日本のロックを牽引する存在となった4人の進化と変化に迫る
go!go!vanillasが新曲で追い求めた抜きの美学、彼らはなぜ常に“最高”を叩き出せるのか?
2025.08.05 18:00
2025.08.05 18:00
今や日本のロックシーンを牽引するバンドとなったgo!go!vanillas。追いかける側から追われる側へ。20代前半あたりの若手バンドに話を聞くと、バニラズをフェイバリットに挙げるバンドが本当に多いことに驚かされる。彼らがここまで支持されているのは、常にロックバンドの可能性を模索し、ロックンロールの新しい定義を自らの手で創り続けているからだと今回改めて実感した。
そんなバニラズの最新曲「ダンデライオン」は、放送中の大人気TVアニメ『SAKAMOTO DAYS』第2クールのエンディング・テーマに書き下ろされた楽曲だ。本楽曲について、そして“最新最高”を活動指針に掲げる4人の今について、兼ねてより親交のある庄村聡泰(ex.[Alexandros])がインタビューで迫った。
経験が全部集約されてきた今が面白い
──バニラズは他のバンドと比べても独自の道を突き進んでるイメージがあります。直近のスケジュールを見ても、イギリスでライブをやったと思ったら荻窪でやったり、その直後にはまたデカ箱で。来年はアリーナツアーも決定していて、本当に相手も場所も、ついに国すらも選ばなくなったという。
牧達弥(Vo.Gt.) そうですね、多分一番大きいのは僕らが元々出てた新宿red clothというライブハウスがけっこう異質で。今僕らがフェスとかで一緒にやってるようなバンドとの対バンが全くなかったんですよ。もっとアングラっていうか、もの凄いグラムロックみたいなのやってる奴らとかハードコアに近いような奴らとかばっかだったんで、バンドってそれが普通だと思ってたというか(笑)。そこが根本にあるから、後からマジョリティに加わっていった感覚なんですよ。
──なるほど。
牧 だから社会と繋がった瞬間みたいなのがあって(笑)。自分の音楽の作り方も、アンダーグラウンドなことやってた時の気づきとか色んな物をブレンドしてきたことで今があるから、割と今の動きは自分の中で普通というか、その母体があって動いてるからだと思います。

──どっちがアンダーかオーバーかって話もあるけど、自分たちの活動がだんだんオーバーに手が伸びていく中で、メンバーはどう変わっていきました? プレイヤーとしてだったり、立ち振る舞いだったり。
長谷川プリティ敬祐(Ba.) 多分立ち振る舞いとかに関しては僕は変わってはないんですけど、考える部分はやっぱありましたね。なるべく自分を偽らないで出したいなっていうのは凄く思って。それはステージの上でもそうだし、人と接する時もそうだし。僕って凄く嘘がバレやすいバレッバレ人間なんで、ちゃんと正直に、自分の好きなものというか、芯はぶらさずに人と繋がるっていうのは凄く考えましたね。
──本当にその紅布(red cloth)とJAMの、あの新宿の果てにあったライブハウス2店が凄いとこですもんね。ジェットくんはどうですか?
ジェットセイヤ(Dr.) なんでそんなライブ活動ができるかというと、やっぱ牧と進太郎が作る楽曲の幅だと思いますね。だからこそ去年も対バンのイベントにめちゃくちゃ呼んでもらって。WANIMAとかキタニタツヤ、フレデリック、w.o.d.、あとは……
牧 androp、ザ・クロマニヨンズ。
セイヤ UNISON SQUARE GARDEN、PEOPLE 1もやった。
牧 ドロス([Alexandros])もね。
セイヤ それだけのバンドに呼んでもらえるってことは、何かしらフィットするものがあるって思ってくれてると思うんですよ。もちろん楽曲もだしステージパフォーマンスとか、全部込み込みで「おもろいなこいつら」みたいに思ってくれてると思ってて。そういう場数……フェスも出るしライブハウス、ホールとかの経験が全部今集約されてきたんやなっていうのは面白いですね、俺ら自身も。

──進太郎くんはどうですか? 後から加入して、その前は見てきた立場でもあるけど。
柳沢進太郎(Gt.) 僕が前に組んでたバンドではred clothは多分1、2回しかやったことなくて。牧さんが渋谷Milkywayで働いてたんで、そっちにめっちゃ出るようになったんですけど、そこもけっこう変わった箱だったんで。
──Milkywayってまたロックンロール色とは違う印象ですね。
柳沢 当時はUKというか、洋楽に影響を受けたバンドがよく出てる箱だったイメージがあって。僕が出てたイベントは、ですけど。そこで出会った人たちは今でも会ったりするので、あの時の出会いは確かに今のモチベっていうか、誰とでも音楽で繋がれば仲良くなれるみたいな感覚はその時に培いましたね。ライブについては、僕は音源でやったことをライブで表現した1日目から曲がグレードアップしていく感覚があって。レコーディングってやっぱり時間に追われてたりするじゃないですか。だから曲の理解度みたいなのが、作り終わってからライブの準備する間にさらにレベルアップして、ライブでアウトプットした時に「あ、こんな反応が得られるんだ」っていう、そのフィードバックの繰り返しでどんどん良くなっていくような。
『Lab.』に入ってた曲も本当に1公演1公演でどんどんビルドアップしていって、最終的に最強の形になるみたいな感じだったので。だから多分、仮に毎月一緒にライブしても「こいつらずっと何かが変わり続けてる」みたいな感じを、他のバンドより思ってもらえてるのかな、みたいな印象はあります。
セイヤ 機材が変わっとるしね、もう。
柳沢 機材も変わるし(笑)。テンポとか曲のアレンジとかも、牧さん自身がリハーサルの時に「こここうしよう」みたいな感じで、音源通りじゃないことをもう初日からやろうみたいな気概があるので、その変容していくことへの挑戦心みたいなのはずっとフレッシュなまま来ていて。機材もずっと固定みたいな概念がどんどんなくなっていって、なんならスイッチしてもいいな、みたいなとこにもなりつつあるというか。海外のアーティストは最近ほとんどそうじゃないですか。
──そうだね。
柳沢 ボーカルとベース、楽器持ち替えちゃうとか。なんかそういうのも全然これから先やっていくのもありだなって思うところもあって。ゆえにライブでどんどん進化していくことが、僕らのモチベにもなってます。
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