映画『遺書、公開。』公開記念リレーインタビュー #5
「人生は一歩を踏み出す勇気で変わる」吉野北人が初心を忘れずにいられる理由
2025.02.14 18:00
2025.02.14 18:00
映画『遺書、公開。』リレーインタビューのアンカーは、主人公・池永柊夜を演じる吉野北人。
序列19位。クラスでも存在感の薄い池永だが、姫山椿の遺書をめぐって教室が混乱に陥る中、真相を突き止めるべく静かに立ち上がる。
強烈なキャラクターがひしめく本作で、主演として中心に立った吉野。プレッシャーと戦い続けた日々を今振り返る。
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ランキングは本質的なものだけを信じる
──吉野さんが2年D組の一員として、あの遺書を受け取っていたらどうしていたと思いますか。
どうなんでしょうね。普通だったら公開し合わないんじゃないですか。相手が自分に宛てて書いてくれたものだから、心の中にとどめておきたい気もするし。でも、誰が仕掛けたのか気になるし、他の人の遺書の内容も知りたいと言えば知りたいので、なんだかんだ言って公開しちゃうんですかね。こればっかりは実際になってみないとわからないです。
──みなさんにお話を聞いていると、周りの空気に流されて自分も公開してしまうんじゃないかという声が多かったです。
特に高校生だとなおさらですよね。今この年齢だと、そういうのはやめようって言えるけど、若い頃は興味が勝って、知りたい欲望に流されちゃうかもしれない。
──亡くなった理由が知りたい、というのはありますよね。
特に僕の演じた池永は姫山椿と距離感的に近い存在ではあったので、余計に知りたい気持ちは強かったんじゃないかと思います。
──けれど、いざ遺書を公開してみると、どんどんクラスメイトの知らない顔が暴かれていきます。吉野さんがもしこんなドロドロした感情を目の当たりにしたらどんなことを考えると思いますか。
今だったらみんな何かしら隠し持っている部分があることもわかるので、仮にそれが見えたとしても「出ちゃった」くらいで受け止められますけど、高校生のうちはダメですね。「マジか!」ってちょっと引いちゃうと思う(笑)。今まで見えてこなかったものが一気に噴き出てくるじゃないですか。たぶん人のことが信じられなくなっちゃうだろうなというのはありますね。10代であれに直面するのは結構キツいです(笑)。
──吉野さんが高校生だったときはどうですか。建前の自分と本音の自分のギャップに悩んだりしましたか。
全然なかったですね。わりとオープンな性格なので、特に隠すこともなく、自然体でした。
──教室のパワーバランスを気にしたりは?
それもなくて。学校が田舎なのもあって平和だったんですよ。本当、みんな仲いいって感じで、誰とでも喋っていましたし。俺がトップだぜ、みたいな人もいなかったですね。
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──吉野さんも自分がトップだぜ、という気持ちはなく?
なかったです。あ、でも、歌が好きだったので、俺がこの中でいちばん歌は上手いだろ、くらいは思っていました(笑)。
──ランキングはどうですか。校内のイケメンランキングに入ったりとか。
……は、ありました(笑)。小学校のときですけど。
──ちなみにそのランキングの結果は?
1位でした(照)。
──そりゃそうですよね(笑)。
いや、でも本当に気まずかったですね。自分より順位が下の子からすごい目で見られるんです。もう嫌でしたもん。
──小学生にして、人から嫉妬される辛さを味わっちゃったんですね。
1位になってもあまりいいことないなって思いました。だから椿の気持ちもちょっとわかるんですよ。うれしくないです、1位って。2番手くらいがちょうどいいです。
──芸能界におけるランキングについてはどうですか。
難しいですね。数字はもちろん気にはなりますけど、あまり重く受け止めないようにするというか、ポジティブに考えるようにはしています。自分が何かのランキングに入っていたら、一応見ますけど「そうなんだ」ぐらいで、あまりそれで一喜一憂するというのはないです。
──意識して距離をとってる感じですね。
なんか、それが真実ではないと思っちゃうんですよね。
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──どういうことでしょう。
そういう人気ランキングみたいなものって一時的じゃないですか。1位に選ばれたらもちろんうれしいですけど、あまりそこにとらわれないようにしたいなって。
──そのブームは一過性のものとして踊らされないと。
もっと本質的なものだったらめちゃくちゃうれしいです。それこそ音楽のチャートはリアルじゃないですか。人の情では動かせないものなので、そこでいい順位に入ったらすごくうれしいし、そうなれるように頑張りたいなと思っています。
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