2025.05.26 18:30
2025.05.26 18:30
手づくりのひよこをいろんなところに置いて過ごしています
──クランクアップはどのシーンですか。
最後の拘置所のシーンです。そこで佐知が涙を流すんですけど、なかなか涙が出てこなくて、すごく時間がかかったんですね。もう次でダメだったら目薬で行くからって、スタッフさんが後ろで目薬を用意して立っていて。大事なシーンでこんな醜態をさらすわけにはいかないと思って、最後はその悔しさで涙が出てきました。だから、台本の佐知の涙とはちょっと違っていて。泣きの演技はこれからの私の課題だなと思ったし、息をするように涙を流す周りのみなさんがどれだけすごいかを改めて感じさせられました。
──普段から泣くことはあんまりないですか。
そうですね。よく飼い主と犬の感動の再会とかあるじゃないですか。そういうのを見ても、「(犬種は)ダックスフントかな」とか考えているタイプです(笑)。

──逆に面白い(笑)。
だからもっと日常から感情を研ぎ澄ませていかないといけないなと思いました。赤ちゃんとか子どもって素直に感情を出すじゃないですか。あんなふうに毎日をもっと新鮮に感じて過ごしていかないといけないし、何か心に来るものがあったら、自分は何に反応しているんだろうということを考えて、それをちゃんと演技につなげていけるようにしたいです。
──すべての撮影を終えたときはどんな気持ちでしたか。
感動して泣いちゃいました。その涙の中には、二ノ宮佐知をもう演じることはないんだという悲しさもあって。いまだに悲しい気持ちになったり、毎日が嫌だなと思う瞬間、頭の中に佐知が思い浮かぶことがあるんですね。役が終わっても佐知は生きているし、これからも私の中でずっと生き続ける。だから、佐知のことを思い出すたび、ちょっと懐かしい気持ちになります。
──ではここからは川口さんの素顔を少し伺わせてください。今、高校3年生ですよね。高校生活ラストイヤー、どんな1年にしたいですか。
私の人生最後の青春なので、悔いのない1年にしたいです。勉強もすごく頑張ってるんですけど、友達と毎日愚痴ったり楽しい話をしたり、そういう時間が何よりもかけがえのないものだと思っていて。この雰囲気をずっと忘れたくないなって、みんなが話してるのを教室の隅から一人で観察したりしています(笑)。
──友達との間で流行っているものはありますか。
「××界隈」という言い方が流行っていて、私の周りでは歩くことを「伊能忠敬界隈」と呼んでいるんですけど、「ちょっと忠敬してくる」と言って教室の外に出ていく子とかいますね。

──自由ですね(笑)。
それくらい自由な友達が多くて、みんなの自由な発想に気づかされるものが多いというか、心から笑える毎日を送っています。
──川口さんは忠敬してるんですか。
いや、私は特に……。
──あ、そんなに歩くのがお好きではない?
好きなんですけど、伊能忠敬よりは普通の散歩をしています。
──普通の顔で面白いことを言いますね(笑)。特技は裁縫とのことですが、どんなものをつくるんですか。
初めて裁縫をしたときに、ひよこをつくったんですけど、すごく可愛くてバッグにつけたら次の日に落としちゃって。そこから悔しくて、ひよこ2号、ひよこ3号……って5号くらいまでつくって、家だったり教室の机の上だったり、いろんなところにひよこを置いて、常に一緒にいる安心感を味わっています。
──なるほど。じゃあもうそこからはなくなっていないんですね。
それが3個減っちゃって。
──どっか行っとるやないか(笑)。
信号を渡るときに落としちゃったのか、気づいたらどこかにいなくなってるんですよね……。
──ひよこに対して愛があるようでまったくない。
いつの間にかポケットからなくなったりして。少なくなったらまた増やそうかなと思っています。

──ここの発言だけ聞くと、結構サイコパスみがあります(笑)。
そんなことないです(笑)。1匹1匹、愛着を持って接しています。
──ものすごく不思議な人の匂いがしてきました(笑)。せっかくなので、あともう一つだけ聞かせてください。推しっていますか。
卵焼きが好きなので、推しは卵なのかなって。
──ひよこも卵ですしね。
そうですね! 卵かけご飯も好きなので、時々大きくて綺麗な黄身に会えたら感動します。
──しかし、ひよこが見てる前で卵を食べるというのはちょっとグロテスクな気も……。
そのときはちょっとひよこの向きを変えます(笑)。
