村川絵梨、岡本玲、須賀貴匡ら実力派が集結
織山尚大主演×小川絵梨子演出で“正気と狂気”の境界を描く、舞台『エクウス』全キャスト発表
2025.11.19 18:00
2025.11.19 18:00
先日上演が解禁された織山尚大の主演舞台『エクウス』の全キャストが発表された。
実際に起きた事件をもとにしたピーター・シェーファーによる戯曲『エクウス』は、表面的には異常犯罪を描きながら、人間の心の闇と情熱を真正面から捉えた心理劇。1973年にロンドンで初演されると“演劇史に残る衝撃作”として高い評価を獲得し、1979年にブロードウェイで上演されるとトニー賞で主演男優賞など多数部門にノミネートされ最優秀作品賞を受賞。その後世界中で上演され、2007年のロンドン・ウエストエンド公演ではダニエル・ラドクリフが主人公のアラン役を務め話題となった。なお日本では1990年に劇団四季により初演されている。
この傑作戯曲を、今回は小川絵梨子による新訳・演出で上演。米国アクターズスタジオ大学院演出学科を日本人で初めて卒業し小田島雄志・翻訳戯曲賞など多くの受賞歴を持つ小川が、現代の視点から人間の“正気と狂気”の境界を鋭く描き直す、今この時代にこそ観るべき新たな『エクウス』を誕生させる。
主人公は、6頭の馬の目を突いて失明させるという衝撃的な事件を起こす17歳の少年アラン・ストラング。動機も理由もわからぬまま、精神科医のダイサートはアランの治療を引き受けることとなったのだが、アランはコマーシャルソングを口ずさむだけで、ダイサートの質問には⼀切答えようとしない。宗教に反対する父親、息子をただ溺愛する母親を持つアランは、その心の奥に何を抱えているのか。アランに心を開かせようとする中で、ダイサート自身の内面もまた激しく揺さぶられることになる。
これまで数多くの名優たちが演じてきた少年アラン・ストラング役には、近年はドラマや映画など映像作品でも活躍する織山尚大。本作が約3年ぶりの舞台主演となり、そしてアランを取り巻く人物たちを演じる全キャストが本日解禁された。
アランの治療を担当することで自身の内面とも向き合うことになる精神科医のドクター・ダイサートに村川絵梨、乗馬クラブでアランに馬との関係を与え事件の引き金となるジル・メイソンに岡本玲。そして騎馬の若者とアランが崇拝する馬たちを演じるのは須賀貴匡。「馬=神」という信仰心を持つアランに対して象徴的な存在となる。
ダイサートの補佐で精神病院の看護師に近藤隼、裁判所の判事へスター・サロモンに津田真澄、乗馬クラブのオーナーでアランの行為を告発したハリー・ダルトンに坂田聡が決定。敬虔なキリスト教徒でアランを溺愛する母ドーラ・ストラングに長野里美、無神論者で宗教に否定的な父フランク・ストラングに千葉哲也と実力派キャストが揃った。
彼らはアランが起こした事件といかに対峙するのか。そして、これまでの上演では男性が演じてきたダイサートを女性が演じることも本作の見どころとなる。
キャストコメント一覧
織山尚大
この度、舞台『エクウス』のアラン・ストラング役を演じます織山尚大です。本作は、僕にとって初めてのグローブ座公演となります。このような舞台、そして主演という貴重な機会を与えてくださったすべての方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。近年、世の中でも様々な映像作品が増えている中、舞台だからこそ味わえる”生”の衝撃や感動には、とても大きな価値があると感じています。舞台上で、肌と肌をぶつけ合いながら繰り広げられる芝居、そしてお客さんの目の前で積み上がっていく物語が、こんなにも美しいのかと、ぜひ実際に劇場で観て、感じていただけたら嬉しいです。劇場でお待ちしております。
村川絵梨
今回上演される小川さん演出の『エクウス』は、主人公の青年と向き合う精神科医の役が男性から女性の設定になると聞き、そしてそんな大役を背負わせていただく事になり、本当に身が引き締まる思いです。
実は精神科医という職業に以前からとても興味がありました。今まで演じた事はありません。
「普通」とは「崇拝」とは…
脚本を読んで、今現在を人間として生きている私達に、たくさんのメッセージを投げかけてくれる作品だと感じました。誠心誠意、挑みたいと思います。
岡本玲
三度目となる小川絵梨子さんの演出のもと、人間の深淵を見つめるこの作品に参加できることをとても嬉しく思います。ジルとして、ひりひりと愛おしい命を感じる瞬間を、偽らず丁寧に積み重ねていきたいです。生きることの光と影を見つめながら、劇場で皆さまと心を通わせられたら幸いです。劇場でお待ちしています。
須賀貴匡
今回『エクウス』で主人公アランに対し、象徴的な存在となる騎馬の若者役を演じます須賀貴匡です。この物語の中では主人公にとっての馬は、内なる欲望や自由への象徴なのだと思っています。
初見で読んだ時に感じた、とても神秘的でスリリングでもあるこの戯曲、どのような世界が立ち上がりお客様にお届けできるのか、
演出の小川さん始めスタッフ、キャストの皆さんと、共に創作していければという思いです。劇場でお待ちしております!
近藤隼
出演のお話をいただき戯曲を読んだ時、アランとダイサートの対話に、自分の中にも説明できない思いや痛みが息づいていると感じました。馬が駆ける感覚と、人が街で生きる姿の対比にも強く惹かれました。常識や倫理の裏側にある衝動はまだうまく掴めていませんが、人間の弱さや揺らぎにそっと寄り添う小川絵梨子さん、そして共演者の皆さんとともに、稽古場で生まれるものを大切にしながら歩んでいきたいと思います。
津田真澄
高校生の頃に、夢中で何度も読んだ『エクウス』。
どんな舞台なんだろう、ここはどうなるんだろう、ああ観てみたいと憧れた舞台に、まさかまさか自分が出演することになるとは、夢にも思っていませんでした。
演出の小川さんはじめスタッフの皆さん、錚々たる出演者の皆さんと共に、新しい『エクウス』が立ち上がっていく過程を、ワクワクしながら、大切に、臨みたいと思っています。
坂田聡
思い起こせば2020 年グローブ座で舞台『〇〇な人の末路~僕たちの選んだ××な選択~』を公演中、緊急事態宣言が発令され、あと10ステージを残して公演中止になりました。憂さ晴らしに飲みに行こうと思ったのですが店もやっておらずトボトボ新大久保の駅に向かったのを覚えています。それ以来の東京グローブ座となります。新年一発目張り切って頑張ります。素晴らしいキャスト、スタッフの方々と焦らずゆっくり丁寧に作り上げていこうと思ってます。
長野里美
息子に限りなく愛を与えているつもりでいて、自分の価値観や世界観を押しつけているだけに見える母、ドーラ。
そんな無意識の罪を犯しがちなのが人間で、家族もお互いに振り回されているのがこの世界。
小川さんの新訳によって、とても分かりやすく身近になったこの物語を、さあ、今度はどう紡いでいくのか。
今回で3 回目の演出を受けることになる私は楽しみでしかたない。
特に前回、爆上がりに引き上げて頂いたので、戻ることなくそこから始めたいと思っています。
千葉哲也
戯曲を読み終えて、深いため息が出たのと同時に思わず唸ってしまった。美しさ、純粋さ、そして残酷さと…。
恥ずかしながらこの歳になって、人として色々と垢が溜まっていながら、新しい挑戦に踏み出す事をこっそりサボっている自分に、まるで警鐘を鳴らすかの様に、馬達の地ならしの音が、蹄の音が今も響いている感じである…。
1+1=2という考え方ではなく無限に、そして正解も無く…。文句無くこの戯曲にはまさにその挑戦をさせてくれそうである。
この作品を小川絵梨子さんや出演者、スタッフと共に、このエクウスの瞳の中に何を見る事が出来るのか…そんな旅が出来る事が今から待ち遠しい限りである。