イナズマロック フェス 2022 特集 第1回
西川貴教ロングインタビュー【前編】──イナズマの進化がもたらした変化、滋賀に築き上げたもの
2022.09.10 18:00
2022.09.10 18:00
これからを担う人のために
──正直申し上げますと、ここで西川さんがやめたら滋賀県にこれを超える大きなイベントはたぶん二度と出てこないような知名度のイベントになってしまいましたし、風物詩であり代名詞でもあるフェスなので。
だからこそ課題もまだあるように思う。もっと言うと我々がやってきたことを自分のところだけで抱え込むんではなく、こういったノウハウをお困りの地域の方に提供したりとか、そういった形でつながりを持てたりできないかな、と思っているくらいで。今後50年くらいで、下手すると人が全然住んでない県が生まれてきちゃう。都市に人が集中して、県の住民全体で1万人みたいな事態になったりすると、もう本当に催し物とかできなくなるし、みんな実感がないからなかなか考えられてないけど、やっぱり少子高齢化にも向き合わなきゃいけない。それでこれからを担う人が生活しやすかったり、過ごしやすかったりする環境を今のうちから整えていくきっかけになればいいと思っていて。
電車乗って、忘年会で酔いつぶれちゃって、流されて滋賀まで来ちゃいましたみたいな人はいたけど、それこそミルクボーイのネタで「来るときの気持ちと帰るときの気持ちが一緒」って言われてるみたいに(笑)、それぐらいなかなか目的を持ってきてもらえるような場所じゃなかった。でもイナズマで滋賀県に初めて来て、すごく良くて引っ越したって人もいて。イナズマがきっかけで、そういうふうに意思と目的を持ってきてくださる方が増えるのは、すごく大きなことだと思うので。
──都市部で生まれ育った人って何もないような場所がたくさんあることを知らない。分断されかかってしまっているような気がします。ネットで見ているものだけがつながっていくだけというか……。
そこはコロナ禍で、仕事の仕方や働き方が変わってきて。都会にいなくたって仕事ができる、週に1回出勤すればいい。交通機関は発達してるから、それなら滋賀県に移り住んでリモートで働く、という人もいらっしゃると聞いてて。このイベントがどうとかじゃなく、地域の良さを少しでもご紹介したいと思ってます。でもそう言うと、本当にそういうところまで考えることになろうとは、始めた2009年の頃は思ってもなかったですね。自分でも不思議ですよ、こんなに1年を通じて地元のことをやるようになるなんて。
──バラエティー番組に出られるともう政治家呼ばわりされて、「ちゃうわ!」みたいなくだりが鉄板ですもんね。
ネタになっちゃってますからね。(選挙には)出ませんって(笑)。