映画『雪子 a.k.a.』主人公に重ねた自分自身と“経験”への想い
「柔軟性が幅になればいい」山下リオが何でもやる理由、俳優として目指すビジョン
2025.02.06 18:00
2025.02.06 18:00
仕事だけは誰に何を言われても気にならない
──お話を伺っていると、山下さんは基本的に「何でも」のスタンスなんですね。
私、多分「面白がれる天才」だと思うんですよ(笑)。何事も捉え方次第だと思います。私はお芝居をするだけ。評価するのは別の誰かなので、作品がヒットしたり、誰かの心を打つかは、後からついてくればいいと思ってます。だから先入観で選ばないようにしています。もちろん、物作りは団体戦だと思うので、私という一つのコマとしての話です。
──山下さんの出演作品を見ていると、大きな商業作品からインディペンデントなものまで、すごく幅広いですよね。
お芝居が純粋に好きなので、そこに対して何か特別に仕分けて考えてはないです。私、普段は周りの目が気になったりもするんですけど、仕事に対してだけは誰かに何を言われても気にならないんですよね。それは何か、自分でも理解できないレベルで、心の奥底からお芝居を信じてるからだと思います。基本的には「生きてるだけで偉い」って考え方なので、プラスアルファ好きな仕事ができてるなんて最高だなって思います。どんどんシンプルな考え方にしていった結果、益々仕事が楽しくなってきました。今は自分の柔軟性が俳優としての幅になっていけばいいなと思います。
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──2023年には恋愛リアリティ番組『韓国ドラマな恋がしたい』にも出演されましたよね。日本と韓国の俳優男女8名が共同生活を送りながらオーディションに挑むという作品で、山下さんのキャリアの中でもかなり異質なお仕事だったと思うんですが、共演者の方々の動向とか気にされたりとかしてますか?
もちろんです! やっぱり、『韓国ドラマな恋がしたい』で一緒だったメンバーは数々のオーディションを共に乗り越えた“戦友”ですから。大体インスタでみんなの活動はチェックしてますし、みんなが活躍してると嬉しくなる。私も頑張る活力になってます。言語も分からない状態で挑んだ韓国での日々は、なかなか経験したくてもできるものじゃなかったですし、就寝してる時間以外は、全て観察されてるわけですから、切り取られ方はどうであれ、俳優として客観的に自分をみる良い機会になりました。男女で合宿生活をするなんて、もう今後一生ないことだと思います(笑)。本当に素敵な方達だったので、出会いに感謝してますし、今後もずっと仲間でいてくれるだろうなって思える人たちです。
──今後、どんな俳優でいたいというようなビジョンはありますか?
そうですね……「面白い俳優」、ですかね。固定概念にとらわれず、いつも誰かへの嬉しいサプライズになる仕事ができればいいなと思います。それに、せっかく俳優になったのだから、お芝居を通して誰かを応援できればいいですね。あとは1人の人間として、地に足をつけて愛情深く生きていれば、それが俳優としても滲み出てくると思うので。当たり前のように日々感謝しながら、自分らしく生きていれば、そのビジョンに近づくと思ってます。
──ご自身としては、割とそこに近づくことができている実感はある?
課題も多いですが、少しずつ近づいてるとは思います。あとはもっと「山下リオ」という俳優を知ってもらわないと、届けられるものも届かないので。自分という商品の器を大きくしていきたい、という気持ちもあります。今までは全て「自己責任」の状態から、今年からまた事務所に所属もさせていただき、巻き込む人が増えてきて、「自分が良ければそれでいいでしょ」では通用しないんですよね。またフリーランスとは違った、新しい自分を開拓しないといけないなと思っています。独立してから変わった自分を、また変えていく作業は正直大変なんですけど、それはそれで新しい自分がどうなるか楽しみだったりします。
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──それは、独立した経験があるからこそ到達できた境地なんでしょうね。
そう思います。
──ところで、昨年はドラマ『下山メシ』にもゲスト出演されていましたけど、登山が趣味と伺いました。今でも登ったりされるんですか?
休みができれば行きますよ。関東の有名な山は、ほとんど登ったかもしれません。それこそ地方ロケに行った時に、近隣の山の情報をチェックして、登ってから帰宅することもあります。印象深かったのは、長野県の赤岳ですね。
──赤岳! かなり本格的に登られるんですね。登られるのは1人ですか?
飼ってるワンちゃんと行くことも多いですが、過酷な山は大抵1人ですね。地方の撮影現場にはだいたい自分の車で入るんですけど、必ず車に登山靴と登山セットを載せてます。ドライブも好きで、ワンちゃんと車中泊しながら旅することもあるので、タイミングがあれば、近くの山に登れるようにいつでも準備しておいて。
──山下さんが思う、登山の魅力って何ですか?
毎回、「なんでこんな大変なことやってるんだろう!?」って自分に腹を立てたり、憤ったりプリプリしながら登るんですけど(笑)でもその間、ネガティブになることはないんです。自分の弱さと向き合う時間にもなりますし、何より登頂したときの美しい景色と達成感、諦めなかったの凄いね!!って、分かりやすく自分を褒めることのできる瞬間が好きです。でも、山って本当に面白いですよ! 太古の人たちが山を神様に見立てていたのがわかるというか、やっぱり神秘的な一面があって。どんなに疲れてても、登頂して下るときとかって体が楽なんです。私、いつもダッシュで降りるんですよ! みなさんのご想像の3倍ガチ走りです(笑)。
──走るんですか!?
それができるくらい、山に登るとなんかパワーをいただいたような気になるんですよね。だからまた、辛さを忘れて「次はどこに登ろう」って思うし、仕事も頑張ろうって思えます。
──その楽しみがあると、地方ロケが楽しくなりそうですね。
田舎に行くほどワクワクします(笑)。
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『雪子 a.k.a.』場面写真 ©︎2024 「雪子 a.k.a.」製作委員会