2023年第一弾曲「Enchant」で打ち出す“攻め続ける”モード
THE ORAL CIGARETTESの新たな武器、縛られないことで手に入れた強さ
2023.02.14 18:00
2023.02.14 18:00
ラッパーのKamuiをフィーチャーした「ENEMY feat. Kamui」とそれを先行配信曲としたフィーチャリングEP『Bulletes Into The Pipe』、山中拓也を中心としたギルド的コミュニティ「JOGO」とのタッグで制作された「BUG」、そしてさいたまスーパーアリーナで開催された主催イベント「PARASITE DEJAVU 2022」……ホールツアーや各地のフェスへの参戦も含めて、THE ORAL CIGARETTESの2022年はかなりアグレッシヴで挑戦的だった。
いや、外側から見ると挑戦的に「見えた」ということにすぎないかもしれない。いずれにしても彼らはそれまでの自分たちに絡みついていた枷を解除し、自分たちのアイディアやコミュニティに対してよりオープンに音楽を生み出し始めた。トラックメイキングを中心に据えて新たなグルーヴを生み出し、ライブではそれを4人の熱量でぶちかまして最高の空気を生み出す。すごくシンプルに言って、今のオーラルはとても自由で、だからこそタフだ。
2023年の第一弾となる新曲「Enchant」も、その流れの中でオーラルの行く末を照らす力強い楽曲だ。JOGOのメンバーでもある辻村有紀と山中拓也のコライトによって生み出された楽曲にはデジタルサウンドの高揚感とバンドサウンドの熱感が最高のバランスで同居している。疾走するビートに乗せて山中が歌う歌詞は早くも彼が「次」の世界に向けてスタートを切っていることを物語る。つまり、怒涛の2022年を経て、オーラルはさらに加速していくということだ。2月からスタートする2MAN VS TOUR「MORAL PANIC」から始まっていく彼らの2023年、置いていかれないようにガッチリフォローしておいてほしい。
──去年の「PARASITE DEJAVU 2022」を2日間見せてもらったんですが、1日目のワンマンでバンドが放ったメッセージ、2日目のオムニバス・ショウで集ったバンドやアーティストとの絆、今のオーラルのパワーを見せつけられた感じがしました。手応えはどうでしたか。
山中拓也(以下、山中) 手応えもだけど、それよりも喜びの方がでかかったですね。好きなことをやって、これだけ人が来てくれるんやっていうことを実感できたのが嬉しかった。あとはめっちゃ気が楽になりました。なんか肩の荷が下りた感じ。1回目の「PARASITE DEJAVU」の方は背負うっていう感じの方がでかかったんですけど、今回は放出するっていうか、溜まっていた悪いものを全部出すっていう感覚だったので。少しすっきりした感じがあったかな。
──「溜まっていた悪いもの」って?
山中 ライブでも言いましたけど、モヤモヤしているところに全部区切りつけようみたいなことがテーマだったので。「こうあるべき」とか「こうならなければいけない」とかを全部排除するためのライブみたいな感じだったので、もうここからは好きなこと、楽しいことだけをやっていこうっていうマインドに変わりましたね。すごく解放された気分です。
──2022年はその「パラデジャ」を軸に、ゲストを迎えてのフィーチャリングEPに始まり、「BUG」があり。これまでのオーラルの先に行くっていう、すごく挑戦的な1年だったと思うんですけど。4人それぞれどんな気持ちで過ごしてきたんでしょうか。
あきらかにあきら(以下、あきら) コロナでライブができなくなって、そこからちょっとずつ戻ってきて。そこで「やっぱりこれが好きやし、これをやってていいんや」っていうのを再確認できた1年だったと思います。今までは「ライブするからにはめっちゃ頑張らないと」みたいなことをちょっと思っていたんですけど、ライブってめっちゃ楽しいもんやし、本来自分の喜びがあって、お客さんが喜んでくれて、っていうもんやのに、勝手に「こうしないといけない」とか「こうでなくちゃいけない」とか、自分自身を制御してしまっていた部分があった気がするんです。でもコロナがあってそれがなくなった。それは1本1本ライブをしていく中でちょっとずつ変わっていったんですけど、ライブをする喜びを再確認して、それをお客さんと共有して、「うん、これやっぱり楽しいよな」って強く思えたんです。そういう意味でも自分のやってることを肯定することができて。その延長線上でフィーチャリングだったり、今までやったことがないことも拓也発信でどんどんやれるようなチームになっていったと思うので、これでいいんだ、やっぱこれ楽しいよねって、「楽しい」を優先したり「おもろそうやな」っていうものにチャレンジできる環境になったっていうのがすごく大きいですね。
鈴木重伸(以下、鈴木) そのフィーチャリングもですけど、音楽を通していろんな人と関わる機会が去年は多かったので、それが純粋に楽しかった。ホールツアーも東京公演はホーン隊やコーラス隊が入ってくれて、そうなるとやっぱりギアのかかり方が違うというか、生演奏で一緒にやるとこういう感覚あるんやっていう楽しみもありましたし。フィーチャリングで一緒にやったアーティストにその後のフェスのステージにも出てもらったりもしましたし、そういうふうに自分のライブの中でいろいろな人と関わりを持てるようになって、より輪が広がっていってるな、拓也を中心とした輪がすごい広がっていくのがしっかり目に見えた1年だった気がします。
中西雅哉(以下、中西) でも、振り返ったらめちゃくちゃ目まぐるしい1年だったなとは思いますね。すごく達成感もあるし、充実した1年にできたなって思います。でもそんな中でたくさんの仲間と──もともと拓也の周りにはたくさん仲間がいたけど、それが作品として形になっていくと、より実感が湧くというか、改めて本当に仲間になったっていう感覚があって。そうやって仲間がどんどん増えていく1年を見ることができたっていうのが、僕にとってはすごく強くさせてもらった感じがするというか。今まではオーラルとしてどう戦っていくかっていうところだったけど、やっぱり仲間が増えていくとそれなりに戦い方も変わっていくし、モチベーションもある意味広くなるから。仲間に頼れる部分もあるというのもすごく感じました。
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