2025.11.17 18:00
「Do it!YAZAWA 2025」DAY2公演より/Photo by HIRO KIMURA
2025.11.17 18:00
定番のラストナンバーで示した旅路への誓い
真っ赤なHUMMERの屋根に立ち、アリーナを一周しながら客席をアジテーションした矢沢は続いて「Risky Love」をプレイ。ここで本公演唯一となったゲストの登場。アジテーションからのサプライズゲストに大盛り上がりの永ちゃんファンである。というのも、その相手は誰あろう矢沢洋子(PIGGY BANKS/EL COYOTE)であったからだ。「7年振り! 東京ドーム! 洋子と一緒に歌います!」と華やかに7年振りの親子共演を果たすとスローなバラードである「HEY YOU…」を情感たっぷりに歌い上げ、満を持してのキラーチューンである「黒く塗りつぶせ」が投下される。イントロの赤い照明と青いレーザーのコントラストの中、歓喜の声を上げる永ちゃんファンたち。リリースから48年が経過するこの楽曲の色褪せないギラつきと言ったら、もう。ハングリー精神を片時も忘れない矢沢だからこその説得力である。

「A DAY〜I LOVE YOU,OK」と再びキャリア初期の名バラードと50年前のデビューシングルを繋げて披露した後のMCによれば、なんと前日ではメドレーの後半に「時間よとまれ」をプレイしたとのことだが、今日の「I LOVE YOU,OK」は楽曲をどこまで演奏してどこで終わるかという打ち合わせをしていなかったとのこと。矢沢は「ここで切るんだ!?」と自身が予測していた締め方ではなかったが「これがライブ」と、とっても楽しそう。そんな磐石の演奏を聴かせてくれたメンバー紹介のタイミングで機材トラブルが発生。「頼むよ〜」なんて苦笑する矢沢であったが、これもまたライブの醍醐味。野崎森男(Ba)を「見た目とは裏腹に結構可愛いヤツ」と紹介したり(ちなみに本公演で共演101本目だったとのこと)、トシ・ヤナギ(Gt)のミスをイジってみせたり、ジェフ・ダグモアのビートに対しては「歌えちゃうんです」と大絶賛したり、まさか矢沢のライブで味わえるとは思ってなかった微笑ましいわちゃわちゃ感(笑)を経ていよいよ本編は終盤へ。アップテンポな80年代初期の人気曲「YOU」で駆け抜け、本編ラストは最新シングルでありソロデビュー50周年にして誕生した新たな名バラード「真実」がプレイされた。

アウトロをバックに、ステージ袖へと捌けていく矢沢。そちらと入れ替わるようにバックスクリーンにあの「E.YAZAWA」のロゴが燦然と輝く。最高の演奏を聴かせてくれたバンドがしめやかにアウトロを終え、本編は終了だった……のだが、アンコール開始までの時間がずいぶん短かったように思う。休憩時間なんてものは矢沢には必要ないのであろうか。それともステージ上の熱そのものが矢沢の動力源なのであろうか。

ついに永ちゃんファンの装いに最もその比率が高かった白のセットアップ姿で本人がステージに再臨。ここから矢沢は3曲続けてのキラーチューンというゴールドラッシュで畳みかける。オフィシャルの文言からもある通りアンコールでは永ちゃんコールもシンガロングも解禁となるので、場内総出のお祭り騒ぎである。「鎖を引きちぎれ」は一瞬で再びドームの熱を最高潮まで引き上げ、ここでとうとう矢沢がパナマ帽を被った……ということで押しも押されぬ代表曲「止まらないHa~Ha」だ。永ちゃんコールと並ぶ矢沢ライブでの名物“タオル投げ”が客席を色とりどりに染め上げる光景は、どんな照明よりもどんな演出よりも美しい。ラストはこちらもリリース当時から現在に至るまでの49年間矢沢のライブのラストを飾ることが多かったであろう「トラベリン・バス」。歌詞の通りロックン・ロールに憧れ生まれた町を出た矢沢がどこまでもビッグなスーパースターになっても初心を忘れぬよう、そしていつまでもロックに憧れ続け、きつい旅だとわかっているけどそれでもやめられない矢沢と永ちゃんファンの旅路がこれからも賑やかであるよう、そんな“誓いの歌”で50周年以降さらなる前人未到を突き進むことを約束してくれたように思う。
ライブでは終始歌にアクションにアジテーションにMCにと途轍もないエネルギーを放出し続けた矢沢であった。他アーティストのライブでよく観られる、歌を客席に委ねるといった場面もほとんどなく、基本全曲フルコーラス自らが歌い切る形で、コール&レスポンスにおいても繰り返すパートをしっかり(ちゃっかり?)自分でも歌っていた。高音部やシャウトの切れ味も抜群であり、メロウナンバーでの深みも格別。そんな全方位無敵のスーパースターはなんと2日間の本公演を終えて一週間弱の11月14日、北海道立総合体育センターからツアーをスタートさせる。つまりこの記事が公開された頃にはもうツアーが始まっており、そちらはたったの一ヵ月強で6都市13公演を回るという、まさに“きつい旅だぜ お前に分るかい(「トラベリン・バス」より引用)”といった過密っぷり。 そう。50周年を超えた「トラベリン・バス」はまだまだ「止まらない(Ha~Ha)」のだ。

All Photo by HIRO KIMURA
セットリスト
EIKICHI YAZAWA LIVE in TOKYO DOME 「Do it!YAZAWA 2025」
2025年11月9日(日) 東京ドーム公演
1. レイニー・ウェイ
2. Rambling Rose
3. ゴールドラッシュ
4. 世話がやけるぜ
5. さめた肌
6. SOMEBODY’S NIGHT
7. “カサノバ”と囁いて
EPOCH1
8. ラスト・シーン
9. 共犯者 ~ MARIA(メドレー)
10. もうひとりの俺
11. ワン・ナイト・ショー
12. 古いラヴ・レター
EPOC2(HUMMER)
13. Risky Love (with yoko)
14. HEY YOU・・・
15. 黒く塗りつぶせ
16. A DAY ~ I LOVE YOU,OK(メドレー)
17. YOU
18. 真実
ENCORE
19. 鎖を引きちぎれ
20. 止まらないHa~Ha
21. トラベリン・バス





