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INTERVIEW

『はだかのゆめ』監督&主演俳優にインタビュー

甫木元空と青木柚が語る映画との距離──目に見えない、言葉にできない感情を表すには

2022.12.05 12:00

2022.12.05 12:00

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11月25日より渋谷シネクイントを皮切りに、全国順次公開された映画『はだかのゆめ』。ポニーキャニオン内IRORI Recordsより時を同じくしてメジャーデビューしたBialystocksのボーカル&ギター甫木元空が監督を務める本作で描かれるのは、祖父、母、子の3代がそれぞれ対峙する“喪失”の物語。甫木元が5年もの月日をかけて書き綴った手記を基に構築されたストーリーで、近づく母の死を受け入れられず徘徊する主人公・ノロを青木柚が演じている。NHK『きれいのくに』『カムカムエヴリバディ』やAmazon Original『モアザンワーズ』など、話題作への出演が続いている注目の若手俳優である青木と、先鋭的なサウンドで高い評価を集める音楽家でもある甫木元。本作で初めて交わった2人に撮影の感想を尋ねると、舞台となった高知県の雄大な自然と人、そして“映画にしたこと”による「心境の変化」も聞くことができた。

青木柚、甫木元空

高知に行った意味は演じる上でとても大きかった(青木)

──完成おめでとうございます。本作の中で、大パノラマも然り、撮られていた自然音の没入感に圧倒されてしまいました。監督がお住まいの高知県の音をそのままお使いになったのでしょうか。

甫木元監督(以下、甫木元) そうですね、今回菊池信之さんが音響をしていて、彼が今まで採集したいろいろな地方の音もかなり散りばめられています。前作の舞台である僕の地元の埼玉で撮った母親が聞いていた音など、高知以外の音も含まれています。

──そうなのですね。Bialystocksとして音楽も映画も作っている監督は、高知県での日常風景を見た時に、音楽家と映画監督としてのマインドの振り分けはどのように行っているのでしょうか。

甫木元 高知に移住してすぐ、祖父の話を聞いて書き留めるということをやっていたのですが、話を聞く中で、3行とかで語れるものだったら文章で表現する方がいいなと思ったり。言葉にできない感情などは映画だったらいいかなとか。音楽だったら、普段口にできないことも、歌詞の中に入れて歌にできるかなとか。そういう分け方をしています。

映画『はだかのゆめ』本予告

──なるほど。高知県の大パノラマの風景は、主演の青木さんは馴染みのある風景でしたか?

青木柚(以下、青木) 僕は神奈川県の出身で、都会すぎず自然が多すぎない場所に住んでいまして。祖父母も近くに住んでいたので、自然に触れるというのは撮影の機会しかなく、今回高知に行ったことの意味はこの役を演じる上でとても大きかったです。土地の空気に委ねるような。自然の力がなければ、より曖昧なまま時間が過ぎていってしまったんだろうなと思います。

──登場人物たちが息をするような演技をされていたと思います。どういった捉え方でノロと自分を近づけていったのでしょうか。

青木 最初に脚本を読ませていただいた段階から、何回読んでもノロの人物像が掴めないことが続いていて、高知県に行く前の打ち合わせでは、いろいろ監督からヒントをいただこうとディスカッションをしました。高知に着いてからは実際に住まれているお宅や監督を昔から知っている人に印象を聞いたりして、一個一個もらいながら、言葉にできないことを映画にしたいという気持ちでした。ディスカッションで得られない感覚的なことを場所の空気や匂いを感じながら「そこにいる」ことがノロを演じる上で大事なことなんだなと思いました。母への想いというひとつ通っている芯はあるけれど、ふらふらとしているノロの印象が強いので、監督にも委ねながら撮影中は深く考えないようにしてましたね。

青木柚

──監督としては「(高知に)来てみればわかるから」という気持ちだったのでしょうか。

甫木元 役者の人たちは全員不安だったと思います。自分ひとりの世界で描いた事として終わらせたくなかったのですが、みんなそれぞれの独自の解釈みたいな、いろいろな視点が介入することをどこまで許容するかなど自分も現場に入るまで迷っていた部分がありました。

皆さんのとりあえずその場に立ってやってみるという姿勢を見ながら、天候もコロコロ変わる中でその場で最良のことを脚本も一度忘れて考えてみるようにしました。自然の中で、自分のエゴが通用しないということを改めて感じましたね。

甫木元空(監督/Bialystocks)

──山間ですから天候も変わりますよね。天候の話になった時、青木さんが苦い顔で深く頷かれましたけど……(笑)。

青木 雨が降ったりして。電車も印象的でした。電車が来たら走っていくシーンがあって、なかなかタイミングが掴めなくて。何回も走りました(笑)。

甫木元 乗って時間を測ったのですが、運転している人の匙加減でかなり変わりました。店が早く閉まったり、限られた中で何ができるかを考えたりもして。

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唯一の“役者ではない”キャスト、甫木元の祖父について

作品情報

はだかのゆめ

 ©PONY CANYON

©PONY CANYON

はだかのゆめ

全国順次公開中

2022年/日本/カラー/DCP/アメリカンビスタ/5.1ch/59分  
配給:boid/VOICE OF GHOST

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

監督・脚本・編集:甫木元空
出演:青木柚、唯野未歩子、前野健太、甫木元尊英
プロデューサー:仙頭武則、飯塚香織
撮影:米倉伸  照明:平谷里紗
現場録音:川上拓也  音響:菊池信之  助監督:滝野弘仁
音楽:Bialystocks
製作:ポニーキャニオン

2019年、ボーカル甫木元空(ホキモト ソラ)監督作品、青山真治プロデュースの映画『はるねこ』生演奏上映をきっかけに結成。
Vo甫木元空のソウルフルで伸びやかな歌声で歌われるフォーキーで温かみのあるメロディーと、Key菊池剛(キクチ ゴウ)によるジャズをベースに持ちながら自由にジャンルを横断する楽器陣の組み合わせは、普遍的であると同時に先鋭的と評される。
2021年1st Album『ビアリストックス』発表。収録曲「I Don't Have a 1Pen」はNTTドコモが展開する「Quadratic Playground」のWEB CMソングに選出されている。
2022年4月には初の書き下ろしドラマ主題歌として「差し色」がテレビ東京ドラマ25『先生のおとりよせ』EDテーマに起用。10月には初のワンマンライブ『第一回単独公演 於:大手町三井ホール』を開催、即日ソールドアウトを達成。
11月30日メジャー1stアルバム『Quicksand』をPONYCANYON / IRORI Recordsよりリリース。

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