久々の朗読劇で板谷由夏と初共演、多岐な活動への思いに迫る
カテゴライズされない今の状況が面白い。津田健次郎がボーダレスに活躍できる理由とは
2025.05.14 18:00
2025.05.14 18:00
声優と俳優のボーダーラインはないと思う
──津田さんのお仕事って今、すごく多岐にわたっていると思うんですね。それこそ吹き替えや声優の仕事もあれば、ナレーションもある、そして近年はドラマにも出演されています。そんな中で、「舞台」というのはどんなポジションですか?
そうですね……原点に近いといいますか。やっぱり出発点が舞台だったので、何か初心に帰るところはありますね。
──ご自身の中でも、舞台作品は定期的に出ておきたいとか、やっておきたいみたいな思いはあるんでしょうか?
そうですね、なかなか難しいんですけど。でもこういう生の芝居っていうのは、できるかぎりやれたらいいな、と思ってます。
──舞台の現場に来るとちょっと落ち着くなとか、ホームグラウンド感があったりしますか。
そうですね、劇場は好きです。あともうシンプルに、劇場で客席を見ながら、板の上に立っている。そのことが好きなんですよ。

──でも今、お仕事のジャンルの幅も広がっていますし、本当にお忙しいと思うんですよ。そんな中で仕事を選ぶときの「決め手」のようなものはありますか?
いろんな要素がある気はします。ただ、面白そうかどうか、はすごく大事な要素の一つではありますね。
──「面白そう」というのは、具体的には?
脚本を読ませていただいてその印象で、というケースもありますし、共演者、座組が面白そう、というケースもありますかね。
──ご自身の中で、これは面白そうだなと思ったり、惹かれるものに傾向ってあったりするんですか。
……あるんでしょうね。あるとは思いますけど、言語化するのが難しいっちゃ難しいかもですね。
──あんまりそこは、あえて自分の中でカテゴライズしないというか、あえて言語化していかないみたいな感じで。
そうですね。元々、カテゴライズとか線引きとか、あんまり意識しないといいますか、意識は薄いタイプだと思います。今の仕事のジャンルに関してもそうですけど、元々それらにはあまりボーダーラインがないなとは思っていて。声優も俳優もやりますが、自分にとってはそういうのがいいのかな、と思ってはいます。

──昨年のドラマ『西園寺さんは家事をしない』をはじめ、近年は地上波のドラマへの出演も多くなっていますよね。これまでの声のお仕事が多かった状況に比べると、いわゆる世間の一般の方からの見られ方とか、変わってきている実感はありませんか?
そうですね。なんだか、認知していただける機会がすごく増えたなとは思います。ただ、自分自身としてはこの状況は「面白いな」と思ってますね。いろんなことをやらせていただけるのは、なにせ面白いんですよ。認知していただけるのも嬉しいですし、もちろん作品ごとにいろいろ違いますけど、映像作品に出演させていただけるのも面白い。声の仕事と顔を出す仕事を同時進行させていただけるということも、本当にありがたいなあと。
──認知が高まっていくことで、逆になにかやりづらくなっていることはないですか。
若干顔バレするようになってきました(笑)。別にそれが嫌だっていうわけじゃないんですけどね。

──他媒体のインタビューで「監督業に挑戦してみたい」というお話を拝見しました。そちらの方はいかがですか?
全然進んでないです(笑)。もう本当に、僕次第なので。別に締め切りのある話でもないですし、具体的に動いてる話でもないので。
──でもこれだけ忙しくされている中で、ご自身で物を作るってすごくパワーが必要なことだと思うんです。それでもやりたいと思われた理由というのは何だったんでしょう?
演劇の道を志したのも、元々は映画監督になりたかった……というのがあったんですよ。そこですかね、一番は。やりたいことはやっておきましょう、という。
──今これをやっておかないと、と思った理由はあるんですか?
これまでも思ったことはあったんですけどね。何か結構時間かかっちゃってるので、早くやっておいた方がいいかな、という感じです。ただ、年齢的なものは大きいと思いますね。40代になってからというか、40歳になった瞬間かな。人生は短い、たとえうまくいったとしても、やっぱり人生は短いんだな、というのを実感しまして。それが大きかった気はします。
次のページ