映画『ルノワール』での共演を経て語るそれぞれの思春期
「大人になる」と何が変わる?鈴木唯×石田ひかり×リリー・フランキーが出した一つの答え
2025.07.07 18:00
2025.07.07 18:00
年齢だけ重ねて、中身はあの頃のままです
──鈴木さんの目には、大人の世界ってどんなふうに映っていますか。
リリー 薄汚い感じでしょ?
鈴木 以前は「大人は大人」だと思っていました。ですがこの作品に入って、考え方がちょっと変わりました。
リリー 大人の中に急に入るからね、それは変わるよね。
鈴木 今は「大人は子どもと同じ存在で、子どもも大人と同じ存在」。大人だって子どもに戻るときは普通にあると思うし、心の中にずっと子どもの自分がいる。たまにカラオケ行ったりして遊ぶのも、子どもと同じ。だから、大人っていうのは存在しないんじゃないかと思います。
リリー 子どもがボロになったのが大人なの。子どもの頃は、大人はみんなちゃんとしてると思ってるでしょ? でもそんな人は一人もいない。
石田 その通りです(笑)。
リリー 大人っていうのは子どもの想像の産物ですから。「大人になったらこうなる」って子どもは思っているけど、その通りに生きてる大人なんて一人もいない。本当はダメな人なんだけど、みんなダメじゃないふりをしているだけなの。
鈴木 子どもが大人を叱ることもたまにありますもんね。
リリー むしろ今は子どもに叱られる大人が増えてるんじゃないの? 大人がわからないことがいっぱいあるから。ケータイのセットアップなんて子どもに叱られながらやってるでしょ。

──みなさんは子どもの頃早く大人になりたいと考えていましたか。
鈴木 もともと面倒くさがりなので、大人になる=面倒くさいってイメージがあって、あんまりなりたいと考えたことは今のところ無いです。
石田 私も大人になりたいとかなりたくないとか考えたこと自体なかったです。芸能界に入るまでずっと競泳をやっていて、もうひたすら泳ぎ込みの人生だったので、そんなことを考える暇もなかったというか。ほぼ水の中です、15歳までの私の人生は。
リリー じゃあ泳いでないときはローラスケートをしてたんだ?
石田 そうです(笑)。15歳で芸能界に入ってからは、その日その日を必死に生きていたので、未来を考える余裕もなく。いつの間にか年齢だけ重ねて、中身はあの頃のままというのが正直な気持ちです。
リリー 今も泳ぐんですか?
石田 今、ちょっと五十肩がひどくて。そういうところは大人になりました(笑)。
リリー また五十肩が不思議と治るんですよ。六十肩って聞いたことないでしょ?
石田 確かに。四十肩、五十肩は言いますけど。

リリー 60になるとまた腕がブンブン回りますから(笑)。もれなくなりますよね、五十肩。
石田 そうなんです。面白いくらいに50歳のときに両方の肩が上がらなくなって。
リリー 僕ね、それ、どうやっても治んなかったんです。結局、普通にマッサージがいちばん良かったです、僕の場合は。
鈴木 そうですね。
リリー 「そうですね」って、唯ちゃんは五十肩になったことないでしょ(笑)。
鈴木 違います(笑)。私のお母さんも四十肩になっちゃったんですけど、マッサージに行ったら治ったので、そうなのかなって……。
リリー つまり血行なんですよね。最初は専門の病院に予約をとって、1週間に1回とか見てもらいましたけど。
石田 私も注射とか打ちました。
リリー 僕もガンガン打ってたんですけど、変わらなかった。
石田 結局時間ですよね。
リリー 時間が経たないと治らないです。40〜50くらいの人のお芝居見てるとわかりますもん、「あ、こいつ、五十肩だな」って(笑)。
石田 本当に上のものが届かないんです(笑)。無理して肩から上げようとするから、余計変な姿勢になる。すみません、なんだか最後にこんな変な話で(笑)。

『ルノワール』場面写真 ©︎ 2025『RENOIR』製作委員会 / International Partners