2023.03.02 18:00
2023.03.02 18:00
デビューから10年近く。HKT48からの卒業を決断、卒業コンサートまで残り1ヵ月となった矢吹奈子は今、何を思うのだろう。最後の参加作品となったグループの16thシングル『君はもっとできる』は、彼女の門出を象徴する作品に。MVでは、朝焼けをバックに晴れやかな笑顔を浮かべ、1人で舞い踊る彼女の姿も印象に残る。
AKB48との兼任、IZ*ONEでの世界進出と、HKT48を母体にしながらもアイドルとして「激動の時間」を過ごしてきた矢吹。これまでの活動をたどり、今後への想いを語る彼女の表情は未来への期待に満ちていた。
卒業は新たなスタート
──これまで「ウインクは3回」や「突然 Do love me!」、「ビーサンはなぜなくなるのか?」などでもセンターを経験してきましたが、卒業シングルとなる今作のセンターは、思い入れも異なりますか?
あまり違いはなくて、「最後だから」とあまり考えないようにしています。でも、表題曲「君はもっとできる」はエールを込めた楽曲になっていて、センターとして、タイトルで表現される言葉の意味をメンバーにも背中で見せていきたいです。
──今回の表題曲について、成長を見守ってきたプロデューサー・秋元康さんからは、何かメッセージをいただきましたか?
歌詞を受け取る前に「前向きな奈子への応援歌にしました。頑張れ」とメッセージをいただいて、うれしかったです。そのときはまだどんな曲になるか知らなかったんですけど、「自分への応援メッセージが込められた曲」だと分かり、背中を押されました。卒業はゴールでもあり、新たなスタートでもあるので、前向きに卒業できそうです。
──秋元さんのエールは、歌詞からも感じ取れます。
今回の歌詞はストレートなんです。フレーズでは特に、サビの「自分のこと ちゃんとちゃんと そう信じてごらんよ」が好きですね。私のどこか自信のない部分を秋元先生は見てくださっていたのかと思ったし、たぶん「自信を持ちなさい」とメッセージを込めてくださったのかなって。初めて聴いたときに「これからもっと頑張ろう」と思えました。
──楽曲を聴くファンのみなさんも、励まされそうです。
リリースが2月ですし、受験や就活、新生活を考える時期だと思うので、色々な世代の方に勇気を与えられればと思います。
──表題曲のMVも、矢吹さんの卒業を象徴しています。建物の屋上で1人、笑顔で舞うシーンは印象的でしたが、撮影はいかがでしたか?
朝焼けをバックに撮影したシーンですね。早朝だったので、撮影直前まで寝ていて…(笑)。冬真っただ中だったので、本番ギリギリまでコートを着て、寒さに耐えながら撮影しました。
──晴れやかな笑顔の裏で、そんな苦労があったとは(笑)。共に活動してきた同期・田中美久さんとの名コンビ「なこみく」で、ベッドでじゃれ合うシーンもグッと来ました。
自分たちの声が使われないし「こうしてください」という指示もないシーンだったので、ただただ2人でじゃれ合っていました(笑)。「どっちが彼氏役で」とか「今回のシングル、何枚目だっけ?」とか、なこみくのプライベートみたいな感じで会話しながら撮影して。クランクアップがこのシーンだったんですけど、出番の終わったメンバーも現場に残っていて「すごくエモかった」と言ってくれました。
──矢吹さんにとって、田中さんはどんな存在でしょう?
みくりん(田中の愛称)とは小さい頃から比較されてきたし、おたがいにライバル意識があったと思います。口に出していたわけではないけど、たぶん、そう感じていたのかなって。私は、みくりんがいるから「ここをもっと向上させよう」と思い続けられたし、自分にないものを持っているので刺激をもらっていました。
──デビュー当時は小学生同士でしたが、大人になった今、たがいの関係性も変わったのかなと。
変わりましたね。最近、真剣な話もするようになったんです。私の印象だと、IZ*ONEの活動(2018年8月〜2021年4月)が終了して、韓国から帰ってきたときにみくりんが「大人になった」と思いました。さくちゃん(元メンバーで現・LE SSERAFIMの宮脇咲良)や私が日本から旅立ち、グループを支えてくれた指原(莉乃)さんの卒業(2019年4月)があったとき、みくりんは「グループを引っ張らなければ」とプレッシャーを抱えていたと思うんです。でも、その裏で成長していたのは間違いないですし、今は、おたがい目指すべき場所に向かって頑張っています。
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