2023.01.27 19:00
全部自分から生まれた感情で作ってもらった
──「0のひと匙」の歌詞は高校生のお話ですが、学生生活はどうだったんですか?
いろいろあるなあ……。中学生の時に声優になりたいと思い始めて、高校生の時に放送部に入って、オーディションを探したり。高校生のうちにデビューしている人を見ると悔しかったですね。かっこよくて憧れてしょうがなかったです。高校2年生の時に今の事務所のオーディションを受けたんですけど一度書類で落ちてしまって、すごく泣いて。受かった人たちがどんなお芝居をするのか、最終選考の会場に見に行ったりもして。翌年、反省を生かしてオーディションを受け直して、なんとか賞をいただくことができたんです。当時の自分にもプレゼントしてあげたい楽曲になったと思います。
──憧れの業界に入ったら、今度はチート級の能力の保有者ばかりみたいな……?
はい、みんな特殊能力ばっかり(笑)。才能もそうだし、もともと持っている声質をどう活かすかという業界なので、いくら願ってもできないことがあるというか。でも自分が才能ないなんて思ってしまったら、才能がないなりの頑張り方を一生するって決意をする瞬間じゃないですか。その決断をする瞬間って一番怖くない?って思っちゃったんです。そんな流れで生まれた感情ですね。
──このインタビュー、そのままライナーノーツに載せた方がいいんじゃないでしょうか(笑)。この一曲に対してこの熱量で、どうやってリード曲を決めていくんですか?
6曲とも全部好きなメロディーと自分から生まれた感情で作ってもらったので、選ぶのが難しいんですが、M1の「共感されなくてもいいじゃない」はアニメのオープニングにしていただいたのもあって。でも胸張って好きな曲をいっぱい入れられたと思います。
──今作のEPのタイトルを拝見させていただいたあとに「共感されなくてもいいじゃない」のMVを見たんですが、そういうことだったんですね。
そうなんです、青なんです。「共感されなくてもいいじゃない」が一番最初に完成して、アニメの主人公アイリーンが青いワンピースを着ていたというところから、「彼女の生き様って青色だよな」ってイメージが固まって。曲自体がアイリーンの生き方に力をもらった高橋の歌なので、「青い生き方」を主軸に曲を作っていきたいなって思ったんです。
──EPの設計図自体も高橋さんが旗を振って組み立てたという感じですか?
そうですね。紆余曲折はあったんですが、「青」っていうところと「生き方」っていうところは私の方からこれで行きたいということで固まりました。
──前回のインタビューの時には曲ができていた状態だったってこと……?
たぶん感情を吐き出している最中だったと思います。お手紙を沢山書かせていただいて、私から生まれた感情を曲に変換してもらうという手法を取っていただいたので。
──手紙を書く、というのは1st EPの時からやってる制作における手法なのでしょうか?
今回から思いついてやらせていただくことになったんです。今までは私も未経験で、自力での言語化が難しかったので、スタッフさんを介して伝えていただいていました。ただ、これがもし自分でこの感情を言語化できて、その想いを直接作家さんたちにお話できたら、より鮮明に自分らしい感情の流れを伝えられるんじゃないかと思い、挑戦させてもらいました。
──なるほど。大きく変わったんじゃないですか?
めちゃめちゃ変わりましたし、ダイレクトに作家さんたちと熱量を共有できるって感じたんですよね。特に間に入ってくださるディレクターさんが、現場の熱量を届けてくれて。愛をもってやる気を持ってくださっているのを間近で感じられて、一緒に曲作るの楽しい!みたいな。直接お会いしていないにもかかわらず、手紙を書いたことで扉が開いた感じがしました。
──音楽的に言うと完全なセルフプロデュース作になりますね。アニメや映画の言葉を借りれば、もう監督・主演ってことですよね。
ほんとですね。きちんと専門の音響監督さんは居てくださって、サポートもいっぱいしてもらって、いい音作りをしてもらって。
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