2023.04.10 17:00
2023.04.10 17:00
高校を中退後大阪で挫折を経験し、芸人への最後の望みを掛けて上京した加賀翔と、東京学芸大学に進学後、放送作家の夢を見つけた賀屋壮也。今となっては生粋のコント師として知られるかが屋の2人だが、出会った当初は笑いへの向き合い方が全く違っていた。
彼らがコンビとなってからの歩みをやついいちろうが紐解いていく『芸人結成物語』かが屋後編。加賀からは休養にまつわる驚きのエピソードも飛び出し、やがて話題は互いのネタ作り論にまで発展していった。(前編はこちら)
やつい 組んでやってみようってなって、最初はお互いのコントをやったの?
加賀 一度も賀屋のコントはやってないかもしれないです。初めてご飯行く時に「イタリアン行く?」って言われて(笑)。「いい店紹介するよ」みたいな感じで行ったのが地下のイタリアン。「どこにいますか?」って連絡しようとしたら電波つながらなくて。店に入ったら奥の方に座ってて。
やつい いいね、東京だね(笑)。
加賀 座ったら、バサって。コントの台本が3つ。まだ何にも頼んでないときに。
やつい ドラマチック。
賀屋 ドラマチックにしたかったんです。
やつい 書いてきちゃったよ、なんて言って?
賀屋 ちょっと見てくれよ、みたいな。
加賀 そんな熱いやつに初めて会ったんですよ。すご!と思って読んだら、3つともオチで人が死ぬネタだったんです。こわ!と思って。電波悪いイタリアン連れてかれて、人死ぬネタばっか書いてる。この人とは無いかもって(笑)。それこそ第一印象が、耳元で囁かれてこの人変態かもって思ってたんで。
やつい 恋愛みたいだね。分かり合っていくみたいな(笑)。
賀屋 カッコいいと思われたい、って気持ちがすごくあって。イタリアンも全然行ったことなくて、初めて行くところで。
やつい 初デートっぽい感じだ。
加賀 僕はサプライズをずっとされてるっていう。でも全部失敗してて(笑)。
賀屋 自分の人生を映画みたいにしたかったんです。ここから始まるんだぞって。
やつい 読んで面白かった?
加賀 そんなに(笑)。初めて書いてるし。内容は良かったんですよ。ボケが云々じゃなくて、人が死ぬとかそういうことを僕はあんまりやりたくなかったんです。
やつい ありがちだけどね。とりあえず死んじゃえば終わるぞっていう。
賀屋 ちょうどそこに影響を受けてた時で。
加賀 僕は逆の発想で。自分に才能がないと思ってたので、人とかぶる方向には行かないほうがいいと思ってて。「これのすごいの見たことあるぞ」って思っちゃったんですよ。それで僕が書いた本を別で渡したら「なんかできそうじゃない?」となって。
やつい そうやって付き合っていくんだね。俺らは大学の先輩後輩だからさ、そういう悩みはなかったよ。組むまでが冷静だよね。1回やってみようとか普通はならないじゃん?
賀屋 芸人やるって思ってなかったんですよね。ドライなところから始まって。
やつい 作家志望だしね。
賀屋 ええ、ステップを見ていたので(笑)。
加賀 僕の頭を踏んづけて行こうっていう気持ちですよね(笑)。僕も友達できたらいいかくらいの感じではあって、それで1回やってみたらマジですべったんです。
やつい どこでやったの?
加賀 なかの芸能小劇場です。フリーライブで3,000円払ったら誰でも出れるみたいな。
賀屋 大学の友達とか呼んでて、めっちゃ恥ずかしくて。
やつい 俺らもなかの小劇場で最初やってた。ラーメンズとかみんなで、学生の頃。できたばっかりでめっちゃ新しくて。
賀屋 えー!
加賀 そんな時代があったんですね。僕らは初めて劇場に立ったんで、バカでかく見えました。
賀屋 小道具にも2万円ぐらいかけて、友達呼んだのにすべって恥ずかしい思いして。このままでは終われんと。
やつい あきらめなかったんだね。それでマセキ芸能社に行ったの?
加賀 そのまま2人でやり続けてた時に、ライブを主催してた事務所の人に声かけられたんです。それで「声かけられたけど、どうする?本当にやる?」みたいな話して、だんだんマジになって。じゃあ、やるなら行きたい事務所行きたいよねって話したです。
やつい やっと芸人やろうかってことになったんだね。
加賀 僕はNSCでの失敗が鮮烈に焼き付いてるので、オーディションで入れるところ行こうって思って。それでマセキに応募して。
賀屋 マセキのオーディションって、ライブを見に行って、チケットの半券がオーディションを受けれる券になるんです。
やつい へぇー、なるほどね。
賀屋 だから一回ライブ見に行くんですけど。三四郎さんとかモグライダーさんとかジグザグジギーさんとか出てて、めちゃくちゃおもしろくて。これはマセキいいぞと思って。
やつい ツィンテルも……?
賀屋 はい、そうです! めっちゃお世話になってます。
やつい ツィンテル系だもんね? どちらかというと。
加賀 ツィンテルさんの単独ライブ手伝いで参加してました(笑)。
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