2025.04.13 14:00
日向坂46「6回目のひな誕祭」より(写真:上山陽介)
2025.04.13 14:00
“けやき坂46”初期メンバーがまさかの集結
実験的な楽曲を続けたあとには「青春の馬」に始まり「川は流れる」や四期生曲「見たことない魔物」と、これまでのライブで幾度となくハイライトを記録した楽曲たちが披露される。「見たことない魔物」のイントロにて煽りを担当した藤嶌果歩は「この曲で叫ぶの、待ってたんだろ?」といたずらっぽい笑みを含ませつつロックバンドさながらのアジテーション。これにはもうおひさまたちは大爆発。とんでもない声量でのコールを横浜スタジアムの上空へと響き渡らせた。そんな大盛り上がりを巻き起こす楽曲群のブロックではあったが、思えばなんとこれらもシングル表題曲ではないのである。先述の行き交う作家陣が織りなす楽曲の強さとそれらを何倍にも増幅させるメンバーのパフォーマンスという美しき相互関係に、改めて頭の下がる思いだ。

続いては本公演をもって9年間所属したグループからの卒業を発表しているキャプテン佐々木久美をフィーチャーしたコーナー。自身がセンターを務める「My God」のあとは「抱き締めてやる」の性急なビート感の中でダンス、表情、歌の全てがキリリと引き締まったシリアスにしてシアトリカルなパフォーマンスをキメていく。副キャプテン就任時に久美が「これから相棒だよ」と声をかけた髙橋未来虹とのデュオ編成で披露された「沈黙した恋人よ」では2人が顔を見つめ合いながら歌う瞬間があり、これにはたまらず髙橋が涙を見せる。キャプテン、副キャプテンという任を負った2人の間にしか成立し得ないであろう感情を交錯させたあと「車輪が軋むように君が泣く」ではおひさまのシンガロングのみで曲を進行させるという一幕も。偉大なキャプテンに対する大きな惜別の念をおひさまにも共有させてくれるという、感動的な瞬間であった。

MCでは、富田により久美のすっぴんは赤ちゃんみたいな肌質であったり、始めて家に久美が来てくれた時は突然逆立ちをし始めたなどの仲の良さを窺い知れるエピソードが披露されたが(これに久美は「逆立ちして見る世界は面白いよ」と返していた)、そんなほっこりタイムのあとは再び期別曲を連打。MV衣装を纏っての初パフォーマンスとなる四期生曲「足の小指を箪笥の角にぶつけた」は、そのあとの会場内アンケート(平尾帆夏提唱による「小指タンス」か、当曲センター山下葉留花提唱の「こゆたん」かをペンライトの色が多かった方で決めるというもの)で「こゆたん」に略称が決定。三期生曲「パクチー ピーマン グリーンピース」では、曲ラストの好き嫌いについての歌詞の内容を反映した山口陽世による「(好き嫌いして)ごめんね」の決めゼリフにおひさまたちが萌え上がり、二期生曲「君は逆立ちできるか?」のラストでは、これに負けじと富田が猫をメインテーマとする歌詞と会場を反映して「よこは、にゃ!」とアンサー。先程のMCを曲タイトルで回収した上にさらなる萌えの燃料を投下するという離れ業をやってのける。
ライブは息もつかせぬ進行。そのあともたたみ掛けるように楽曲を繰り広げてきた日向坂46であったが、ユニット曲「その他大勢タイプ」を終えたところでとっておきの大サプライズ。映像出演の齊藤京子による「最高のプレゼントを用意しました」のアナウンスのあとおひさまたちの前に姿をあらわしたのはなんと長濱ねる、井口眞緒、潮紗理菜、影山優佳、加藤史帆、高本彩花、東村芽依の7人。こちらに佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈が加わりパフォーマンスされたのは「ひらがなけやき」。そう、最高のプレゼントとは、けやき坂46初期メンバー12人の再集結(齊藤は映像出演、柿崎芽実も手紙という形でステージに参加)であったのだ。

前日はここで五期生が初お披露目となったとのことだが、まさか2日目にもこんな大仕掛けが仕込まれていたとは。舞い降りた奇跡に夢かうつつかといった表情を浮かべるおひさまたちの目を覚ますかのように定番曲「HEY!OHISAMA!」と一際シリアスな「錆びつかない剣を持て!」が披露されたあと、「僕なんか」「君しか勝たん」「君はハニーデュー」「卒業写真だけが知ってる」と怒涛のシングル表題曲ラッシュが続き、最高潮の盛り上がりの中披露されたのは2ndアルバム『脈打つ感情』のリード曲「君は0から1になれ」。長時間に渡る公演においてなおも力強く艶やかなパフォーマンスでラストスパートを駆け抜けていったのち、ライブ本編はグループ名を冠した「日向坂」の雄大なメロディーで堂々のエンディングを迎える。


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