西田征史と実力派キャスト陣による群像喜劇の魅力をお裾分け
髙地優吾がくれる心いっぱいの幸福感!『ある日、ある時、ない男。』に教わる“真のラッキー”とは
2025.08.29 19:00
2025.08.29 19:00
髙地優吾が支える、人を傷つけない世界観
笑いたっぷりの本作だが、決して人を傷つけたり不快にさせるような笑いはない。この温かさの根源を担っているのは、作・演出の西田であり、主演の髙地優吾だろう。良介を演じる髙地の声は、普段の地声より少し高め。そこが、良介の愛らしさを醸し出している。踏んだり蹴ったりの役だけに、ともすると痛々しく見えてしまう。けれど、髙地の演じる良介は決して悲壮感がない。不憫なのにチャーミング。この絶妙な塩梅は、髙地の放つ愛されオーラの賜物だ。

場面転換の多い本作は、登場人物の出入りも必然的に多くなる。主演である髙地は出番が多い分、上手(かみて)から下手(しもて)へ、下手から上手へと行ったり来たりだ。舞台上はもちろん、バックステージまで休むことなく駆け回る髙地のパッションが、作品にリズムとエネルギーをもたらし、観る人を元気にしてくれる。
2000万円の争奪作戦が始まってからは、チンピラ風の治安悪めコーデに様変わり。ボタンの概念が完全に消失している大胆な胸開けスタイルは、目のやり場に困るやら笑いが漏れるやらで、観ているこちらの情緒まで忙しくなる。愛すべき主人公を見事に体現した髙地優吾の堂々たる座長ぶりをこの目で目撃できることこそが、本作最大のラッキーと言えるかもしれない。


そこに、髙地と息の合ったやりとりを披露する森永、健気さが光る大野、軽やかにアドリブをぶち込むオラキオ、中年女性の悲哀を等身大で演じる佐藤、飄々たる佇まいで笑いを誘う片桐と実力者が揃い、キャストは盤石。安心して作品世界に身を委ねることができる。 自分が誰かの役に立ってるなんて思える機会は、そんなに多くない。もっとキラキラした未来が待っていると思っていたのにと途方に暮れるときもある。でも、自分では気づかないうちに、自分も誰かを幸せにしているのかもしれない。ツイていない毎日をめげずに生きる良介の姿に、きっと勇気をもらえるはずだ。
ゲネプロ後の囲み会見では、西田、髙地、森永、大野、オラキオ、佐藤、片桐の7人が登壇。本作に合わせて「ツイていないと思った出来事」についてトークを繰り広げた。
髙地は「『Mステ』欠席ですかね」と回答。先月18日に放送された『ミュージックステーションSUPER SUMMER FES 2025』を体調不良で欠席した髙地。コロナ禍を除けば、これまで「仕事を休むことって人生で本当になかった」と言う髙地にとっては痛恨の出来事のようで、「良介役をやってから、本当に運がどんどん悪くなった」とこぼし、周囲を笑わせた。

オラキオは今日20分遅刻したことを告白。遅刻の原因は、朝の日課である愛犬との散歩だ。今日に限って近所で暮らすラブラドールのジロウと遭遇し、愛犬がジロウとイチャイチャしていたのだという。「本当は30分前に着いてるはずだったのにツイてないな。ジロウのせいだな」と責任転嫁するオラキオを、片桐が「言い訳ですよ!」と一刀両断。劇中同様、軽快な掛け合いでチームワークの良さを見せた。
『ある日、ある時、ない男。』は、9月16日(火)まで東京グローブ座にて上演。その後、大阪、福岡にて上演される。

片桐仁、佐藤仁美、オラキオ