久々の朗読劇で板谷由夏と初共演、多岐な活動への思いに迫る
カテゴライズされない今の状況が面白い。津田健次郎がボーダレスに活躍できる理由とは
2025.05.14 18:00
2025.05.14 18:00
CMやドキュメンタリー番組でその低音ボイスを響かせたと思えば、1クールで何本もの地上波アニメに声優として出演。それでいて、最近はドラマでもすっかりおなじみの顔となっている。果たしてこの人は何人居るんだろうか……? そんなことすら今の津田健次郎を見ていると思ってしまう。
そんな彼が5月23日から朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』に出演。板谷由夏との2人芝居で、セックスレスをきっかけに夫婦のあり方を模索する夫・大山孝志役を演じる。久々の朗読劇出演と、本人にとって「舞台」とは、そして色々変わっているであろう、自身を取り巻く環境と立ち位置について。津田健次郎の“現在地”について語ってもらった。

こういう生々しい作品は、より丁寧に演じなくてはいけない
──津田さんご自身は、この『したいとか、したくないとかの話じゃない』という作品のオファーがきたときの感想はいかがでしたか。
こういうタイプの作品はキャラクター的にも今まであまりやってこなかったので、何か面白そうだなと思いました。
──あまりやってこなかったというのは、割と普通の人寄りというか、リアルにいる人、という感じですか?
こういうタイプの駄目なおじさんというか、旦那っていうのはこれまであんまりなかったですね。
──この孝志というキャラクターはリアリティを持って実感できるという感じですか?
そうですね。ものすごく生々しく表現した方が面白くなるだろうなと思ってたので、リアルさにこだわった方が良さそうな気はしています。

──それにしても「セックスレス」というテーマもそうですが、夫婦間のやりとりだったり、内容的にすごく生々しいですよね。こういう作品の場合、演じるときに照れとか抵抗感はあったりしますか?
どうでしょう……あんまり変わらないかもしれないですね、そういう意味では。
──普段いろんな役柄を演じられていますが、フィクション性が強いものや日常的にかけ離れたものとこういうリアルな役とでは、アプローチ的に変わったりとかはしますか?
多少は変わるかもしれないですね。より細かいことも、こういう生々しい作品の場合はやっていった方がいいかなとは思います。細かいぶん、勢いでやらないようにするといいますか……いやもちろん、勢いをつけてやる部分っていうのは出てくるとは思うんですけど、より丁寧に演じていかなくてはいけないというか。もちろん、どんな作品でも丁寧に演じようとは思ってますけど、言葉の端々やニュアンスでいろいろ意味が変わっちゃいそうだなと思うんですよ。
──津田さんご自身として孝志に共感できる部分はありますか?
そうですね……言葉のチョイスを間違えたりとか、そういうのは「わかるな」と思ってます。余計な一言を言っちゃったりとか。僕自身、やってしまいがちなタイプです。
──そういうときはリカバリに動くタイプですか? それとも逆に動けないタイプですか。
リカバリしようとしてできないタイプ、ですね。そこに余計な言葉を足すと、さらに伝えたいものが変わっちゃいそうな気もするので……難しいですよね。下手に焦って重ねるよりは、とも思うんですけど……どっちがいいのかはわかんないですけどね(笑)。

──今回は板谷由夏さんとの朗読劇ですね。津田さんはこれまでも朗読劇はたくさん出られてますけど、朗読劇ならではの面白さや、難しさみたいなものはありますか?
実は朗読劇をやっていると、「動いちゃった方が本当は早いのでは」と思う部分もあったりはするんですよ。演劇的にしたいなあ、というか。もちろん、動いちゃったほうが早い部分もあれば、ここは動かないでも伝えられるな、という瞬間があったりはするんですけど。
──やっぱりそれは、津田さんのキャリアのスタートが演劇だというところにあるんでしょうか。
そうだと思います。とはいえ、アニメーションとか洋画の吹き替えとかもたくさん経験していますし、そういう動かないでニュアンスを出す、みたいなこともやってはきているんですよ。ただ動いちゃった方が伝わるし、生々しい瞬間っていうのもあるのでは、と。
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