2025.06.27 18:00
2025.06.27 18:00
6月13日より公開中の映画『リライト』。法条遥による同名小説を原作にした本作は、数々の青春ものを生み出してきた松居大悟と、“時間もの”に定評のある上田誠という2人の手により、タイムリープ×青春ミステリという展開の読めない鮮やかな映画となった。
本作の主題歌を手がけたのが、福岡在住のアーティスト・Rin音。彼は主題歌「scenario」のほか、本作を観て掻き立てられた感情から「どうしても曲にしたかった」とインスパイアソング「貴方に晴れ」も制作した。この2曲について、また彼の生活拠点であり、インスピレーションのもとでもある福岡について、話を聞いた。

自由に街を歩いているような感覚で書いた
──最初に映画『リライト』の主題歌の話を聞いたときはどう思いましたか?
そのときはまだストーリーなども深く知っていたわけではなかったので、シンプルに責任を感じましたね。
──映画『キャラクター』でも主題歌を手がけられましたが(「Character」)、そのときとはまた違う気持ち?
そうですね。「Character」はずっと真夜中でいいのに。のACAねさんと一緒だったのですが、今回は一人なので。でも僕自身、主題歌みたいな形で何かの作品と世界観を共有しながら曲を作るのは好きで、そういう曲の作り方には自信があったので、「自分でよければぜひやらせてください」という感じでした。
──実際、主題歌「scenario」はどのように作っていったのでしょう?
まずは、エンドロールに曲が入っていない状態の映画を見させてもらいました。そこで、どういうストーリーなのかとか、どういう景色があるのか、どういう人物が出てくるのかというのを理解して。
──その前に原作を読んだり、脚本を読んだりはせず?
していないです。原作と形が違うっていうのはよくあることじゃないですか。省く要素もあるだろうし。実際に自分も、タイアップに限らず、普段から自分は漫画とかを題材に曲を作ることがよくあるのでわかります。原作を読んでバイアスがかかるのが嫌だったので、まずは映画から出会いたいなと思って、他には何も準備せずに見ました。
──映画を観たうえで、どういう曲にしようと思いましたか?
映画サイドから「主人公目線で」ということを言われたので、主人公の美雪(演:池田エライザ)目線に立ってみて。そしたら、「美雪は最後に、この出来事を小説にするだろうな」と思ったんです。「その場合、その小説はどういうものになるんだろう」と考えて、それを曲にしました。
──なるほど。それを曲にしていくにあたり、どのようなことを意識しましたか?
この作品ってすごく不思議な恋の話じゃないですか。ほとんどみんなが同じような景色を見ているはずなんですけど、見ている角度は人によって違う。それがすごく面白いなと思って。その不思議さは残したいなと思いました。不思議な世界で起こっている恋愛ということは伝えたいなと。一方で、その中で起こる一人一人の感情の起伏は、普通の恋愛と変わらないわけで。SFの世界観と、現実味のバランス感は気をつけました。
──先ほど、漫画などから曲を作ることもあるとおっしゃっていましたが、「起きた出来事を小説にするなら?」という考え方で作っていくというのは、普段の曲作りとは違いますか?
そうですね。普段は漫画をモチーフに曲を書くとしても、主題歌とかではないので、ここまで直接的過ぎるものはなかなか書けない。だけど今回は思いっきり寄せられて……枷が外れた感じというか。いつもはセーブしていることが、自由にできるので楽しかったし、自由を感じました。
──タイアップって、テーマやお題がある分、自由度で言ったら狭いはずなのに、逆に自由を感じられるという。
ここまで決めてもらえると、あとはそこに自分が立ってどう感じるか、だけなので楽でした。「楽」って言っていいのかわからないですけど(笑)。自由に街を歩いているような感覚でした。
次のページ