2025.04.15 18:00
2025.04.15 18:00
期待されればされるほど、それを力に、楽しさに変える。髙石あかりの言葉はポーズではなく、ランナーズハイなわけでもない。さまざまな作品で彼女はそれを実力で証明してきた。
今年に入ってからも映画『遺書、公開。』や、ドラマ『御上先生』『アポロの歌』などでインパクトを更新した髙石が、4月11日公開の映画『ゴーストキラー』で映画単独初主演を飾った。監督の園村健介は『ベイビーわるきゅーれ』シリーズでアクション監督を、脚本の阪元裕吾は同シリーズで監督・脚本を手掛けてきた、髙石にとって運命を共にしてきた二人だ。
演じたのは、ひょんなことから三元雅芸演じる元殺し屋・工藤の霊を身体に降ろす力を手にし、成仏させるために彼の復讐に巻き込まれる大学生の主人公・ふみか。挑戦づくしの本作と、自身にかかる期待への思い、そして誰かを「守る」ことについて、今一度彼女の素直さに触れた。

ふみかは弱さと強さが両立したキャラクター
──Bezzyでは前回『遺書、公開。』の公開時に取材させていただいて、約1ヵ月ぶり(取材時)のインタビューです。1ヵ月間早かったですか?
1ヵ月! あれ1ヵ月前ですか? そんなに経ってないような感じがします。
──第2ラウンドのつもりで(笑)まずは『ゴーストキラー』の出演が決まったときの心境から聞かせてください。
今回のプロデューサーさんが『ベイビーわるきゅーれ』やいろんな作品でご一緒させていただいていた方で、また一緒に映画をやれるということを聞いて、素直にどんなお話なんだろうってワクワクしました。単独主演ということはそのときはまだ知らされてなくて。
──園村さんと阪元さんが手掛けられるということはそのときに?
そのときはそれも知らなかったです。後々で園村さんが監督って聞いたときは、今までアクション監督としてご一緒させていただいたことしかなかったので、映画監督としてお芝居のディレクションをされるときはどういうふうになるんだろうって、また違った一面が見れるのかなって楽しみでした。

──阪元さんの脚本を最初に読んだときはどう思われましたか?
これがどう映像化されるんだろう?って、すごく想像が膨らみました。園村さんが携わることはもちろん、三元(雅芸)さんがこれを表現して、(川本)直弘さんと1対1で戦うってことを聞いただけで、いち観客としてもうめちゃくちゃ楽しみで。ただ、自分がふみかと工藤を交互に演じるということもそうですし、アクションが想像するよりも多そうだなと台本を読んで思ったので、そこは自分の中でも少し不安だった部分もあります。でも俳優として今までいろんな役をやらせていただいた中で、こんな経験はないと思ったので、すごくワクワクしましたし、それもポジティブでした。
──セリフにもありますが、ふみかはただの大学生なのにやたら肝が据わってますよね。阪元さんらしくそのバックボーンまでは描かれてなくて、髙石さんの中でふみかはどんな人物ですか?
唯一、観客目線に立てるキャラクターというか。私と同じように、目の前で人が殴られていたら怖いという感覚を持っているキャラクターなので、観る方がふみかと同じような目線で楽しんでいただけるんだろうなと思いました。巻き込まれた世界で、恐怖が消えたわけではないし、消し去ろうとしたわけでもない。その恐怖を持ったまま一歩近づこうとするのは相当な勇気だったり覚悟がないと難しいので、とても正義感と優しさがあるキャラクターだと思いました。
──アクションの分量ももちろんですが、感情の起伏という部分でも、ここまで激しい役は今までなかったのではと思います。これまで演じてきたキャラクターとの違いをあえて言うとしたらどんなことがありますか?
そうですね……弱さと強さが両立していて、でもその弱さはきっと強さから来て、強さも弱さから来ているキャラクターで、それが面白いなと思います。例えばさっきまで号泣してるかと思いきやケロッとしたり、ケロッとしてるかと思いきや怒ったり。いろんな感情があって、それを工藤といるときはより表に出せる。演じていて、すごく楽しいキャラクターでした。
──きっと園村さんと阪元さんが髙石さんのことを理解されているのも大きいですよね。髙石さんにとってお二人はどういう存在なんでしょうか。
阪元さんは、不思議なんですよね……すごく絶妙な距離感で、私のことをわかってくれているような気もするし、知ろうとしてくださっているのではないかとも思うし。それは私もそうで。でも他の人が思っている阪元さんじゃない部分を知ることができてる気もして、何も知らないけど知ってるみたいな(笑)。お互いにプライベートでお会いすることはないのですが、作品でお会いすることが私の中ではすごく心地が良くて。いい距離感だからこそ、大切な存在です。
園村さんは、この方のために「頑張ろう」と思う人がたくさんいるんだろうなと思います。私もその一人です。園村さんってすごく信頼を置いてくださるんです。その信頼を置くって誰にでもできることじゃないと思っていて、置いてくださるからこそ期待に応えたいっていう気持ちがどんどん膨れ上がる方です。寡黙なんですけどチャーミングな部分もあって、私はそのチャーミングな部分を撮影中に毎日探すのが楽しみでした(笑)。

──そんなお二人が手掛けられた作品で映画初単独主演を飾ることは、髙石さんにとってどんな意味がありますか?
撮影しているときは単独主演ということは深く考えていなくて、ただ全員がまっすぐに作品と向き合っている感覚でした。それから出来上がったものを見たときは、「これが私の初めての単独主演の作品になるんだ」ってすごく嬉しかったです。やっぱり映画になると、より熱量をビリビリと感じましたし、そんな全員がまっすぐに同じ方向を向いて走った作品を……名前だけかもしれないけど、初単独主演とさせていただけたことはとても光栄なことだと思います。
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