2025.05.27 20:15
2025.05.27 20:15
舞台『フラガール-dance for smile-』が2025年5月22日、新国立劇場 中劇場にて開幕。それに先駆け同日、公開ゲネプロと会見が行われた。

『フラガール』といえば、2006年に公開され、日本アカデミー賞最優秀作品賞やキネマ旬報ベストテン第1位など、数々の映画賞を受賞している名作映画。これまでに何度も舞台されているが、この『フラガール -dance for smile- 』自体は2019年、2021年、2022年に続いて4演目となる。
物語の舞台は、昭和40年の福島県いわき市。エネルギー革命によって炭鉱の町が衰退していく中、未来を切り開くためフラダンサーを目指す少女たちの奮闘を、笑いと涙、感動とともに描いた作品だ。フラガールのリーダー・谷川紀美子役を演じるのが日向坂46を卒業し舞台単独初主演となる丹生明里というのも話題となっている。

かつて炭鉱の町として栄えたいわき市。この地に生まれ育った谷川紀美子(丹生明里)は父を亡くし、母と兄と共に慎ましく暮らす高校生だ。しかし、時代はエネルギー革命を迎えた折。石炭から石油へという変革が炭鉱の未来を奪い、町全体が暗い影に包まれる中、新たな町おこし事業として「常磐ハワイアンセンター」の建設が発表される。温泉を活かしたリゾート施設を作り、目玉はフラダンスのショー。町の大人たちが一斉に反対する中、紀美子の親友・木村早苗(中村里帆)は「泥まみれの暮らしから抜け出すチャンスだ」と紀美子を誘い、ダンサー募集に応募。集まったのは炭鉱で事務員として働きながら、子供を育てるシングルマザー初子(木﨑ゆりあ)、男手一つで育てられながらも引きこもりの小百合(大串有希)の4人だった。

一方、ハワイアンセンターの企画部長・吉本紀夫(神尾佑)はかつて都会で名を馳せた元SKDのダンサー、平山まどか(映梨那)を連れてくる。最初は田舎娘たちを見下すような態度に紀美子たちは反発するが、彼女のダンスの美しさ、そして本物のプロの技術に圧倒され、少女たちはまどかの厳しいレッスンに飛び込んでいく。4人の姿を見て、関心を持ち始める和美(菅原りこ)らメンバーも増えていく中、炭鉱の労働組合はハワイアンセンターへの反対を激しくしていく……。


なんとも“熱い”舞台だ。記者会見で総合演出の河毛俊作が「キャストたちが結構長い稽古期間、体育会の夏合宿な雰囲気の中で厳しい稽古を積んできた、その成果がいろんな意味で出ていると思います」と語ったが、どれだけの稽古と練習を積んだのだろう……? とまず思わされる。物語自体は、フラガールを目指す少女たちと彼女を取り巻く人々と時代を描いていく、というとてもシンプルなもの。しかし、舞台のテンポとスピード感、身体全体を使って俳優と俳優がぶつかり合っていく様子……そこには、熱気が渦巻いているようだ。
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