあるかもしれないですね。
──それはお互いに音楽聴かせあったりを昔してたってことですか?
OCHAN ありました。今もありますし、出会った時からフィーリングが合ったんですよ。
Anabebe レッチリとか。
OCHAN レッチリとかマーズ・ヴォルタが好きなんですけど、そういうやつが当時の仲間にいなかったのと、バキバキ叩いてるドラマーが珍しくて。そこでビビッときて今までやっています。
──なるほど。マーズ・ヴォルタって世代的にどっちでした? まだドラムがジョン・セオドアだった頃ですか?
Anabebe セオドア(2002年〜2006年)とトーマス・プリジェン(2007年〜2009年)がもうド世代ですね。
──やっぱり! ドラマー的にはどっちに影響を受けたタイプですか?
Anabebe 僕はセオドアですね。
──そっちぽいなと思ってました。
Anabebe マジっすか! 1枚目のアルバムめちゃくちゃ好きで。
OCHAN あれやばいよね。
──マーズ・ヴォルタが好きっていうので一気に仲良くなったと。
OCHAN 「マーズ・ヴォルタみたいなの叩いてみてよ」って言ったら、やるんですよ。やば、と思って。こりゃ一番やりたいことできるなと思ったのはめっちゃ覚えてます。
──余談なんですけど、[Alexandros]の「Waitress, Waitress!」って曲もマーズ・ヴォルタからちょっと拝借してて。バトルスみたいなってニュアンスで、僕がマーズ・ヴォルタを乗せて返したっていう。
OCHAN いいですね。バトルスも好きや。
──音のムッチリ感が凄かったドラマーとしてはセオドアもジョン・ステニアーも一緒な気がしますよね。僕は「リズム&ドラム・マガジン」で、セオドアと対談させてもらったことがあって。
Anabebe マジっすか……!
OCHAN それ、Anabebeが一番羨ましがりますね。
──外国人ドラマー特有のスパーン!って音、あれどうなってるんだろうって思うじゃないですか? いざ会ったらセオドアもうデカすぎて。「海沿いに住んでて普段はサーフィンしてるよハハハ」みたいな感じで。もう憧れるのはやめようって(笑)。曲作りの話に戻るんですけど、OCHANがほぼ完成形まで持っていくんですか?
OCHAN 最近はそうですね。
──Anabebeさんはそれを生ドラム的に解釈する役目ってことですかね。
Anabebe そうですね。スタジオで、これぶっ壊してくれって。
OCHAN そこでセオドア投入って感じのイメージです。
──つけてくれじゃなくて、ぶっ壊してくれから始まるところがいいですね。それは一人で完結させることのつまらなさからなんですか?
OCHAN そうですね、一人でやるならこういう音楽やってないかもしれないっていうのもあって。元々生ドラムで入れることを考えて作ってるんで、自分でやるよりAnabebeにぐちゃぐちゃやってもらったほうが面白い。
──「祭囃子鳴っているわ」と「恍惚と不安 feat. Botani」のドラムがどえらいことになっていると思ったんです。2人の中で「これは一番壊されたけど最高だったな」って曲は何ですか?
OCHAN Anabebeとじゃないとできないなと一番思ったのは「LINDA LINDA」って曲で。あれは一人じゃ作れないですね。どうやって作ったのか覚えてないんですよ。
Anabebe そうやな。スタジオ入ってひたすらやってた。
OCHAN 何も決めてなかったんですよ。ふだんはある程度イメージがあって作っていくんですけど、「LINDA LINDA」は本当にノーアイデアで、ただ部屋で2人で大声を出し合うような。その大声が混じったところを探す作業で。
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