2023年第一弾曲「Enchant」で打ち出す“攻め続ける”モード
THE ORAL CIGARETTESの新たな武器、縛られないことで手に入れた強さ
2023.02.14 18:00
2023.02.14 18:00
ライブでの可能性に自信を持てた
──シゲくんはそういう新しいサウンドに対してどうアプローチした?
鈴木 とりあえずデータを送ってもらって、もともと入れてもらっていたギターも聴きつつ考えたんですけど、とりあえず8分のダウンが多ければ、16分も多くて、とりあえず手首が疲れそうやなと思いました(笑)。でもそういうギターも楽曲の疾走感に繋がっているのかなと思って。そこは意識しながらやってましたね。まったく新しいものを付け足すというよりは、よりよくなるようにしようと思っていました。
──この曲、ギターがすごく鳴っているんですよね。メロの裏とかで鳴っているリフとかめちゃくちゃかっこいいんだけど、決して主役顔しないというのが新鮮でした。
鈴木 イントロとかも有記くんが弾いてくれたものをそのまま使わせてもらってるんですけど、それがほんまに勉強になるんですよね。同じフレーズで3音あって、1つはファズでめちゃくちゃ歪ませてあって、もう1個はオクターバーで上がっててっていう、たぶん3つの音の混じりで主張しすぎず、でも存在感があるっていう音になっていて。こういう音の作り方があるんだっていうのは学ばせてもらいました。
──まさやんはこの曲、どう感じました?
中西 最初聴いたときは「これでいくんやな、かっこいいな」と思いました。その前に「MACHINEGUN」と「Red Criminal」で結構バンドサウンドを振りかざしてやってきた流れから「ENEMY」「BUG」っていうところでデジタルサウンドを使った楽曲をやってきて、そこからさらにもう一発これをかますっていうのも今となればわかるというか。何よりサウンドがとにかくかっこよかったし、それが3分弱に収まっている気持ちよさというのもすごくあったし。だから、拓也に「どうする?」って聞かれたときも、すでにイメージは固まっているんだろうなという感じがしたので、僕はレコーディングでは叩かないことにして。
──ああ、じゃあこの曲のドラムは打ち込みオンリーなんだ。それはまさやんとしては全然問題ない?
中西 僕はそこに対してのこだわりってある意味フラットなんですよ。より作品を重視したい。このサウンド込みで拓也がイメージを膨らましていってるのであればそこを崩す必要はないし、もう一度アコースティックで組み替えてそこに近づける作業っていうのは何かスマートじゃないなみたいな感じがあるんで。だからこの曲を次に出そうってなったときには、気持ち的にはもう「この曲をどうライブでやっていこう」っていうところにシフトしていましたね。
──まさに「ライブでどうしよう」っていうのはここ最近のオーラルにおいては大きな問題としてあると思うんですけど、そこはスムースにアプローチできてる?
中西 一番最初は「ENEMY」でその「どうしよう」っていうのを音響チームとリハで試したり、新しい機材を導入してやってみたりして。そこで「ENEMY」に対応できたことで、これができるならいろいろなことができそうだって思えたんです。それで「BUG」をやって……それでも自分の中でどれくらい理想的なライブをできているのかわかってなかったんですけど、「PARASITE DEJAVU 2022」が終わって映像や音を確認してみたら自分が思っていたよりめちゃめちゃ上を行っていたんですよ。そこでライブでの可能性に対して自信を持てたので、今回の「Enchant」はわりと筋道ができてきた中でどうフィジカルな部分を組み合わせていこうかなっていうのを日々やっている感じですね。それはそれで楽しいし、勉強っていう感じです。
──うん。だから「MACHINEGUN」や「Red Criminal」でバンドサウンドをストレートにやったことも、「ENEMY」や「BUG」でやったことも、全部この「Enchant」には活かされている感じがするんですよね。いろいろな人がいろいろな音を鳴らしている感じもするけど、その真ん中にはちゃんと4人のバンドがいるっていう。そういう意味ではまたひとつ風景が変わった感じがします。歌詞はどんな思いで書きましたか?
山中 歌詞は結構ダイレクトに、今思っていることを書いている感じです。言葉遊びみたいなところではめていっている部分もめっちゃあるけど、サビは、自分が気持ち悪いって思っている部分だったり、でもそこに対して信じたい気持ちだったり、そういうのをダイレクトに書いていったっていう。それは「BUG」でもそうだったけど、言葉遊びをしながらうまいこと合わせていくっていう。フロアにどれだけきれいにはまるかみたいなところを一番に置きながら。
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